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スマホなどデジタルデバイスへのデータ保存が「デジタル健忘症」を招く? カスペルスキーが解説

 株式会社カスペルスキーは8日、デジタルデバイスへのデータ保存が与える影響についての解説記事を同社ブログで公開した。カスペルスキーによると、ユーザーはスマートフォンなどのデジタルデバイスに情報を保存することに安心し、その情報を忘れる傾向が年齢・性別を問わず見られるという。同社はこの現象を「デジタル健忘症」と名付けている。

 Kaspersky Labが2015年12月~2016年1月に行った調査では、ヨーロッパの成人の半数以上が子供や会社の電話番号を思い出すことができず、配偶者の電話番号を思い出せなかった人は約3分の1に上ったという。

 日本を含めた世界13カ国を対象に、会議や会話の記録方法について調査を実施したところ、デジタルデバイスで業務上のメモを取ることで、会話の背景や感情など貴重な情報を見落としてしまうと回答した人が44%に上った。また、46%の人は会議のニュアンスよりもデジタルデバイスに保存したメモの正確性のほうが重要と答えた。半面、デジタルの記録が消えてしまった場合、会話の内容を一言も思い出せないと回答した人が13%おり、仕事の記憶をデジタルデバイスに依存している傾向が見られた。

 スマートフォンを持ち歩く機会が多くなるにつれ、デバイスに貴重な情報を残す頻度も高くなる。それにもかかわらず、デバイスを一切保護していないと回答した米国人は28%、スマートフォンにセキュリティ製品を追加でインストールしているのは3人に1人(30.5%)、タブレットにセキュリティ製品を使っている人は5人に1人(20.5%)という結果が出た。

 さらに、全世界の回答者のうち、米国人の51%、ヨーロッパ人の40%以上(特に女性と若年層)が、「スマートフォンなどに保管されたデータをなくしたり盗られるのは困る」と答えている。また、両地域の女性の25%以上と、全世界の若年層の34%以上が、デバイスを紛失したらパニックに陥ると回答。いずれも写真、メール、連絡先情報をデバイスのみに保管していることが関係している。

 カスペルスキーは、スマートフォンが唯一無二のデータ保管場所になることについて警告している。マルウェアなどの脅威からデバイスを保護するために最新のセキュリティ製品を使用したり、頭の中に記憶することも推奨している。なお、同社ではデジタル健忘症かどうかを確認するチェックリストもあわせて公開している。

デジタル健忘症チェックリストの画面