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【10ギガ回線化顛末記】1ギガから10ギガへのプラン変更ができないだと!?
2025年12月29日 06:00
これまで筆者は、自宅のインターネット回線として速度1Gbpsの光回線を利用していた。速度的に大きな不満はなかったものの、昨年ごろから10Gbpsの光回線を利用していることを前提とした仕事の依頼が増えてきていた。そこで、光回線の10Gbps化を実行することにした。
既存1Gbps回線の10Gbps変更は諦めるしかなかった
筆者がこれまで利用していた光回線は、IIJmioひかりの1Gbpsプランだ。現在の自宅は一戸建てで、2024年5月に入居するタイミングに合わせて契約し、利用してきた。
それ以前の家では、長らくIIJの光サービスを利用していた。品質の良さなどもあって、できればそのままIIJのサービスを使いたいと考えていた。ただ、新居への入居タイミングに合わせて10Gbpsの光サービスに移行できればよかったのだが、入居のタイミングではIIJmioひかりでは10Gbpsのサービスが提供されていなかった。そのため、とりあえずは1Gbpsでもいいかと考えて契約した。
そして、それから約3カ月後の8月20日、IIJmioひかりで10Gbpsのサービスが開始になるとの発表が。これは即切り替えたい! と思って調べ始めたのだが、そこで大きな壁にぶつかることになった。
IIJmioひかりの10Gbpsサービスは、開始当初は新規契約でしか契約できず、1Gbpsから10Gbpsへのプラン変更は行えなかった。当初は、まあ半年ぐらいで1Gbpsからのプラン変更もやってくれるようになるんじゃないか、と思って様子を見ることにしたのだが、その後も一向に1Gbpsからのプラン変更は提供されず、記事掲載の2025年12月時点でもまだ提供が開始されていない。
そして、その間も10Gbps光回線に絡んだ仕事の依頼がいくつかあり、さすがにそろそろ動かないと、と思い始めた。そこで、どうにか10Gbps化できないか、IIJmioひかりのサポートに聞いてみることにした。
すると、ほとんどの場合、先に1Gbpsの光回線を解約した後に、新たに10Gbpsの光回線を新規契約で導入する必要があるとのことだった。ただ、まれに1Gbpsの光回線を残したまま10Gbpsの光回線を引ける場合もあるそうで、念のためそちらも確認してもらったが、残念ながら筆者宅ではそれができず、やはり先に1Gbpsの光回線を解約するしかないとのことだった。
しかも、1Gbpsを解約して10Gbpsに新規契約する場合、その間にはネット不通期間が発生するという。しかも、その期間は1週間程度ですむ場合もあれば、数週間かかることもあるというのだ。
筆者はフリーランスで、仕事は基本的に自宅で行っている。日々大量のデータ通信を行っているわけではないが、記事や写真データの送受信、仕事に関連するメールの送受信、オンライン会議などが日々発生するため、速度の遅いネット環境では仕事の効率が大きく低下する。その他にも、自宅には各種IoT機器やサーバ、NASなどネットに常時接続させている機器が多くあり、それらの利用にも支障が出てしまう。
それだけでなく、筆者宅は義理の両親との2世帯住宅で、双方のネット環境を1本の光サービスでまかなっている関係で、義理の両親の仕事にも影響が出てしまう。そのため、可能な限りネット不通期間を発生させたくなかった。
もちろん、その間を代替の通信手段でまかなうことも不可能ではないだろう。
例えば、筆者のスマホはデータ無制限の契約なので、そちらのテザリングでまかなうことも可能かもしれない。また、筆者はドコモの「home 5G」も契約しているので、そちらが活用できればよかったかもしれない。
ただ、スマホのテザリングは、筆者が外出する時にスマホを持ち出すとネット接続ができなくなる。home 5Gも、東京から遠く離れた香川県の実家と、実家そばの借家に設置しているため、物理的に利用不可能だ。
そして、それらはいずれも携帯通信を活用することになるが、残念ながら筆者宅は主要4キャリアとも5Gのエリア外(もしくはギリギリエリアの端)で、携帯通信の速度も速くない。
このように、ネット不通期間を発生させたくないし、代替の通信手段を用意するのも難しいということで、別の手段で10Gbps化することにした。
最終的に、OCN×ドコモ光の10Gbpsサービスを選択
というわけで、新たな事業者の選択を開始した。選択肢としては、フレッツ 光クロスを引いて適当なISPと契約する、または新たな光コラボレーション事業者と契約する、のいずれかだろうと考えて、検討を開始。
まず、フレッツ 光クロスを引いてISPと契約する、という方法については、その後のISP選択などでも自由度が高いものの、料金がフレッツ 光クロスの6060円+ISP利用料となり、月額7300~8000円程度(各種割引サービスを利用しない場合)となる。IIJmioひかりが月額5456円だったので、結構な料金増だ。
それに対し、新たな光コラボレーション事業者と契約した場合の月額料金は、事業者によって多少の差はあるが、多くが6400円前後。フレッツ 光クロスを引くよりも月1000円ほど安くなる。年間1万2000円前後の違いは大きいので、こちらを選択することにした。
そのうえで新たな事業者としていろいろな事業者を検討したが、最終的に選択したのが、OCN×ドコモ光だった。最大の理由は、筆者や家族が利用している携帯電話回線の多くがNTTドコモだから、というものだ。
筆者は、これまでドコモ光は利用していなかったが、先に紹介したように、ドコモのhome 5Gを実家と実家そばの借家で利用しており、「home 5G セット割」で携帯回線の割引を受けられていた。そこにドコモ光を追加したからといって「ドコモ光セット割」を併用できるわけではないため、トータルの料金に変化はない。ただ、home 5Gはいつまで利用するか分からず、今後解約することも想定しての選択だった。月額料金は、2年定期契約で6380円。IIJmioひかりから924円高くなるが、そこは10Gbps化の必要コストでもあるし、それまで受けられなかった仕事を受けられるようになることを考えると、不満はなかった。
結局、新規に10Gbpsの光回線を敷設し、その後1Gbpsの光回線を解約することに
新たな事業者も決まり、契約の手続きを開始したが、ここで新たな選択を迫られることになった。
今回、IIJmioひかりからOCN×ドコモ光に事業変更するにあたって、当初はIIJmioひかりをOCN×ドコモ光に事業変更し、そのタイミングで10Gbpsに切り替えるのがいいだろう、と考えていた。ただ、OCN×ドコモ光のサポートと相談していたところ、それではネット接続の不通期間が数日から最長1週間程度発生する場合がある、とのことだった。
IIJmioひかり、OCN×ドコモ光ともに接続方式がIPoEのため、まず先に利用している事業者の登録を解除し、その後新しい事業者を登録する必要があるが、その作業に数日から1週間程度かかる場合があるという。
もしそうなっても、新しい事業者の登録が完了するまではPPPoE接続にすることで通信を継続できる場合もある。しかしOCN×ドコモ光はPPPoE接続を提供しておらず、その方法が利用できないため、最悪1週間ほどネット不通の期間が発生する可能性がある、というわけだ。
先に紹介したように、今回はネット不通期間を発生させたくなかったので、どうにかならないか相談したところ、それならOCN×ドコモ光を新規で引いて、その後IIJmioひかりを解約するのはどうか、ということを提案された。
この場合、自宅にもう1本光回線を敷設することになる。そして、新規工事費用として最大2万2000円かかるという。もとの光回線を利用した事業者変更ならその工事費用は不要なので、これはどうしたものかとも思ったが、かかった工事費用に相当するdポイントを開通後24カ月分割で還元するので実質無料になる、と説明された。
さらに、契約後のキャッシュバックが、事業者変更では3万円のところ、10Gbpsプランの新規契約なら5万5000円になるとのこと。それなら、最初に工事費用が発生しても、実質無料になるうえにキャッシュバックも増えるというならいいか、と納得することに。
というわけで、最終的には、新たにOCN×ドコモ光の10Gbpsサービスを新規契約して新たに光回線を敷設し、開通後にIIJmioひかりを解約することにした。
約1カ月で10Gbpsの光回線が開通
OCN×ドコモ光に新規契約で申し込んだのが9月20日で、上で紹介した選択を迫られたのが9月22日。2日ほど悩んだうえで9月24日に新規契約で新たな光回線を敷設することを伝えて、正式に契約となった。
そして、9月29日に、工事日が10月17日になったと連絡が来た。通常なら契約から2週間ほどで開通するようだが、筆者が契約した時期は光回線の工事が集中していたらしく、少々時間を要することになった。とはいえ、工事日も決まってひと安心。その後、10月4日にOCNから契約完了案内とともに、接続情報などが書かれた書類が届いた。
そして迎えた10月17日、午前10時頃に工事が始まった。工事は滞りなく進み、宅内に光ファイバーを新たに引き込み、1時間ほどで完了した。
新しい光ファイバーは、IIJmioひかりの光ファイバー同様に、宅内に設置している情報盤に引き込み、IIJmioひかり用のONUの横に、光コンセントと新しいONUを設置。あとは、IIJmioひかりのONUとルーターを接続しているLANケーブルを、新しいONUのLANポートに接続。そして、念のためルーターを再起動すると、OCNバーチャルコネクトで正常に接続され、インターネットに接続された。おそらく、10月4日にOCNから書類が届いた時点でIPoEの登録も完了したものと考えられる。
念のため、速度をチェックしてみたところ、下りが1900Mbps前後、上りが2300Mbps前後だった。利用しているルーターは、バッファローの法人向け有線VPNルーター「VR-U500X」で、WANおよびLANそれぞれに10GbE LANポートを備えているが、チェックを行ったPCはまだ2.5GbE LANしか利用できない状況だったため、この程度の速度で頭打ちとなっているのだろう。それでも、それまで利用していた1GbpsのIIJmioひかりでは、条件のいい時でも上り下りとも700Mbps前後だったため、大幅な速度上昇となり、大満足だ。
その後、OCN×ドコモ光開通から3日後の10月20日、特にトラブルも発生せず安定して通信が可能だったため、それまで利用していたIIJmioひかりの光サービスの解約手続きを開始した。
解約はIIJmioの会員ページから行える。ただ、手続きを進めて行くと、その場で解約できるわけではなく、まずコンサルティングで光回線の廃止日を決める必要があるという。そして、そのコンサルティングで廃止日が決まり、実際に廃止されない限りIIJmioひかりも解約にならないそうだ。しかも、そのコンサルティングも最短で4日後の10月24日からしか予約できなかった。
その後、予約した10月24日にコンサルティングの連絡があり、持ち家かつ引越しによる解約ではないということで、光ファイバー自体の撤去を行うことなく廃止になるとのこと。ただし、最短での廃止日は1週間後の10月31日になるという。つまり、IIJmioひかりの解約もさらに1週間待たされることになるわけだ。
IIJmioひかりは光コラボレーションモデルのため、解約時にこういった手順を踏む必要があること自体はしかたがないだろう。しかし、ここまで長く待たされるとは思っていなかったので、ちょっとびっくりだった。IIJmioひかりの場合、利用料金は解約日までの日割り請求となるため、月をまたいでも特に大きな問題はないが、解約の申請から実際の解約までに時間がかかる点には気を付けた方がいいだろう。
そして、解約に伴いレンタルしていた機器の返却も必要となる。今回筆者の場合、レンタル機器はONU(光回線終端装置)のみなので、そちらを返却する必要がある。
今回、光回線の10Gbps化を決断してから、実際に開通するまでに1カ月弱かかった。おそらく通常よりも時間がかかったのかもしれない。それでも、知り合いの中には10Gbpsへの移行でかなりトラブルを抱えたケースも聞かされていたので、開通までは戦々恐々だったが、実際は全くトラブルなく開通できてひと安心だった。
とはいえ、10Gbpsの光回線を引いて終わりではない。このあとは、自宅内やPCなどの10GbE化を行う必要がある。というわけで次回は、そのあたりを紹介したいと思う。













