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熊本地震や震災に関する原稿を一般から募集、電子書籍とプリントオンデマンドで小部数からでも出版

 震災に関する出版企画や原稿を一般から募集し、電子書籍やプリントオンデマンドの印刷書籍で発行する緊急プロジェクトを、株式会社インプレスR&Dが開始した。「日本に住む私たちにとって地震は誰にでも降りかかり、そしていつ襲われてもおかしくない災害」だとし、「震災に関する体験談や知見など、さまざまな角度から捉えた地震の姿を書籍という形で広く伝える」ことが目的。

 今回の熊本地震に限らず、体験談、提案、科学的考察など、震災に関する広いテーマで募集する。他で出版していない原稿であること(インターネット公開は可)、他者の権利を侵害していない原稿であることが条件だが、個人であればプロ/アマ問わない。原稿の有無、原稿が執筆可能かどうか(原稿ありを優遇)、公序良俗に反していないかなど、企画内容を審査した上で出版するか判断する。

本震1時間後の益城町(「熊本地震体験記 -震度7とはどういう地震なのか?」より)
本震後に倒壊した益城町木山地区の家屋(「熊本地震体験記 -震度7とはどういう地震なのか?」より)

 インプレスR&Dではこのプロジェクトに先立ち、同社代表取締役社長の井芹昌信氏による書籍「熊本地震体験記 -震度7とはどういう地震なのか?」を発行している。井芹氏は、熊本地震で大きな被害を受けた熊本県益城町の出身。4月14日に起きた最初の地震の報を受けて同町の実家に帰宅した日の夜、16日未明に最大震度7の本震に遭った。同書では、熊本地震を身を持って体験した同氏が、「地震の現場で何を見て、どういう気持ちに襲われたか、そこで何を考え、どうしたか。避難所で、被災地で、復旧の現場で、著者が自身の目で見て感じたこと」をありのままにレポート。教訓として役立ててほしいとしている。価格(税別)は、電子書籍版が500円、印刷書籍版が800円。著者印税を含む同書による収益の一部は、熊本地震の義援金として寄付する。

 インプレスR&Dでは、同書の企画・編集作業を進めていく過程で、「震災に関するあらゆる情報を書籍というまとまった形にすることは、単にインターネットで情報を公開する以上の価値がある」と判断。今回の緊急プロジェクトを開始することにした。

 この緊急プロジェクトによる出版は、インプレスR&Dが展開するデジタルファースト方式の出版事業「NextPublishing」で行う。セルフパブリッシングや自費出版ではなく、ISBNコードが付与される“本当の出版”である一方で、電子書籍およびプリントオンデマンドによる印刷書籍であるため、売上予想規模が小さいテーマでも出版できるのが特徴。従来の出版では販売部数が数千部は見込めないと企画を採用できなかったが、NextPublishingでは数百部から出版できるという。Amazon.co.jpをはじめとしたオンラインストアのほか、リアル書店でも特約書店チェーンを中心に受注販売される。