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知らない間に「ファイル共有ソフト」で著作権侵害!? 国民生活センターが注意喚起
「無料で動画を見られるソフト」などとしてダウンロードしているケースが
2025年7月7日 06:30
独立行政法人国民生活センターは、知らない間に「ファイル共有ソフト」を使用したことで起きた、著作権侵害に関するトラブルの相談が寄せられているとして、注意を呼びかけている。
ここでいうファイル共有ソフトとは、「P2P」(ピアツーピア/Peer to Peer)方式を利用し、インターネット上で不特定多数の人とファイルのやり取りを可能にしたソフトウェアのこと。動画などのファイルをダウンロードして再生する際に、特定のサーバーからダウンロードするのでなく、同じソフトを利用している他の利用者のPCと自分のPC内の領域にあるファイルをやり取りする方式でファイルを共有することが特徴で、近年大きな話題に上がることは少ないが、過去にはファイル共有ソフトの「Winny」での著作権侵害行為や、PCのデータが漏えいするウイルス感染などが問題となっていた。
「無料で動画が見られる」「無料で漫画が読める」などとうたうウェブサイトで、ダウンロード/再生用のソフトとして、このようなP2P方式のファイル共有ソフトのインストールが求められることがある。仕組みを知らないユーザーにとって、ソフトの使用感は一般的なサーバーからダウンロードソフトと変わらず、コンテンツを選択してダウンロードし、再生する使い方となる。
しかし、P2P方式のファイル共有ソフトは、利用者が知らない間に、ほかのユーザーに対するファイルの送信(アップロード)も行ってしまう。もとのコンテンツが違法に複製された動画などの著作権侵害コンテンツだった場合、後述するようにダウンロードすることも著作権侵害にあたるおそれがあるが、アップロードも行うことにより二重に著作権侵害にあたるおそれが生じる。
国民生活センターに相談のあった事例として、「動画を見るためにダウンロードしただけで、アップロードされるという認識はなかった」というものが紹介されている。相談者はファイル共有ソフトの仕組みを知らずに使用しており、本人の知らない間に著作権侵害行為が行われてしまっていた。
ほかにも、「著作権を侵害したとして、弁護士事務所から示談書が届いた」というものが紹介されている。相談者自身はファイル共有ソフトを使用した覚えがなく、それ以前にプロバイダ事業者(ISP)から届いていた発信者情報の開示について問い合わせる書面を放置していたという。
同センターは、以下の4点を消費者へのアドバイスとしている。
ファイル共有ソフトの仕組みやリスクを理解せずに利用するのはやめる
ファイル共有ソフトを通じ音楽や動画などのファイルをダウンロードしたとしても、同時にアップロードされていることがあり、これにより、著作権法に違反するおそれがある。また、ファイル共有ソフトを通じてマルウェアに感染し、自分の情報がネットワーク内に流出してしまうリスクもある。
違法なダウンロード、アップロードはやめる
著作権者等に無断でアップロードされている音楽や動画などを、それと知りながら見るためにダウンロードする行為は、私的使用目的であっても著作権(複製権)侵害にあたるおそれがある。また、著作権者等に無断で著作物をアップロードする行為は、たとえアップロードしている認識がなかったとしても著作権(公衆送信権)侵害にあたるおそれがある。
発信者情報開示請求がきたら放置せず、きちんと対応する
プロバイダ事業者からの発信者情報開示に係る意見照会書や事業者からの文書等は、契約者宛てに届く。照会書等が届いた場合は、覚えがなくても、放置することはやめてきちんと対応する。