イベントレポート

Interop Tokyo 2014

NICT、UWBを用いた30cm単位の屋内測位システムや「NIRVANA改」などをデモ

 「Interop Tokyo 2014」の独立行政法人情報通信研究機構(NICT)のブースでは、UWB(Ultra Wide Band)を利用した高精度の屋内測位システムなど、最新の研究成果を数多く展示している。

UWBを利用した屋内測位システムの移動端末

 UWBは、他の通信に影響が出ない程度の微弱な電波を、極めて広い帯域に渡って発信する無線技術。UWB技術を用いることで、ナノ秒(10億分の1秒)単位の極めて短いパルスの電波を利用することが可能となるため、これを距離の測定に利用する。

 開発したシステムでは、1ナノ秒の間に電波が進む距離となる約30cm単位で距離測定が可能。3台の固定機から端末までの距離を測定し、3点測位により位置を特定する。

 会場では、タブレットにUWB移動機を取り付けた端末が複数台用意されており、それぞれの端末がどの位置にあるかをモニターで確認できる。デモ用の端末のため、移動機はかなり大きなものになっているが、チップは端末に内蔵できるほど小さくでき、電力の消費もわずかなため、屋内の位置測定用途として広い範囲で利用できるとしている。

画面の緑色の丸が各端末の位置
ブースの上に取り付けられた固定機
デモ用のため移動機はかなり大きめ
システムの概要

 NICTのブースではこのほか、サイバー攻撃統合分析プラットフォーム「NIRVANA改」など、セキュリティ関連のシステムに関するデモを披露している。

 「NIRVANA改」は、ネットワークの通信をリアルタイムに観測する「NIRVANA」に、セキュリティ分析を追加したシステム。サイバー攻撃に関連した異常な通信を検知し、IPアドレスのブロック単位やネットワークのトポロジー図などのマップ上に、異常な通信の送信元となっている場所の直上にアラートを表示する。ファイアウォールや侵入検知システムなど、各社のセキュリティ製品からのアラートにも対応し、メーカーのロゴなどでどの機器からのアラートが出ているかを視覚的に確認できる。

NIRVANA改

 説明員によると、ネットワーク境界にあるファイアウォールなどで、外からの攻撃は多くの組織が監視しているが、内部ネットワークの監視はほとんど行われていないのが現状であることが、「NIRVANA改」を開発した背景だという。近年多発する標的型攻撃などでは、マルウェアに感染した端末が外部との通信だけでなく、内部のネットワークからも情報を盗み出そうとするため、内部の端末間の監視も必要となっており、こうした内部ネットワークの状況を可視化するツールの重要性が増しているという。

各社のセキュリティ製品からのアラートなども表示
ネットワークのトポロジー図へのマッピング表示

(三柳 英樹)