第124回:DIGA「DMR-E500H」とPCの連携を実現したソフトウェア
松下電器産業の「MediaStage Premium Edition」
松下電器産業から、映像・音楽の管理ソフト「MediaStage Premium Edition」が発売された。ローカルの映像・音楽の管理に加え、ネットワーク経由での再生、同社のDIGAシリーズとの連携を可能にしたソフトウェアだ。本製品の機能を検証した。
●手軽にDIGAの映像を再生可能
DMR-E500H |
以前、本コラムでも紹介した通り、松下電器産業のDIGA DMR-E500Hで録画したMPEG-2の映像は、少々特殊な方法を用いてPCで再生可能だった。しかし、このときに紹介した方法には、映像を再生・転送する前にAVネットワークモードに移行する必要があるほか、クライアント用ソフトウェアは記事執筆時点では入手が困難だった(編集部注:現在はデジオンから「DiXiM」の発売が発表されています)。
このため、DMR-E500Hで録画した映像を「誰もが」「手軽に」楽しめるとは言い難かったのも事実だ。しかし、松下電器産業から「MediaStage Premium Edition(以下Media Stage PE)」が発売されたことで、このような使い方がようやく手軽に可能になった。
MediaStage PEは、基本的にはPC向けのメディア管理ソフトウェアだ。ローカルに保存されている映像や音楽、静止画などを一覧表示し、再生、印刷、変換(主に携帯電話で再生可能な形式への映像変換)などを行なうことが可能となっている。もちろん、これだけであれば、さほど珍しいソフトウェアではないのだが、注目すべきなのはネットワークでのメディア共有が可能になっている点だ。
PC上のフォルダを「Netshare」として公開すると、ネットワーク上の他のPCにインストールしたMediaStage(ほかのPC向けに3クライアントまでインストール可能なLite Editionが同梱される)から、そのフォルダを参照して、映像や音楽、静止画などを再生することが可能となる。また、今回の新バージョンから、DMR-E500Hとの連携機能も搭載されており、ネットワークで接続したPCから、DMR-E500Hに保存されている映像の再生も可能となった。以前に紹介した方法は、どちらかと言えばイレギュラーだったが、MediaStage PEの登場により、ようやく正式にDMR-E500HのMPEG-2映像をPCでも楽しめるようになったわけだ。
●AVネットワークモードに自動的に移行
早速、MediaStage PEを利用してDMR-E500Hの映像再生を利用してみたが、映像再生自体は非常に簡単だった。PCにインストールしたMediaStage PEを起動すると、ネットワーク上のDMR-E500Hが自動的に検出され、アイコン表示される。このアイコンをクリックすると、DMR-E500Hで録画された映像が一覧表示されるので、見たい映像を選択すれば、再生が開始されるというイメージだ。
ネットワーク上のDMR-E500Hが検出されると、左側にアイコンとして表示され、MPEG-2映像が一覧表示される | 一覧から見たい映像を選択すると再生が開始される。早送りや一時停止なども可能だ |
何より便利なのは、DMR-E500H側の操作が必要ないという点だ。前述したように、ほかの方法の場合、あらかじめDIGA MANAGERを利用してDMR-E500HをAVネットワークサーバーモードに移行させ、その後、クライアントソフトやブラウザで映像を表示するという2段階の操作が必要だった。しかし、MediaStage PEの場合、これらの処理を一括してソフトウェアが行なってくれる。ユーザーは、単にMediaStage PEを起動し、DMR-E500Hにアクセスすればいいので、操作の手間が1つ減ったというわけだ。
個人的には、PC側のクライアントソフトは、DiXiM Media Clientのような汎用性の高いものを利用するのが理想的だと考えているのだが(詳しくは後述するがMediaStage PEは汎用性が低い)、このような手軽さを考えると、DMR-E500Hへのアクセスといった特定の用途には、MediaStage PEを利用するのも悪くはないだろう。
デジオンのDiXiM Media ClientでもDMR-E500Hの映像を再生可能。ただし、あらかじめDMR-E500HをAVネットワークサーバーモードに移行させる手間が必要になる |
なお、MediaStage PEでDMR-E500Hにアクセスするには、あらかじめいくつかの設定が必要になる。具体的には以下の3ステップだ。
1) DMR-E500Hのファームウェアをアップデート
2)DMR-E500Hに接続するPCのMACアドレスを登録
3)MediaStage PEにDMR-E500HのMACアドレスを登録(自動登録も可能)
MediaStageからDMR-E500Hにアクセスするためには、あらかじめPCのMACアドレスを登録しておく必要がある | MediaStage側にもDMR-E500HのMACアドレスを登録する必要があるが、標準では自動的に登録される |
気になるのはファームウェア(MediaStage PEのパッケージで提供されている)のアップデート内容だが、この詳細は公表されていないため不明だ。筆者が確認した限りでは、DIGA MANAGERの認証画面がXP SP2対策でポップアップ方式でなくなるなどの更新がなされているが、そのほかに目新しい更新は見られない。おそらく、内部的にMediaStage PEでアクセスするための更新が行なわれているのだろう。
●ファイアウォールの設定に注意
Norton Internet Securityを利用している場合は、一般ルールでUPnP関連のポートを「許可」に設定しておく必要がある |
このように、設定自体は基本的にさほど難しくないが、PCの利用環境によっては1つ注意しなければならない点がある。セキュリティ対策ソフトの設定だ。
MediaStage PEは、UPnPを利用してネットワーク上のDMR-E500H(もしくは他のPC)との接続を行なう仕様になっている。このため、UPnP関連の通信がファイアウォールなどで遮断されているとうまく動作させることができない。
もしも、PCにファイアウォールがインストールされている場合は、通信の設定を変更しておこう。Windowsファイアウォールの場合は例外の設定で「UPnPフレームワーク」にチェックを付けておけばいい。一方、市販のファイアウォールの場合、ウイルスバスター2005はファイアウォールのプロファイルを「ホームネットワーク1/2」のどちらかに設定しておけば、特別な設定は不要だ。Norton Internet Security2005の場合は、ファイアウォールの拡張設定にある「一般ルール」で「UPnPポート」が「遮断」に設定されているので、これを「許可」に変更しておけばいい。これでDMR-E500Hのアイコンが表示されるはずだ。
このあたりの設定に対する情報はあまりユーザーに与えられていないので、できればマニュアルなどでもっと詳しく紹介してほしいところだ。
●基本的にはDMR-E500H用ビューワー
PC同士での映像共有も可能だが、サーバー、クライアントともにMedia Stageを利用する必要があり、汎用性には欠ける |
このように、手軽にDMR-E500Hの映像をPCで再生できるMediaStage PEだが、機能的には、あくまでもビューワーの域を出ていない。
できるのは映像の再生のみで、たとえばMPEG-2やMPEG-4ファイルをPCに転送したり、PCからの録画予約や映像削除といった操作はできない。また、コピーワンスコンテンツなどの再生もサポートされていない。PCへの転送やコピーワンスコンテンツは仕方がないとも思えるが、録画予約や映像削除といった機能は対応を望みたいところだ。録画予約をしたいときや見終わった映像を削除したいときは、その都度DMR-E500Hを操作しなければならないからだ。
また、前述したようにPC同士での映像・音楽・静止画の共有も可能だが、汎用性に欠ける点も欠点に感じられた。MediaStageで共有したデータは、同じMediaStageからしか参照することができない。このため、デジオンのDiXiM Media Clientをクライアントとして利用したり、DiXiM Media ServerやWindows Media Connectをサーバーとして利用している際に、MediaStageをクライアントとして利用することもできない。
ユーザーが本当に望んでいることは、PCやHDD搭載DVDレコーダのメディアを共有することで、映像や音楽などのコンテンツをネットワーク上で効率よく利用することだ。それを実現するために、PCに複数のクライアントやサーバーをインストールしなければならないというのは無駄に思えてしまう。
現状のままでは、DMR-E500HやPCとの連携機能は中途半端な印象を受けてしまう。今後はさらなる機能強化を望みたいところだ。
関連情報
2004/11/9 11:04
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