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INTERNET Watch編集部が選ぶ、2025年の印象的だったニュース30選

 本誌が2025年にお届けしたニュースの中から、特に印象的だったもの、2026年以降の展開が期待されるものなど、年の終わりに読み直しておきたい記事30本を紹介する。

 ピックアップした記事は、セキュリティ関連が多くなった。詐欺から国家を背景とした組織によるサイバー攻撃まで、攻撃者も手口も多様化しているうえ、その対策にも大きな動きがあった。

 製品・技術関連では、発展が期待される「Wi-Fiセンシング」を応用したサービスの登場や、エネルギー・環境問題とも関係する「ワット・ビット連携」の話題などを取り上げている。また、年末に発表された超高速光回線「フレッツ 光25G」の今後にも注目したい。

  1. NTT東日本、「116」を土日休業に。2月1日から(1月9日)
    各種問い合わせ・申し込みの窓口となる「116」などを土日休業とし、代替として「Web116.jp」を推奨。2025年3月には天気予報の「177」終了など、NTTグループでサービスの再編・ウェブ移行が続く。法人向けには法人のお客さまマイページというサービスも提供されている。
  2. 北朝鮮による暗号資産の窃取に対し、日米韓が共同声明。「違法な大量破壊兵器及び弾道ミサイル計画のための不法な資金を途絶する」(1月17日)
    2024年5月に「DMM Bitcoin」から約482億円相当の暗号資産が窃取される事案が発生し、北朝鮮を背景とするサイバー攻撃グループ「TraderTraitor」によるものと特定された。本件はこれを受け、ブロックチェーン技術産業および国際社会への注意喚起を行うもので、官民連携による対策、3国の連携による対策に取り組むとしている。
  3. 警察庁とNISC、サイバー攻撃グループ「MirrorFace」(Earth Kasha)の手口を詳細に解説し注意喚起(1月17日)
    MirrorFaceは中国を背景とされるサイバー攻撃グループ。政府関係者や政治家、学術・宇宙分野の組織、学術関係者やマスコミ関係者をターゲットにした攻撃キャンペーンが行われているとして、注意喚起が行われた。
  4. ダークパターン対策協会、対策ガイドライン ver1.0を公開し、意見を募集(2月3日)
    「ダークパターン」とは、利用者・消費者が気づかないうちに不利な選択をさせられてしまうウェブサイトなどのデザイン。同協会はウェブのダークパターン撲滅を目的に2024年に設立され、ガイドライン制定に取り組んでいる。
  5. 年末年始に相次いだDDoS攻撃を受け、内閣サイバーセキュリティセンターが注意喚起を実施(2月4日)
    2024年末~2025年初頭にかけ、通信会社、航空会社、銀行といった重要インフラを狙い、機能停止に追い込むDDoS攻撃が相次いだ。これを受け、事業者に向けて、適切なセキュリティ対策を講じるよう注意喚起が行われた。
  6. PoEに対応しデバイスの充電もできるUSB有線LANアダプター「LAN-ADPOEC」、サンワサプライが発売(2月17日)
    数々のユニークな周辺機器を発売するサンワサプライの製品の1つ。「清水理史の『イニシャルB』」でも、本製品USB-RJ45変換ケーブルをレビューしている。
  7. 警察庁、保護者向けに「ゲーム上で子どもの信頼を得たうえで犯罪行為を行う者がいる」とオンラインゲームの現状を説明し、注意喚起(2月21日)
    高校生がオンラインゲームで知り合った男に連れ去られ、その後ミャンマーの特殊詐欺拠点から保護されるという事件が発生。警察庁では、保護者向けにオンラインゲームでどのようなことが起こりうるかを説明し、注意を呼びかけた。
  8. NECプラットフォームズ、Wi-Fi 7デュアルバンド対応ルーター「Aterm 7200D8BE」発売(3月13日)
    Wi-Fi 7ルーターが続々登場した中、沈黙を続けていたNECプラットフォームズが発売した、初のWi-Fi 7ルーター。高機能モデルでなく、2024年終盤から数を増やした低価格なエントリーモデルでもない、デュアルバンドに10Gbps WANで実勢価格2万円台というスペック。bnでは、同社初のWi-Fi 7対応機なのにデュアルバンドってどういうことなんだ~? と、清水理史氏が大いに語った。
  9. Google、日本政府も巻き込み「Japan Cybersecurity Initiative」設立、社会全体のセキュリティ底上げへ(3月13日)
    Googleが、産学官連携による日本のサイバーセキュリティ意識向上と専門人材の育成支援を目的とした団体「Japan Cybersecurity Initiative」を設立。岸田文雄元総理や慶應義塾大学の村井純教授らも設立イベントに参加した。
  10. IoT製品のセキュリティラベリング制度「JC-STAR」運用開始、経産省とIPA(3月26日)
    IoT製品のセキュリティ性能を評価し、適合した製品に分かりやすいラベルを付与する「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度」(JC-STAR)の運用が開始された。同制度の詳細に関してはIPAへのインタビュー記事もあわせてお読みいただきたい。
  11. Wi-Fiの反射波で不審者を検出する“Wi-Fiセンシング”の家庭向け防犯サービス、オプテージが提供(4月1日)
    Wi-Fiの電波を、人や物の動きを検知するセンサーとして利用する「Wi-Fiセンシング」技術を応用した防犯サービスの提供を、オプテージが開始した。今後さらに活用が広まることが期待される。
  12. 楽天証券をかたるフィッシング、「【重要】オンラインサービスご利用条件の変更について(要確認)」などの不審なメールに注意(4月1日)
    3月末からオンライン証券口座の乗っ取りが大きな問題となった。乗っ取りの有力な手口とみられるフィッシングについて、楽天証券以外を偽装したものへの注意喚起など、多くの記事を公開している。また、「ネット詐欺リポート」の分析なども参考にされたい。
  13. 日本-米国-欧州間ネットワークを400Gbpsに増強、NIIが学術情報ネットワーク「SINET6」で実現(4月7日)
    学術情報ネットワーク「SINET6」(Science Information NETwork)の国際回線において、日本-米国-欧州を結ぶネットワークの全帯域を400Gbpsに増強。欧州の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)や、核融合実験炉(ITER)など国内外の大型実験設備との連携において活用される。
  14. ユーザー自身に悪意あるコードを“コピペ&実行”させるサイバー攻撃「ClickFix」(4月9日)
    偽の認証画面やエラー画面を表示すると同時に、偽の解決方法まで表示し、ユーザー自身にマルウェアをインストールするためのPCの操作などを行わせる、新たな攻撃手法が「ClickFix」。2025年後半にかけて被害情報や亜種の情報が増え、ファイル選択ボックスを悪用する「FileFix」という手法も登場している。
  15. 集合住宅で「アップグレードできる無料インターネット」提供へ、ソニーネットワークコミュニケーションズとファイバーゲートが提携(4月11日)
    成長を続ける集合住宅のネット回線市場で、ソニーネットワークコミュニケーションズとファイバーゲートが提携を発表。サービスの進化・多様化が期待される。
  16. IIJ、「セキュアMXメールサービス」で顧客情報漏えいの可能性、最大400万アカウント超(4月15日)
    IIJの法人向けメールセキュリティサービス「IIJセキュアMXサービス」において不正アクセスが確認された。後日行われた説明では、第三者によって開発されたソフトウェアが原因で、31万1288件のメールアカウントが流出した可能性があるとしている。
  17. 総務省、Google・LINEヤフーら5社を「大規模プラットフォーム事業者」に指定、誹謗中傷などの迅速な対応求める(5月1日)
    4月に情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法。旧:プロバイダ責任制限法)が施行されたことを受け、Google、LINEヤフー、Meta、TikTok、Xの5社が「大規模プラットフォーム事業者」に指定された。指定された事業者は、侵害情報送信防止措置の実施手続きの迅速化および、措置の実施状況の透明化を図るための義務が課される。この後にも、大規模プラットフォーム事業者の追加指定が行われている。
  18. NTT、「NTT株式会社」へ商号変更、グループ各社とともに商号・ロゴを刷新(5月9日)
    NTT(旧:日本電信電話株式会社)が、NTT株式会社へと商号変更を発表、グループ各社も同様に商号を変更し、あわせてロゴの刷新も行うことが発表された。変更は7月1日に行われた。
  19. NHKの新ネット配信サービス、「NHK ONE」に名称決定。10月に提供開始(6月20日)
    10月1日の放送法改正によりNHKのネット業務が「任意業務」から「必須業務」となることを受け、番組やニュースを配信するサービスの名称がこの日発表された。
  20. 都内の暑さ指数をチェックできる「東京暑さマップ」、日本気象協会と東京都が公開(6月23日)
    夏の猛暑に備え、2024年に定められた熱中症予防・対策の啓発強化を目的とした「TOKYO『熱中症ゼロへ』アクション事業」によるサービスが登場。都内全域を対象に、1時間ごとの暑さ指数を1kmメッシュ単位で表示し、7日先まで1日ごとの暑さ指数も表示する。
  21. 「国家サイバー統括室」(NCO)発足、能動的サイバー防御の導入へ加速(7月1日)
    旧:内閣サイバーセキュリティセンターが「国家サイバー統括室」として新たに発足した。bnを受けた動きの1つ。
  22. cheero、リコール対象のモバイルバッテリー「cheero Flat 10000mAh」使用者に連絡・回収呼び掛け。山手線車内での発火事案で(7月24日)
    JR山手線車内でモバイルバッテリーが発火する事案が発生。対象製品はcheeroが以前からリコールしていたもので、あらためて呼びかけが行われた。
  23. Google、ウェブ検索の「AIモード」を日本語対応(9月9日)
    長く複雑な文章に対してAIが回答し、例えば旅行のプランなどの回答も得られる「AIモード」機能が日本語に対応した。なお、ウェブ検索の結果に「AIによる概要」を表示する「AI Overviews」機能とは異なる(こちらは2024年8月から日本で提供されている)
  24. 九州電力・IIJら5社、「ワット・ビット連携」に基づく地域分散型デジタルインフラの実証プロジェクト(9月25日)
    AIなどによるデータセンター需要の急進を受け、電力インフラと通信インフラを連携させ、脱炭素・地域振興・AI活用を同時に実現する「ワット・ビット連携」構想が注目されている。本件はその実証プロジェクトの1つで、2026年3月まで実施される。
  25. アサヒグループHD、サイバー攻撃によるシステム障害発生を発表(9月30日)
    アサヒグループホールディングスがサイバー攻撃を受け、同社製品の出荷が停止になるなどして、店舗に同社の飲料が並ばなくなるなど大きな衝撃を与えた。11月に行われた説明会では、個人情報流出などの可能性や、復旧の見通しが発表されている。
  26. NTT、「IOWN 2.0」を発表。Broadcomらと協業し光電融合スイッチを2026年に製品化(10月9日)
    NTTのネットワーク・情報処理基盤構想「IOWN」は2023年に「IOWN 1.0」がスタートしているが、今回は次の段階として、2026年に製品化を予定する光電融合スイッチについて発表された。大原雄介氏による解説もあわせてお読みいただきたい。
  27. アスクル、ランサムウェアによるシステム障害でサービス停止(10月20日)
    ランサムウェア攻撃を受け、事務用品通販サイト「ASKUL」のほか、生活用品通販サイト「LOHACO」、法人向け購買サイト「ソロエルアリーナ」で受注・出荷を停止。同社グループに配送を委託していた無印良品ネットストア、ロフトネットストアも影響を受けた。12月に同社は調査結果を発表し、情報流出が確認された情報や詳細な経緯を明らかにしている。
  28. データセンターの無線LAN化目指し、ATRら11者が「テラヘルツ波による超大容量無線LAN」技術開発。150GHz帯で高速双方向通信実現(11月25日)
    データセンターのネットワークは有線LAN――とは、あらためて述べるまでもない常識だろうだが、本研究は無線LAN化にすることで配線のための物理的な制約を取り除くことを目指したもの。
  29. 「フレッツ 光25G」、NTT東日本が国内最速となる上下25Gbpsの光回線を2026年3月提供(12月23日)
    国内初であり最速の商用光回線サービスとして、2026年3月の提供開始を発表。サービス開始時の提供地域は東京都中央区の一部のみとなる。
  30. 電話、SMS、ビデオ通話などを組み合わせ、複雑な演出の「複合型詐欺」が流行〜トビラシステムズ「特殊詐欺・トレンド詐欺手口レポート2025」(12月23日)
    いわゆる「ニセ警官詐欺」などの複合型・劇場型手口について解説されたレポート。手口を複雑化させることで被害者を混乱させたり、劇場型詐欺としてのリアリティを演出したりする効果があるとしている。