インタビューから記事生成まで行う「ジャーナリストロボット」


ジャーナリストロボット

 情報処理学会創立50周年記念(第72回)全国大会のデモ展示企画「今ドキッのIT@御殿下記念館2010」では、東京大学大学院情報理工学系研究科の國吉・原田研究室が「ジャーナリストロボット」を展示している。

 ジャーナリストロボットは、身の回りで起きる事象を発見して、ニュース性があると判断した場合には、自動で記事を生成する自律行動型のロボット。今回の研究は、文部科学省科学研究費補助金特定領域研究の「情報爆発時代に向けた新しいIT基盤技術の研究」に関するコーナーで展示されている。

 ジャーナリストロボットでは、事前に学習した地図と現在情報を利用して自己位置を推定。また、小物入れやワイン瓶など、事前にラベル情報を付加した画像群を学習しており、自己位置情報と現在画像から異常領域を計算し、一定以上の異常性を検知した場合にはニュースのきっかけとみなして、異常があった場所へと移動する。

 例えば、室内にポスターが新たに設置されたのを確認した場合、ロボットは直前まで接近して画像を撮影。合わせて、画像アノテーションにより、撮影した物体と見た目が似ている既知の物体名(この場合はポスター)を取得する。

 次いで、周辺に人がいないかを探索し、人がいる場合には接近して合成音声によるインタビューを試みる。インタビューでは、取得した物体名をテンプレート文に組み込んで質問を実施。インタビュー中には、得られた回答をもとに、過去に蓄積した情報を使って追加の質問をして詳細を得ようとする。そして、回答者から得たニュース性の有無に関する評価を加味した上で、ニュース性があると判断した場合には、ニュース記事を先ほど撮影した画像とともに生成する。

 ジャーナリストロボットでは、場所依存の異常性検出に基づいてインタビューする自律行動システムや、移動体の自己位置情報を利用した画像からの異常領域検出といった技術が利用されている。説明員によれば、警備用ロボットとしての利用に加えて、異常の発見および異常場所への接近といった要素は、自動車への応用も考えられるとした。


ジャーナリストロボットの概要図自己位置情報と現在画像から異常領域を検出する

その後、人を発見するとインタビューを試みるニュース性があると判断した場合には記事を生成する

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(村松 健至)

2010/3/9 19:49