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被災報告ツイートをAIで要約するシステム「D-SUMM」、NICTが試験公開

災害ツイートを可視化する「DISAANA」の情報をコンパクトに一元化

 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)は18日、災害状況要約システム「D-SUMM(Disaster-information SUMMarizer)」のウェブサイトを試験公開した。熊本地震時のツイートを対象とした「熊本地震試用版」のD-SUMMもあわせて公開されている。

 NICTが2015年4月より公開している対災害SNS情報分析システム「DISAANA」では、場所ごと整理されない状態で膨大な被災報告が出力されるため、被災状況を一目で把握できない課題があった。

 D-SUMMは、情報を要約して表示することで、こうした課題を解消するもの。被災報告(地震、道路やインフラの被害、物資の不足など)をカテゴリーごと、市区町村などのエリアごとに対象となるツイートの件数を表示でき、カテゴリーをクリックして抽出元のツイートを表示できる。

 エリアごとに分析結果を表示した際には、に県を指定した場合は市町村、市町村を指定した場合はその中にある地域ごとに被災報告を整理し、重大な被災報告が多いエリアから順に表示するよう並べ替えることもできる。

 地図上に、同時に7つのカテゴリーまでのツイート件数を表示することも可能で、地図上のグラフをクリックして、各カテゴリーの抽出元ツイートを表示できる。

 分析対象となるツイートは、リアルタイム版では直近の4日間、熊本地震試用版では8日間から日時を指定して表示できる。なお、DISAANAと同様、全日本語ツイートのうち10%のみを分析の対象として、機械学習を用いた日本語解析技術により要約した上で、カテゴリーと場所情報を整理している。

 NICTでは、これらの機能により、被害が大きいエリアや、どこで何が起きているかといった被災状況の概要をコンパクトかつ分かりやすく表示し、適切な避難活動や各種救援活動を支援するとしている。なお、地図表示機能については、Internet ExplorerとMicrosoft Edgeでは動作が遅く、問題が解消するまでは非推奨とのこと。

 D-SUMMの研究の一部は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「レジリエントな防災・減災機能の強化」(管理法人・JST)の支援を受けており、耐災害ICT研究センターおよびユニバーサルコミュニケーション研究所が開発している。