第257回:スペアディスクで障害を自動修復
RAIDに対応したコレガのNASケース「HDD Bank TERA CG-NSC4500GT」



 コレガの「HDD Bank TERA CG-NSC4500GT」は、最大4TBの容量に対応できるRAID対応NASケースだ。標準ではHDDを搭載しないディスクレスモデルで、ユーザーの環境や用途によってHDDを選択できる。その実力を検証した。





HDDの構成は用途次第

 各メーカーから、さまざまな製品が発売されるようになったこともあり、ひと頃に比べるとNASは身近な製品になってきた。特に複数のHDDを搭載してRAIDに対応するようなNASは、これまでビジネス向けというイメージが強かったが、高性能でありながら価格を抑えた製品が登場してきたことで、個人ユーザーの注目も高まりつつある。

 今回取り上げるコレガの「HDD Bank TERA CG-NSC4500GT」も、そんな製品の1つだ。PROMISE社製のRAIDコントローラを搭載し、最大4台のハードディスクを搭載できるNASとなっており、ギガビットイーサネット対応、SATAII/SATAI対応と、高性能な製品構成ながら、標準価格で59,829円と比較的低価格に設定されている。


コレガのRAID対応のNASケース「HDD Bank TERA CG-NSC4500GT」。必要最低限の機能のみに絞られたシンプルな構成

 とは言え、この価格には肝心のハードディスクが含まれていない。HDD Bank TERAは「NASケース」という名称が付けられていることからもわかる通り、基本的にはディスクレスモデルで、HDDはユーザーが別途購入して装着する仕様となっている(同社のダイレクトショッピングではHDD搭載モデルも購入可能)。

 現状、ハードディスクの価格は500GBで1万円強といったところが相場と考えると、500GB×4で45,000円前後となるので、RAID5の1.5TB構成(ストライプの2.0TB構成)でトータル10万円前後といったところになる。最終的には信頼性に直結するので慎重に選ぶ必要があるが、HDDの価格次第では大容量のRAID対応NASを低価格で入手できる。

 もちろん、HDDの構成はユーザーが自ら選択できるようになっているので、2台のミラーリングや3台のRAID5など、必要に応じてHDDの台数を選ぶこともできる。

 RAIDの場合、初期設定が必要になるので、基本的にはあらかじめ構成を決め、最初から必要な台数のハードディスクを搭載することを勧めたいところだが、たとえばはじめは2台のミラーリングの構成から使い始めて、あとから別ドライブとして3台目のハードディスクを追加して利用するなど、徐々にハードディスクを増設していくことも可能だ。用途にあわせて柔軟な構成ができるのは大きな特徴と言えるだろう。





専用トレイを使ってハードディスクを装着

 それでは、実際に使ってみよう。まずは、HDDの装着だが、これには専用の固定用トレイを利用する。

 固定用トレイと言っても、非常に簡易的なもので、プラスチックでできた四角いガイドレールのようなイメージだ。これをHDDにネジ止めし、ケース本体のフロントパネルを開けて差し込んで装着する。


ハードディスクは専用のトレイを取り付けて利用する。トレイと言ってもプラスチックの取ってのようなイメージ

トレイを取り付けたHDDをガイドに沿って滑り込ませるようにして装着する。最大4台まで装着可能

 動作確認済みHDDについては、同社のホームページから参照できるが、最大で1TB×4台の構成にまで対応している。予算さえ許せば、かなり大容量のNASとして利用できるだろう。

 なお、搭載するHDDは同一メーカー、同一型番(容量)で統一するのがセオリーだが、今回はあえてSAMSUNG HD321KJ(320GB)×2とMaxtor DiamondMax 10(200GB)×2という構成で利用してみた。この場合、RAID5などの構成を行なった場合に容量の少ない方に合わせて構成されてしまうが、異なるメーカー、異なる容量のハードディスクでも基本的には利用可能だ。手元に余っているハードディスクを有効活用したい場合などにも便利だろう。





わずか数ステップで設定完了

 初期設定については、かなり手軽な印象を受けた。付属のCD-ROMからユーティリティをインストールし、それを実行することで初期設定が可能になる。

 設定と言っても、ネットワークの設定をDHCPにすれば事実上の設定はほぼ不要で、HDDの設定についても、ボリューム構成の選択肢として「データ保護(RAID5)」と「最大容量(ストライプ)」の2つから選択するだけと非常に簡易化されている。これらの設定を済ませると、ボリュームがネットワークドライブとして自動的にマウントされるので、RAID対応のNASをはじめて使うという利用者でも設定に迷わないだろう。


初期設定は数ステップと容易。RAIDの構成に関しては、「データ保護」がRAID5、「最大容量」がRAID0(ストライプ)となる(4台構成の場合)

 もちろん、この設定で満足できない中上級者であれば、RAID0/RAID1/RAID5に加えて、RAID10(RAID0と1の組み合わせ)、ホットスペア(RAID5+スペア)という柔軟な設定ができるようになっている。

 特にホットスペアでは、搭載した4台のHDDのうち、3台をRAID5で構成し、残りの1台を障害発生時用のスペアとして保管しておくという方法となっている。これにより、たとえばRAID5の3台のうちの1台に障害が発生しても、自動的にスペアのディスクを利用してリビルドすることが可能となっている。

 RAID5の場合、障害が発生してもそのまま運用することが可能だが、当然、その間は2台のハードディスクで運用し続けるため耐障害性が低下する。これに対して、ホットスペアなら自動復旧によって、この時間を最小限に抑えることが可能だ。管理の手間などを考えると、これはなかなか心強い機能だ。

 これらの設定はWebの設定画面から変更することが可能なので、後から設定を変更すると良いだろう。


RAIDの詳細な設定は設定画面から可能。RAID0/1/5/10に加え、3台のハードディスクによるRAID5と残り1台のスペアという構成も可能だ




必要な機能のみに絞り込んだシンプル設計

 最近のNASは多機能な製品が多く、機能を使いこなすことの方が難しい印象があるが、HDD Bank TERAの機能は非常にシンプルだ。

 サービスとして搭載されているのは、Windowsのファイル共有(ADドメインメンバ設定可能)、UNIX(NIS)、Macintosh(AFP)、FTP、プリントサーバーのみ。このため、基本的にはファイルを共有する機能のみで、いわゆるメディアサーバーなどとして利用することはできない。なお、設定画面にはDLNAサーバーという項目が表示されているが、この機能は実装されておらず、利用できない状態となっている。


サービスは各種ファイル共有とFTP、プリントサーバーのみ。DLNAについては項目は表示されるが機能としては現状実装されていない

 もちろん、ユーザーやグループなどによる管理やアクセス制限などは利用可能であり、バックアップについても時間設定による自動取得(ボリュームのスナップショット作成)、複数台のHDD Bank TERA同士のレプリケーション、クライアントからのバックアップ、さらにUPSへの対応などもしているため、一般的な利用には困らないだろう。


バックアップ機能やUPSへの対応など、基本的な機能を搭載。主な利用目的がファイル共有でる場合は機能的な不満はない

 ただし、他社製品などに見られるような時間設定によって朝自動的に起動し、夜間に自動的にシャットダウンする機能などは搭載されないなど、細かな機能が省略されている印象だ。ヘルプや取扱説明書なども必要最低限の記述のみとなっており、その機能をどのような場合に使えば良いのかなどの記述があまりない。このあたりは、少々不親切にも感じた。

 なお、パフォーマンスについてだが、FTPによる結果はGETで最大120Mbps、Putで80Mbps前後とあまり芳しくなかったものの、FDBenchによる計測では、個人的に利用しているアイ・オー・データ機器のLANDISK TERAと同レベルとなった。飛び抜けて高性能というわけではないが、一般的な利用であれば、ストレスを感じることなく快適に利用できるだろう。


FDBenchとFTPによる転送の結果。FDBenchの速度は一般的なNASと同等で十分なレベルだが、FTPによる速度があまり芳しくない




ファンの音は改善の余地あり

 以上、コレガのNASケース「HDD Bank TERA CG-NSC4500GT」を実際に試してみたが、大容量のNASをできるだけ低価格で入手したいというユーザーには悪くない選択肢であると言えそうだ。たとえば、東芝製の液晶テレビなどではNASへの録画機能を搭載したモデルが存在するが、そういった用途であれば機能よりも容量とコストを重視した本製品が向いていると言える。


背面には大小2つのファンが取り付けられている。冷却性能には優れるが、動作音は若干気になる

 ただし、個人的に非常に気になったのは動作音だ。HDDの動作音や振動などはあまり問題にならないのだが、背面のファンの音がかなり気になる。背面には大型のファンに加え、その下に基盤か電源冷却用の小型のファンが取り付けられているのだが、これが比較的高い音を発する。このあたりは個体差がある可能性もあるのだが、大小両方のファンの音は、決して静かというレベルではない。オフィスなら気にならない可能性が高いが、個人宅では気になりそうだ。この点が改善されることを望みたい。


関連情報

2007/8/21 10:57


清水 理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるWindows 8.1/7 XPパソコンからの乗り換え&データ移行」ほか多数の著書がある。