百度、次世代の検索エンジン構想「Box Computing」を発表
検索ボックスからあらゆるサービスをワンストップで提供
中国の検索エンジン「Baidu.com」を展開するBaidu(百度)は18日、中国・北京でBaiduの顧客や技術者を対象としたイベント「Baidu World 2009」を開催した。
「Baidu World」は、Baiduが毎年開催している最大規模のイベントで、今回の「Baidu World 2009」の参加者は総勢約3000人。午前中に行われた基調講演では、BaiduのRobin Li会長兼CEOが、今後のBaiduの構想として「Box Computing」という概念を発表した。
「Baidu World」のイベント会場 | BaiduのRobin Li会長兼CEO |
●検索ボックスからワンストップサービスを提供
「Box Computing」とは、検索ボックス(検索窓)を通じてユーザーにあらゆるサービスをワンステップで提供しようという概念。入力されたキーワードからユーザーが本当に求めているものは何かを判断し、単にWebページの検索結果だけでなく、辞書や地図、ショッピング情報など必要な情報を提供しようという考え方だ。
Li氏は、「将来、PCやあらゆる端末からシンプルに検索ボックスに必要なものを入力するだけで、システムがニーズを自動識別し、それぞれのニーズを満たす最適なアプリケーションやサービスを提供することが可能になる」として、Baiduは検索ボックスからユーザーにあらゆるサービスを提供していくという構想を語った。
この構想に沿ったサービスとしては、既に検索キーワードに関連するニュースを表示する機能や、辞書、計算機、カレンダー、地図、電車の時刻表などのサービスを展開していると説明。これをさらに発展させ、動画やゲーム、ショッピングといった分野にも展開していくとした。
Li氏は、こうした「Box Computing」を支えるコア技術は「ユーザーのニーズ識別技術」になるが、これには語義分析や行動分析、知的インタラクション(Intelligent Human-Computer Interation)、膨大な計算処理などが含まれると説明。さらに最短時間での処理が求められるため、非常に高い技術が要求されるとして、現在多くの技術者がこの構想に向けて開発に取り組んでいるとした。
また、もう1つのコア技術としては、「Box Computing」のプラットフォームをサードパーティに開放している点が重要だと説明。ユーザーの多様なニーズをワンストップで満足させるためには、様々な企業がBaiduのプラットフォーム上でサービスを展開することが重要であり、企業にとってもBaiduにサービスを提供することは多くのビジネスチャンスをもたらすとして、来場者に対して「Box Computing」への参加を呼びかけた。
入力された検索ワードに応じてニュースやカレンダー、辞書、計算などさまざまなサービスを提供 | 「Box Computing」を支えるコア技術は「ユーザーのニーズ識別技術」で、これには語義分析、行動分析、知的インタラクション、そして膨大な計算処理が含まれると説明 |
●Baiduはまだ成長期の早い段階
BaiduのRobin Li会長兼CEO |
講演を終えたRobin Li氏に、今回のイベントについて短時間のインタビューを行った。
――今回の「Baidu World 2009」の参加者にはどのようなメッセージを伝えたいと思っていますか。
Li氏:今回は3000人規模のイベントになりましたが、それだけBaiduが持っている最新の技術に興味のある人たちが多くいるということだと思います。Baiduでは今回のようなイベントだけでなく、技術者とのコミュニケーションを頻繁に行っています。私自身も技術者なので、「Baiduの技術を使うことで自分の夢が実現できます」と技術者の方にはいつもお伝えしています。
――サードパーティに対してのプラットフォーム提供はどのような形で行っているのでしょうか。
Li氏:サードパーティに対しては、「アラジン」というオープンプラットフォームを提供していて、例えばユーザーが為替レートを知りたいと思って検索すると、サードパーティから提供された為替レートが表示されるようになっています。これまでにだいたい2000~3000社からの申し込みがあって、約60社が既にサービスを提供しています。
――今回発表した構想による、Baiduの今後の発展の見通しは?
Li氏:Baiduはまだ成長期の早い段階にあり、成長の余地がたくさんあります。中国のインターネット市場自体も成長を続けており、ユーザーがネットを利用する時間も長くなっています。特に、これから携帯電話の3Gネットワークが普及していくにつれて、携帯でネットを利用するユーザーも増えていきます。ネットの中国語情報も急速に増えていて、Baiduを利用して欲しい情報がより多く手に入るようになってきています。さらに、Baiduは日本にも進出していますので、もちろん日本市場もBaiduにとって大きな成長ポイントです。
――日本市場に対しての期待は?
Li氏:Baiduは日本のユーザーの検索エクスペリエンスを非常に重要視しています。より競争力のある検索エンジン、日本ユーザーに合う検索エンジンを提供していきたいと思います。
――ありがとうございました。
関連情報
(三柳 英樹)
2009/8/18 22:32
-ページの先頭へ-