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古い地震史料のくずし字をユーザーがテキスト化する「みんなで翻刻」、京大・古地震研が公開

 京都大学古地震研究会は10日、「くずし字」で記録された古い地震史料の翻刻に参加できるウェブアプリケーション「みんなで翻刻」を公開した。閲覧にはGoogle、Facebook、Twitterのいずれかのアカウントでのログインが必要。Google ChromeかMozilla Firefoxの利用が推奨されている。

 地震や古文書の研究者だけでなく、くずし字を解読できるユーザーに、古い地震史料をテキスト化へと活字化する翻刻への参加を促し、東京大学地震研究所図書館が所蔵する災害史料のコレクション「石本文庫」の全史料をテキスト化することを目指す。また、日本の地震の歴史を新たに“発掘”する狙いがあるという。

 みんなで翻刻アプリには、数多くのくずし字のパターンや、江戸時代の本から収集した熟語約3000パターンを収録。2016年に大阪大学が中心となって開発されたくずし字学習支援アプリ「KuLA」と連携する「まなぶ」機能により、くずし字を解読できるほか、SNS機能で写真や文章を投稿し、ほかのユーザーに難しい文字や文章の解読を依頼できる「つながる」機能が利用できる。

 これらの機能を活用した上で、石本文庫に収録された約200点の地震史料を翻刻する。古文書翻刻のための日本語編集環境としては、縦書きやルビ、踊り字といった日本語表記に対応し、ウェブブラウザー上で動作するエディターが提供される。テキスト編集時には、ほかのユーザーに編集過程が表示される「ライブ編集機能」も利用可能。

 今後は、古地震の年表や、発生場所を記載した地図の作成を行うほか、石本文庫以外の地震史料の翻刻も進めるとしている。