NTTドコモが触覚通信をデモ、ギターを弾いた感触を遠隔で再現
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無線通信の専門イベント「WIRELESS JAPAN 2009」のNTTドコモブースでは、物体を触る感覚を通信する技術「触力覚メディア」を展示している。また、同ブースのステージで、NTTドコモ先端技術研究所コミュニケーションメディア研究グループの林宏樹氏が「触力覚メディアとワイヤレス通信」について説明した。
林氏は、「触覚はアメーバでも持っている原始的な感覚で、コミュニケーションにおいても重要な部分」だと話す。「視覚(映像)や聴覚(音声)の通信は一方向のため、従来の技術で可能だが、触覚の場合は、作用反作用の法則を実現するための双方向通信になり、リアルタイム性が要求される。通信系、機械系、制御系が複雑に干渉し合うシステムになる」という。
続いて、デモ展示を中継映像で紹介。ユーザーが操作する「マスタ装置」と、物体に触れる「スレーブ装置」があり、マスタ装置にあるレバーを動かすと、スレーブ装置のレバーが連動して動き、物体に触ったときの反応をマスタ装置に返す仕組み。デモでは、遠隔でギターを弾いて見せた。MCの女性は、「手に感触が伝わってきて、遠くのギターが近くにあるようです」と話していた。
林氏は、「マスタ装置とスレーブ装置の間で、位置や速度、加速度(力の情報)を高速で通信し合っている」と説明。触覚通信の技術課題は、「通信遅延やジッタの影響で、システム全体が不安定になるところ」。今回は、遅延をスレーブ側の力次元のノイズとみなし、ノイズを推定して遅延を補償する技術「通信遅延補償」を取り入れたことで、遅延の少ない触覚通信を実現。なお、通信はLTEを想定している。
触覚通信で実現できる未来としては、「対戦格闘ゲームなどのパーソナル利用や、遠隔地からの触診など医療分野での利用、重機の操作といった産業利用」などが考えられるが、商用化は未定という。林氏は、「NTTドコモ先端技術研究所では、触覚を通信することで、より豊かな未来のコミュニケーションスタイルを実現したい」と語り、「ぜひデモを触って、体感していただきたい」とアピールしていた。
マスタ装置 | スレーブ装置 |
瓶やボールなども試せる | 通信遅延補償の概要 |
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(野津 誠)
2009/7/23 11:00
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