清水理史の「イニシャルB」

「自律」のためのきっかけに NEC AtermWF300HP2の「こども安心ネットタイマー」を試す

 無線LANルーターで、どこまで子供のネット利用を制限できるのか? そんな疑問を持っている人も少なくないことだろう。今回は、NECプラットフォームズの「AtermWF300HP2」に搭載されている「こども安心ネットタイマー」を利用して、何をどのように制限できるのか、そしてどうやってその制限を子供に伝えればいいのかを考えてみた。

問われる親の対応力

 「たぶん親にバレているな……」。中高生のころの自分を振り返ると、そんな気配を感じて、思い当たる行動を(辞めないまでも)控えるようにしたり、心を入れ替えてみようかと(ほんの一瞬)思ったりしたことが何度かあった。

 理想は、たぶん、これなんだと思う。

 もちろん、自分が子供のころと今では、まったく状況は異なる。個々の家庭の事情もあるだろう。

 しかし、ネットに限らず、何かへの依存を断ち切ることは、最終的には自分の中に何らかの「きっかけ」が必要不可欠となる。

 そのきっかけをイヤミにならない形で、どうやって子供に感じ取らせるか。そこが親としての実力が問われるところだろう。

 とは言え、これは何とも難しい。先日。我が家でもこんなことがあった。

 期末試験の期間中、ふと、リビングに置いてあったゲーム機が目に入った。どうも、さっきまでと充電ケーブルの位置が違うように思える。

 ここで、さりげなくケーブルの位置を戻すだけにしておけば、子供にハッと感じさせる「きっかけ」になったのかもしれない。

 しかし、親としての至らない筆者は、「あれ? ゲームやった?」などと余計な一言を付け加えてしまった。

 当然、猛反発を食らい、せっかく教科書に向かっていた娘も、すっかりやる気を削がれてしまったようだった。

 自分に置き換えて考えれば、事実かどうかは別にして、頭ごなしに批判されたり、無理やり制限されたりすれば、反発心しか生まれないのは明白だ。自分の未熟さにあきれた瞬間だった。

スマホやゲーム機などの利用時間が多いとは言っても、頭ごなしに批判すると反発を食らうことになる

こども安心ネットタイマー搭載の「AtermWF300HP2」

 というわけで、今回取り上げる「AtermWF300HP2」の「こども安心ネットタイマー」も、子供にとっての「きっかけ」となるようにうまく導入しないと、無意味なものとなりかねない印象だ。

 AtermWF300HP2は、最大300MbpsのIEEE 802.11n/b/g(2.4GHz帯)に対応した無線LANルーターだ。IEEE 802.11acが主流になりつつある現在の状況を考えると、速度的には控えめ(有線LANも100Mbps)だが、コンパクトな筐体とリーズナブルな価格(yodobashi.comの2014年7月末の実売価格で4870円)が特徴となっており、しかも今回取り上げる「こども安心ネットタイマー」という新機能が搭載されている。

NECプラットフォームズの「AtermWF300HP2」
正面
側面
背面

 この「こども安心ネットタイマー」は、PCやタブレット、ゲーム機、スマートフォンなど、端末ごとのAtermWF300HP2への接続を時間帯別に制限できる機能だ。

 例えば、子供が使うタブレットは、平日の16:00〜19:00、土日の9:00〜19:00まで接続可能にし、それ以外の時間はAtermWF300HP2に無線LANで接続できないように制限することができる。

 同様の機能は、ほかの製品にも搭載されていたが、本製品ならではの特徴となるのは以下の2点となる。
  ・親のスマートフォンから手軽に制限する機器や時間を設定できる
  ・ブリッジモードやWiFi中継機モードでも利用可能

 まずは前者だが、これは非常に出来がいい。

 AtermWF300HP2にスマートフォンから接続後、「Atermスマートリモコン for Android」というアプリをダウンロード。実行すると、自動的にネットワーク上のAtermWF300HP2を検出し、「こども安心ネットタイマー」の設定画面を表示することができる。

 機能の利用手順としては、以下のような流れとなる。

1.おとなの端末として登録
 親のスマートフォンから設定画面にアクセスすると、自分の端末が画面上に表示される。タップして、設定画面を開き「おとなの端末」として登録する。

2.子供の端末を接続
 子供が使うスマートフォンやタブレット、PC、ゲーム機をAtermWF300HP2に接続。接続は、WPSやらくらく無線スタートによるボタン設定、QRコード、NFCなど複数方式を利用可能。

3.子供の端末を設定
 子供の端末を接続すると、設定画面に端末が表示される。タップして、「こどもの端末」として登録後、スケジュール設定で接続可能な時間をタップして選択する。

 これで、「こどもの端末」からは設定した時間のみAtermWF300HP2に接続可能となり、それ以外の時間帯は、端末からいくら接続しようとしても接続に失敗するようになる。

 仕組みとしては、端末をMACアドレスごとに識別し、設定した時間帯によって接続の可否を判断するというものだが、ユーザーインターフェイスが直感的で非常にわかりやすい。特にスケジュール設定は、あらかじめ用意されたテンプレートから選択することもできる上、画面上の許可したい時間をタップするだけで、許可と禁止を切り替えることができるため、誰でも迷わず設定できる。

 こういった使い勝手の良さはさすがといったところだ。

テンプレートからスケジュールを設定することもできる

 続いて、もう1つの特徴となるブリッジモードやWiFi中継機モードでも利用可能な点だが、これは実は珍しい。

 前述したように、同様に端末のMACアドレスで接続時間を制限できる無線LANルーターはほかにも存在するが、ほとんどの製品は、機器がルーターモードのときしか機能を利用できない。このため、既存のルーターを生かして、無線LANアクセスポイントとして設定してしまうと、せっかくの機能が使えなくなってしまう。

 製品によっては、起動時にWAN回線の種類を自動判別し、勝手にアクセスポイントモードになってしまうケースもあり、制限機能を目的で製品を購入したのに、肝心の機能がどこにあるのか見つからないといった場合もある。

 これに対して、AtermWF300HP2では、どのモードの場合でも「こども安心ネットタイマー」機能を利用できる。柔軟な構成に対応できるのがメリットだ。

どんな「きっかけ」に仕立てるか

 このように、手軽に導入できる「こども安心ネットタイマー」だが、ポイントは冒頭でも紹介したように、どのように導入するかだ。

 頭ごなしに「これからはこれで規制する!」などと決めたり、何も言わずにひっそりと導入したりすれば、おそらく失敗に終わるだろう。

 同社のWebページでも、家族でのルール作りの大切さや「子供が自ら考えてネットの接続時間をコントロールする“意識と習慣”を学んでいく」ことの大切さが強調されているが、このようにきちんと子供に使い方を説明することが大切だ。

 その上で、筆者として1つ提案したいのは、あえて抜け道を子供に伝えることだ。

 前述したように、AtermWF300HP2で制限できるのは、あくまでも無線LAN接続のみとなる。このため、LTEなどの回線を個別に備えた端末、つまり通常のスマートフォンの場合、無線LANにつながらなくても、LTEでインターネットに接続できるため、事実上、制限をかけることができない。

 このことを子供に正直に伝えるのだ。

 つまり、ネットの利用時間は制限するが、それはPC、タブレット、ゲームのみ。スマホも無線LAN接続では制限がかかるが、LTEなら普通につながるので、LINEやメールは事実上、制限の対象外であると言ってしまうのだ。

 子供のITリテラシーは、多くの場合、もはや親の及ぶところではない。抜け道を隠したところで、すぐに知られ、回避されるだろう(特に今回の制限はスマホでは制限とならないのですぐに知られる)。そんなイタチごっこを繰り返したり、より強固に制限しようと知恵を絞ったりしても、“意識と習慣”が身に付くことはないだろう。

 冒頭で述べた通り、理想は自律だ。「こども安心ネットタイマー」のような機能は、あくまでも、この「きっかけ」になればいい。

 もちろん、場合によっては、抜け道があるのなら遠慮なくフル活用しようと考える子供もいることだろう。しかし、ゲーム機やPCの接続が制限されたり、スマートフォンからWiFiにつながらない時間があったりすることを日々の生活の中で体験していけば、導入時に親と話し合ったことが、少しは頭をよぎるだろう。

 制限されているはずの時間帯に、隠れてスマートフォンのLTEでネットを使っていても、「たぶん親にはバレてる」と少しでも感じてくれれば、それで十分なのだ。このきっかけが、やがて自律へとつながると、自分の経験から信じている。

 「甘い」と言われるかもしれないが、こういった機器の導入は、非常に難しいし、これといった正解もない。異なる考えを持っている人も多数いることだろう。なので、今回の話はあくまでも筆者の個人的な考えとして聞き流していただき、ぜひ正解と思える方法を自らの手で探し出し、それを実践していただきたい。

清水 理史

製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ