第185回:トラブル続きでルータやONUを交換
電話としての「ひかり電話」を再検証



 昨年11月に本コラムでレビューした通り、筆者宅ではひかり電話のダブルチャネルとひかりパーソナルフォンを利用しているが、昨年末以来、トラブルが頻発している。ひかり電話の信頼性について再検証してみよう。





清水の電話はつながらない?

 昨年来、筆者の携帯電話で何度となく繰り返されている会話を紹介しよう。

    編集:「お世話になっております。インプレスのxxです。」
    筆者:「どもです。」
    編集:「どうしたんですか?」
    筆者:「……ん?、何が……?」
    編集:「電話が通じないんですけど……」
    筆者:「!!」
 あわてて「ひかりパーソナルフォン」の液晶画面を確認すると、本来、子機の登録番号が表示される場所に「未登録」と表示されている。ルータの設定画面へのアクセスを試みるもブラウザがタイムアウト。要するにルータがハングアップして電話が使えない状態になっていたわけだ。

 筆者宅の場合、普段のインターネット接続にTEPCOひかりを利用しており、Bフレッツはひかり電話とテスト用にしか利用していないため、ルータがハングアップしていても、電話をかけてきた相手から知らされるまでまったく気がつかない。年末年始などは、長期にわたってルータがハングアップしていたようで、年明けに気がつくまで、「さすがに年末年始は電話が来なくて静かだなあ」などと、のんきに考えていたほどだ。

 このようなトラブルも1~2回なら、まあそういうこともあるかとルータの電源を入れ直してがまんするのだが、筆者宅の場合、ダブルチャンネルの導入を機に利用するルータが「RT200KI」に変更されてから、1~2週間に1度程度の割合でルータがハングアップして使えなくなるという事態が繰り返されている。最近では、すっかり清水の固定電話はつながらないというイメージが定着してしまったようで、携帯に電話がかかってくる機会の方が圧倒的に多くなってしまった。

 気心の知れた相手なら、「電話止まってるんだよ」と笑って答えられるが、はじめてコンタクトしてきた取引先などは、それだけで連絡が取れないライターだと思われてしまいかねないところだ。





NTTに相談してルータを交換

ひかり電話のルータ「RT200KI」

 というわけで、「116」に電話をかけて相談(ちなみに電話をかける前にルータの電源を入れ直し)。ルータの件なら「ひかり電話対応機器」に関するお問い合わせ先へと紹介され「0120-710-444」にかけ直すも、故障なら「0120-242-751」だと言われてさらに電話をかけなおして、ようやく相談できた。電話で状況を伝えると、すぐに対応してもらうことができ、翌日の午前中には調査担当者が自宅まで訪ねてきてくれた。この対応の早さはさすがと感心してしまった。

 自宅に来た担当者と話をしてみると、こういったトラブルは何件かあるそうだ。担当者の話によれば、抜本的な対策もないようで、結局、光の信号レベルをチェックし、最終的にはルータを新品に交換するという対処をしてもらうことになった。

 交換後、しばらくの間は問題なく使えていたのだが、一週間ほど経過したときに、冒頭で紹介した会話の編集担当者から、笑って「また止まってますか?」と携帯に電話があり、再度同じトラブルが発生していることが発覚。

 時間はすでに19時を過ぎていたが、故障受付に電話をかけ対応をお願いした。ちなみに、ひかり電話のサポートは、2月1日に開設された「光サポートセンタ」での対応となっており、年中無休で24時間体制でサポートが受け付けられるようになった(現状は一部地域のみ)。このため、今回のケースのように夜間であっても、留守番電話にメッセージを入れておくと、少し後に先方から折り返し電話があり、迅速に対応してもらえる。繰り返しになるが、このようなサポート体制の充実と対応の早さは確かにすばらしい。

 ただし、状況を伝えたときに「電源を入れ直せば直ります」的な回答をされたのは、「日課のように毎朝ルータの電源を入れ直さなければいけないのか!?」と少し感情的になってしまった。そういえば、最初に調子が悪いと電話したときも「IP電話ですから…」的な回答があったが、これも適切な回答とはとても思えない。

 結局、翌日にははONUの交換、電柱から屋内への光ファイバーの接点の点検(一部つなぎ直し)という対応になった。個人的にはルータの仕様ではないかと考えていたのだが、仮にそうだとすれば、それを現場レベルで解決することほぼ不可能だ。NTT東日本、もしくは開発元での対応を待たなければならない以上、それ以外の考えられる原因をツブしておくというのが現場レベルでできる最善の策なのだろう。こういったとき、顧客と実際に対応する現場の人の苦労は計り知れないと実感した。





ひとつのインフラですべてをまかなうのは限界があるのか

 というわけで、現在、筆者宅では根本的な解決がないまま様子見という状況になっている。この原稿を執筆しているのは、最後の対策(ONU交換)から2日後ということで、今のところ問題は発生していないので、このまま解決してくれればありがたい。

 もちろん、今回のトラブルは筆者宅で発生した一例に過ぎず、これがそのままひかり電話の品質や信頼性を示すものではないことは理解していただきたい。しかし、今回のトラブルで痛感したのは、インターネット接続、電話、さらにテレビというさまざまなサービスをひとつのインフラで実現するのはメリットだけでなく、デメリットもあるのではないという点だ。

 今回の場合、原因が必ずしもルータにあると特定できたわけではないが、仮にルータに不具合が発生すると、インターネット接続や電話が一斉にストップしてしまう危険性もあると痛感した。特に電話に関しては、固定回線であれば停電時にでも使えるほどの安定運用が行なわれているのに対して、ルータの故障次第でつながらなくなってしまうIP電話では、電話と同じ感覚で使えるとは言いがたい面もあるだろう。

 また、ライフライン的なサービスではないものの、4th MEDIAのような映像配信サービスも、同様にルータの不調によってサービスが停止してしまう。将来的に放送サービスがIPで伝送されるようになると、その重要性はさらに高まるだろう。

 もちろん、ルータの不調だけとは限らない。ONU、光ファイバなどのトラブルによっても同様にさまざまなサービスのストップが考えられる。確かに光ファイバーによるさまざまなサービスの提供は便利ではあるが、依存しすぎると万が一のトラブルの際の影響も大きくなる。今後は、さらにサービスの安定性、信頼性というのが重視される時代となりそうだ。


関連情報

2006/2/21 13:22


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。