レシートログで、未来の消費行動を天気予報形式で予測


iPhoneアプリで消費予報を表示したところ

 東京大学・本郷キャンパスで、「情報処理学会創立50周年記念(第72回)全国大会」が3月12日まで開催されている。これに合わせて、同キャンパスの御殿下記念館ジムナジアムをメイン会場に、情報処理の活動や将来像を紹介するデモ展示企画「今ドキッのIT@御殿下記念館2010」が10日まで開かれている。

 会場には、戦略的創造研究推進事業(CREST)の研究領域の1つである「共生社会に向けた人間調和型情報技術の構築」のうち、研究課題「“食”に関わるライフログ共有技術基盤」に関する展示コーナーが設けられている。

 「レシートログと消費行動に関する未来予測」では、レシートをスキャナーで取り込み、OCRによって得られた購買情報(店舗名や住所、日時、消費金額、品目など)を「レシートログ」として記録し、消費行動の傾向を視覚化することを試みている。2月2日時点で27人から2191枚のレシートを集めた。レシートは、78%が食事関係のものだったという。なお、この研究の一部はNTTレゾナントとの共同研究によるものになる。

 収集した購買情報から、その人の消費行動における「時間的周期性」と「場所的周期性」を推測。消費行動における未来予測では、過去の消費状況と予測する未来の状況が類似する場合、過去と同じような消費が再発生するとの仮説をもとに、消費者に対して「消費予報」を提示する。

 「消費予報」は、本研究用に開発したiPhone用アプリケーションで確認が可能。天気予報を模したユーザーインターフェイスを目指した。画面上に表示された地図は、メッシュ状に区分けされており、利用者が未来に消費する金額を青や緑、赤などで色分けして表示。加えて、消費する可能性の高さを各色の濃さで表現している。

 画面下には、「どこかで、400円使うでしょう」や「明日は1000円くらい使うでしょう」というように消費金額の予測をメッセージで表示。また、消費の可能性が高い場合には、「注意報」や「警報」としてメッセージを表示する。

 実際にアプリケーションの試用者から得られたアンケート結果によれば、「提示された金額に近い消費の仕方になった」や「消費行動に関する意識を持つきっかけになった」といった意見などが得られたという。このことから、個人のプライマリーバランスの改善効果が見込めると結論を出した。加えて、レシートには食事に関する情報が多数含まれていることから、食事ログや食事メニューの予測も可能だとした。


明後日までの予報を提示できるレシートから行動状況を可視化研究概要

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(村松 健至)

2010/3/10 13:29