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集合住宅で「アップグレードできる無料インターネット」提供へ、ソニーネットワークコミュニケーションズとファイバーゲートが提携

株式会社ファイバーゲート 代表取締役 社長執行役員 猪又將哲氏(左)、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社 執行役員副社長 NURO事業部 事業部長 永井直紀氏(右)

 ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社と株式会社ファイバーゲートは4月10日、集合住宅向け光回線サービス事業における提携を開始した。両社の持つアセットを相互に連携し、ネットワークとソリューションを組み合わせた新たな付加価値を共通することを目指すとしている。

 同日実施された発表会において、ファイバーゲートの猪又將哲氏(代表取締役 社長執行役員)は、同社の事業の課題や、提携の狙いについて語った。

 同社は「インターネット無料マンション」を実現する集合住宅向けのインターネットサービスをはじめ、さまざまな事業を展開している。現状の集合住宅向けインターネットサービスでは、急増するトラフィックへの対応のほか、円高による機材などの調達原価や人件費の高騰もあってのコスト増、回線品質向上の取り組みの継続、といった課題があるという。今回の提携により、回線品質向上に加え、(BtoBtoCである集合住宅向けサービス以外の)コンシューマー向けサービスの展開、そしてARPU向上を目指すとした。

猪又氏は、現状の「インターネット無料マンション」サービスはコスト増を価格転嫁しにくい問題があると指摘した。今後のためには、付加価値の高いサービスの開発などを目指す必要があるという

 続いて、ソニーネットワークコミュニケーションズの永井直紀氏(執行役員副社長 NURO事業部 事業部長)が、同社の提携の狙いや、直近の取り組みなどを紹介した。

 同社ではSo-net、NURO 光、NURO Wireless 5G(ローカル5Gサービス)といった集合住宅向けサービスを提供しているが、まだまだ課題となる点も多い。また、今後のインターネット回線ニーズの推移は横ばいが予測されている中で、集合住宅の全戸一括加入型サービスは成長が見込まれているという。

 そのような状況で、同社のアセットとグループの技術に、ファイバーゲートの幅広いサービスと集合住宅業界への深い造形を組み合わせ、集合住宅向け通信ソリューション事業の規模を広げていきたいとした。

永井氏は、現状の集合住宅向けインターネット接続サービスにおいて料金(の安さ)が重視される一方で、通信速度も求められるというユーザー調査の結果も発表。マーケットの声を聞いたサービス開発をしていくという姿勢を示し、猪又氏も共通の見解を語った

 具体的な初動施策として語られたのは、全戸一括加入型と任意加入型の集合住宅向けインターネット接続サービスの「いいとこ取り」となるサービスだ。

 全戸一括加入型サービスは、入居者にとって入居してすぐに利用できて手軽であり、一括で導入するうえにオーナーなど管理者側が料金の一部を負担するため割安でもある。一方で、高速・大容量通信を求める入居者の要望に応えられない場合もあることが課題となる。

 そこで、全戸一括加入型サービスを提供しながら、希望者には個別に高速通信サービスにアップグレードできるようにする。このような両者の機能を兼ね備えたサービスは「今までにありそうでなかった。おそらく業界初となる」とコメント。現在ファイバーゲートがサービスを提供している集合住宅から、提供を目指すとした。

提携による事業共創で目指す姿の図解
初動施策として語られた、アップグレード可能な一括加入型インターネット接続サービスのイメージ