第135回:DLNAに準拠した無線LAN搭載のメディアレシーバー
ソニー「ルームリンク VGP-MR100」とシャープ「CE-MR01」を比較する



 ソニーとシャープから、DLNAガイドラインに準拠したメディアレシーバーが登場した。いずれも無線LANを搭載し、DLNAに準拠した家電やPCに保存された映像・音楽・静止画を手軽に再生できる。それぞれの機能を比較しつつ、その実力を検証してみよう。





無線LANを搭載、DLNA対応と実用的になってきたメディアレシーバー

シャープの「CE-MR01」

ソニーの「ルームリンク VGP-MR100」

 今回、ソニーとシャープから新たに登場した新型メディアレシーバーは、いずれもPCに保存されている映像や音楽、静止画をネットワーク経由で再生することができる製品だ、無線LAN内蔵、DLNAガイドライン準拠と機能的にかなり充実しており、PCにテレビ録画機能が当たり前のように搭載されるようになってきたことを考えると、蓄積したコンテンツを活かすためのソリューションとしては注目に値する製品だ。

 まずは、両製品の概要を見ていこう。ソニーの「ルームリンク VGP-MR100」は、10BASE-T/100BASE-TX、もしくは本体に内蔵されたIEEE 802.11b/g準拠の無線LANでのネットワーク接続に対応しており、MPEG-1/2、WMV、DivXの映像ファイル、ATRAC3、ATRAC3plus、WAVE、MP3、WMAの音楽ファイル、JPEG、GIF、PNG、TIFF、BMPの静止画の再生に対応している。基本的に同社製のPCであるVAIO向けに提供されている製品のため、サーバーソフトなどは添付されておらず、PC側には別途VAIO Media Ver.4.1(ダウンロードによるアップグレード提供)が必要となる。ただし、詳しくは後述するが、汎用的なメディアサーバーソフトでの利用も可能だ。

 一方、シャープの「CE-MR01」は、IEEE 802.11a/b/g準拠の無線LANに加えて、映像伝送に適したIEEE 802.11aが使えるのが特徴だ(有線LANでの接続も可能)。IEEE802.11aは、今春に周波数の切り替えが予定されているなど多少不安な部分も抱えているが、混雑した2.4GHz帯に比べると、安定した通信ができるというメリットがある。さらに、メディアコンバータ機能も搭載されており、LANポートに接続したほかの機器と無線LANをブリッジさせることも可能となっている。ネットワーク対応のHDD&DVDレコーダやゲーム機など、他の機器も無線化したい場合に適していると言えそうだ。

 対応するフォーマットは映像がMEPG-1/2、WMVで、音楽はMP3(最大320kbps)、LPCM、WAV、WMA(最大192kbps)、静止画はBMP、JPEG、PNGだ。汎用的な利用が想定されているため、本体にはメディアサーバーソフト「SHARP Media Library」が同梱されており、これをPCにインストールすることでサーバーとして利用可能となっている。

 無線LANの規格や対応フォーマットに多少の違いがある両製品だが、実際にはどちらもデジオンのDiXiMプラットフォームが採用されており、基本的な機能は同じと考えていいだろう。


CE-MR01(左)とVGP-MR100(右)




AOSSに対応したCE-MR01

 両製品を使い比べたとき、まず気になったのは設定の手軽さだ。どちらの製品も有線LANで使う分には、ケーブルを接続するだけと手軽だが、無線LANの設定に違いが見られた。
 ソニーのVGP-MR100は、無線LANの接続に必要なSS-IDおよび暗号化の設定は、基本的に手動で行なう。家庭用のテレビに表示された設定画面にSS-IDや暗号キーをリモコンで入力するか、付属のユーティリティを利用してPCから有線LAN経由で設定を転送する仕様になっている。ユーティリティを利用することで、面倒なリモコンでの文字入力を避けられるのはありがたいが、手動で設定することに変わりはない。


VGP-MR100の無線LAN設定画面。リモコンでの設定のほか、ユーティリティを利用してPCから設定することも可能だが、いずれにせよ手動の設定となる

 これに対して、シャープのCE-MR01は、無線LANの設定を自動的に行なうことが可能だ。具体的には、バッファローのAOSSに対応しており、本体に用意されたボタンを押すだけで設定が可能となっている。もちろん、自動設定を行なうには、アクセスポイント側もバッファローのAOSS対応製品を利用していることが条件となるが、リモコンでSS-IDや暗号キーを入力するという面倒な作業をしなくて済むのはありがたい。


AOSSによる自動設定に対応したCE-MR01。背面のボタンを押すとAOSS設定モードに自動的に移行。その後、アクセスポイント側のボタンを押すと設定が行なわれる

 ただし、AOSSを使うにしても、もう少し工夫が欲しいところだ。CE-MR01でAOSSによる設定を開始しても、画面には「AOSS設定中」としか表示されない。AOSSの設定方法を知っていれば、その後、アクセスポイント側のボタンを押すという操作がわかるが、はじめての人は、この後、どうすればいいのかがわからない。もちろん、マニュアルを読むのが基本だが、せめて「アクセスポイントのAOSSボタンを押してください」といったメッセージを表示して欲しいと感じた。

 なお、テストに利用した評価用のCE-MR01では、別のアクセスポイント(Aterm WR7800HH)に手動設定で接続しようとしたところ、暗号化にWEPを選択した場合だけうまくアクセスポイントに接続できないことがあった。AESやTKIPでは問題なく接続できるたのだが、WEPの場合、64bit/128bit、ASCII、16進数、すべてのケースで接続に失敗してしまった。製品版では、同じような不具合がないことを望みたいところだ。


アクセスポイントにAterm WR7800Hを利用した場合、WEPで正常に接続することができなかった。WPAを利用した設定であれば問題ない




DiXiMをメディアサーバーとして利用する

 以上のように、基本的にはネットワーク関連の設定さえ済ませれば、本体側の設定は完了だ。あとは、PCをサーバーとして設定しておけばいい。

 いずれの製品の場合も、本来は推奨されるサーバーで利用する必要があるが、今回はあえて別のサーバーを利用してテストすることにした。特にソニーのVGP-MR100は、VAIO以外でも使えるのかどうかが気になるところだ。

 まずは、市販されているパッケージ版のDiXiMを利用して接続してみたが、シャープのCE-MR01はまったく問題なく利用することができた。そもそも、CE-MR01に同梱されているサーバーソフトは、名前こそ「SHARP Media Library」となっているが、中身はDiXiM Media Serverそのものに他ならない。パッケージ版のDiXiMを利用しても問題はないはずだ。


今回、テストに利用したDiXiM Media Serverの設定画面。CE-MR01に付属する「SHARP Media Library」も名前だけ違うだけで中身は同じ

CE-MR01の場合、問題なくDiXiM Media Serverに接続し、コンテンツを再生できた

 一方、ソニーのVGP-MR100も、サーバーにDiXiM Media Serverを利用した場合でも、ネットワーク上のサーバーを発見し、接続、コンテンツを再生するという普通の使い方は問題なくできた。ただし、再生できるコンテンツに一部制限が発生する点に注意が必要だ。サーバーにVAIO Mediaを利用した場合はWMVの映像を再生することが可能だが、DiXiM Media Serverの場合は再生することができない。


VGP-MR100の場合、サーバーに接続することは可能だが、WMVのコンテンツはグレーアウトして再生できない。WMVの再生にはVAIO Mediaをサーバーとして使う必要がある

 また、サーバーにVAIO Meidaを利用した場合、映像の再生中にフィルムロールを表示し、再生場面を選択することができるが、このような機能もDiXiM Media Serverを利用した場合は使えないことになる。前述したように、基本的にはVAIO用の周辺機器となるため、ある程度の機能制限は覚悟すべきだろう。

なお、Windows Media Connectをサーバーに利用した場合も両製品とも問題なく接続できた。ソニーのVGP-MR100の場合WMVが再生できないのはDiXiMと同じだが、標準でサーバーソフトウェアが同梱されていないことを考えると、WindowsMedia Connectを利用するのもひとつの手だろう。

【お詫びと訂正】
 初出時、「Windows Media Connectでの接続時に参照できるフォルダは「ビデオ」「画像」「音楽」に限られる」としておりましたが、実際には各フォルダの下の階層を表示することで他のフォルダも表示・再生可能です。お詫びして訂正いたします。





家電との相互接続も実現

 最後に、自宅で利用しているパナソニックのDIGA DMR-E500Hへの接続もテストしてみたが、これも条件付きながら可能であった。

 DMR-E500Hで外部からネットワーク経由で映像を再生するためには、本体をAVネットワークモードに切り替えなければならない仕様になっている。このため、事前にPCからブラウザでDMR-E500Hにアクセスし、この切り替え作業を事前に行なっておかなければならないわけだ。


両製品ともに松下電器産業のHDD&DVDレコーダ「DIGA DMR-E500H」に接続してコンテンツを再生できた。ただし、事前にAVネットワークモードに移行する必要があるため実用的ではない

 接続さえできてしまえば、DMR-E500Hで録画した映像をVGP-MR100やCE-MR01で問題なく再生できるが、事前にわざわざPCでアクセスして、モードを切り替えるのは面倒だ。PCを使ってモードを切替えるなら、PCにDiXiM Media Clientをインストールして、それで再生した方が効率的だろう。映像の再生はできるものの、、DMR-E500Hとの連携させるという使い方は、とても実用的とは言い難い。





より多くの機器との連動や低価格化に期待

 このように、ソニーのVGP-MR100、シャープのCE-MR01ともに、さまざまなプラットフォームとの相互接続が一応は実現されており、コンテンツの再生も手軽に可能となっている。しかし、何らかの制限が存在する点には注意が必要だ。また、これはサーバーソフトウェア側の問題でもあるのだが、MPEG-2ファイルをファイル名でしか参照できないのも残念なところだ。

 また、価格も気になるところだ。ソニーのVGP-MR100は実売で25,000円前後だが、VAIO以外のユーザーは、このほかにサーバーソフトウェアも用意しなければならない。サーバー環境も合わせたトータルで考えれば3万円前後の出費が必要だ。無料のWMCを使うのもひとつの手だが、機能的な制限を考えるとDiXiM(サーバー/クライアントの1ライセンス版のダウンロード販売で4,300円)を購入した方がいいだろう。なお、今回はテストしていないが、おそらくNECのMedia Garageや富士通のMyMediaとの接続も可能だと予想できる。

 一方、シャープのCE-MR01は、サーバーソフトウェアが付属している上、IEEE 802.11a/b/gに対応した無線LANやAOSSを搭載しており、さらにメディアコンバータとしても利用できるなど、機能的には十分だが、実売価格は40,000円前後。この価格だと、ネットワークというこだわりさえ捨てれば、もう少し予算を足して低価格のHDD&DVDビデオレコーダーも購入できてしまう。

 機能的には確実に進化してはいるが、あらゆる製品とシームレスにコンテンツを共有するとまでは言い難い。より多くの機器との連動といった機能の向上や低価格化に期待したいところだ。


関連情報

2005/2/15 11:04


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。