イベントレポート

第7回 教育ITソリューションEXPO

ビッグデータ分析を教育に役立てるLMS

 今年で第7回を迎えた「教育ITソリューションEXPO」が、5月18日から20日まで東京ビッグサイトで、リードエグジビションジャパン株式会社の主催で開催されている。

 ここでは、会場で展示されていた教育ITソリューションのうち、LMS(Learning Management System)を中心にレポートする。LMSは、電子教科書システムなどと連携し、生徒の操作をトラッキングするほか、出席状況や掲示板、グループワークでの発言など、各種のデータをログとして蓄積。ビッグデータとして分析することで、生徒の学習状況や理解度、問題のある生徒の抽出などを行う。これにより、授業内容の改善や個別の生徒のフォローに役立てられる。

 京セラ丸善システムインテグレーション株式会社は、九州大学の全学生・教職員2万7000人を対象に、電子教科書システム「BookLooper」を2016年4月から導入。授業中の操作をリアルタイムに分析し、指導への反映や授業のブラッシュアップが実現しているという。

BookLooperでは、生徒が読んだページだけでなく、拡大箇所などの操作履歴を収集、書きこんだメモを対象とする検索も行える
小学生向けにIoT機器を利用して行動履歴を収集したり、授業中の発話内容を録音して分析し、生徒ごとのきめ細かい指導に役立てるシステムの開発も進めているという

 NTTドコモ株式会社の出展ブースでは、株式会社デジタル・ナレッジ提供のeラーニング総合プラットフォームLMS「KnowledgeDeliver」を展示する。PCやスマートフォン、タブレットで利用可能で、クラウドやASP、オンプレミスと提供形態も多彩だ。

KnowledgeDeliverは、収集した学習履歴の分析から運用管理までが可能なソリューション。PowerPointや映像を活用した教材作成の機能も併せ持つ
KnowledgeDeliverとビジネス向けLMS「Mananda」の無償オプションとして提供されている「Analytics+」。学習履歴を分析し、学習者の傾向や行動を可視化できる

 ネットラーニング株式会社では、成績情報を一元管理できるクラウド型LMS「Multiverse」を開発している。4月には、学習履歴の国際標準に国内で初めて対応したという。

学習履歴の国際標準である「Caliper」に対応することで、大学、企業などの異なるLMSにデータを引き継ぎ可能になるという
学習履歴の分析画面。テストの結果をサマリーで表示できるだけでなく、さまざまな学習データを収集、分析できる

 ソニー株式会社でも教育ICT関連の展示を行っていた。ここでは動画コンテンツの収録から配信管理までが可能な「Mediasite Enterprise Video Platform」と、デジタルペーパー端末とLMSの連携システムを紹介する。

Mediasite Enterprise Video Platformは、講義を収録した動画コンテンツの収録から配信までを提供。LDAP認証サーバーやLMSとの連携にも対応する
デジタルペーパー端末への「手書き」を活用した学習効果の向上や、添削作業の効率化とペーパーレス化を実現。さらに教員とのコミュニケーションや、操作ログの蓄積によるLMSとの連携にも対応