UQ田中社長、「WiMAXが真のモバイルインターネット」


 無線通信関係の総合イベント「WIRELESS JAPAN 2009」で22日、UQコミュニケーションズ代表取締役社長の田中孝司氏による講演が行われた。

クラウド時代には何よりもスピードが必要

UQコミュニケーションズの田中孝司代表取締役社長

 田中氏は、7月1日にUQ WiMAXの有料化サービスを開始し、これに合わせて流しているCMのメッセージ「GET SPEED」について、「スピードを追い求めていこうという我々のスタンスを表している」と説明。「固定系のインターネットではアプリケーションやデータがクラウド側に存在するようになってきており、これがそのままモバイルにも適用される時代が来ている」として、こうした時代には何よりもスピードが必要であり、それを実現できる技術がモバイルWiMAXだと強調した。

 田中氏は現状の3G携帯電話とモバイルWiMAXを比較し、「3Gは音声通話をベースに拡張したもので『なんちゃってモバイルインターネット』に過ぎない。ブロードバンドアクセスに特化したモバイルWiMAXこそが『真のモバイルインターネット』だ」と説明。また、LTEについては「3G陣営はLTEによってキャパシティを高めていこうという考えのようだ」として、「我々はやはりスピードを求めなければいけないと考えている」と語った。

 UQ WiMAXが展開するモバイルWiMAXサービスについては、「高速・大容量」「常時接続」「世界標準」「かんたん加入手続き」「いつでも・どこでも」という5つの特徴を挙げて説明。UQ WiMAXはスピード面では「最低3Mbps、ほとんどの所では5Mbps以上出る環境を目指している。PCで利用した場合には、5Mbps以上でないとストレスを感じる」として、「ADSL登場時のような驚きをモバイルでも体験してほしい」と語った。

クラウド時代にはモバイルにもスピードが必要だと強調WiMAXこそが「真のモバイルインターネット」と説明

エリア拡大もできるだけスピードアップ

 一方で、「一番の課題はエリア」だとして、ユーザーアンケートでも6割以上が「エリアが狭い」ことを不満として挙げていることを紹介。エリアの全国展開については「総務省に申請した計画よりも前倒しで進めていきたい」として、「来年の夏ごろにはイー・モバイルにも追いつけるのではないか」という見通しを示した。

 また、提供エリアとされている地域でも、ユーザーの意見では「屋内で電波が届きにくい」「エリア表示がわかりにくい」という声が多かったと説明。公開しているエリアマップだけでは電波の強い場所がわからないという反省点を踏まえて、住所を入力するとその場所の屋内・屋外での電波状況を表示する「ピンポイントエリア判定」のサービスを開始したという。

 基地局については、サービス開始時の基地局は約1600で、7月だけでも数百の基地局を追加したことで、首都圏では山手線内では屋外についてはほぼ対応できたが、屋内はまだ厳しい状況だと説明。今後さらに基地局を追加していくことで、電波の強いエリアを広げていくとした。

 ただし、屋内など電波の届きにくい場所については、屋外基地局だけでの対処は困難だとして、「特別な技術があるわけではないので、従来の携帯電話と同様の対策を進めていくしかない」と説明。これまでに主要駅や空港、イベント会場などに屋内用の小型基地局を設置しており、電波の届かない高層ビルの高層階には専用のアンテナを設置するなど、着実に対応を進めていくとした。

 田中氏は、2月から実施したお試しサービスの期間中にも「お客様の会」を2回開催するなど、「できるだけお客様の声を聞き、課題に迅速に対応していく。それがUQのスタンスだ」と説明。「一番の課題はやはりエリアの拡大。有料サービス開始後3週間ということもあってもう少しお待ちいただきたいが、エリア拡大はできるだけスピードアップしていきたい」と語り、講演を締めくくった。

ユーザーアンケートでもエリアに対する不満が多数住所入力で屋外・屋内の電波状況を表示する「ピンポイントエリア判定」を開始
基地局増設で屋外についてはカバー範囲を拡大屋内は小型基地局などで対応を進める

関連情報

(三柳 英樹)

2009/7/22 21:05