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EPUB推進団体「IDPF」が「W3C」に統合、今後は「PUBLISHING@W3C」下でEPUBの新仕様やメンテナンスを継続
2017年2月2日 18:13
電子出版の国際標準フォーマット「EPUB」を推進する国際団体である「International Digital Publishing Forum(IDPF)」が1月31日、ウェブ技術の標準化団体「World Wide Web Consortium(W3C)」に統合された。
統合にあたっては、IDPF会員の88%が賛成したとのこと。これによりEPUBはW3Cの商標となり、IDPFは会員組織としての活動を停止した。今後、EPUBフォーマットの技術標準開発はW3Cにゆだねられる。
W3CとIDPFでは3年前から、ウェブ技術と電子出版の連携において共同作業を進めていた。EPUBのベースとなる仕様はHTML/CSSからなっており、IDPFではこの統合により、ドラフト版が公開されている次期バージョン「EPUB 3.1」、さらに映像や音声などのリッチメディアと連携する「EPUB 4」の策定を加速できるとしていた。
W3Cでは「PUBLISHING@W3C」を新設。この下に、現在のEPUBのメンテナンスと今後のEPUBのサポート環境を整備するため、「EPUB 3.1 コミュニティグループ」と、デジタル出版の専門家が将来のビジョンに関する議論を行う技術フォーラム「デジタルパブリッシングインタレストグループ」が立ち上げられる。「Publishingビジネスグループ」も新設され、第1回の会合がロンドンブックフェアで3月13日に行われる。また、次世代のEPUBの要求仕様を議論する「Publicationsワーキンググループ」の設立も検討されている。
前IDPF会員のW3Cへのスムーズな移行のため、IDPF前エグゼクティブ・ディレクターのビル・マッコイ氏が監督担当に任命されている。
W3C CEOのジェフェリー・ジャフィ氏は、「書籍、雑誌、ジャーナル、教材や学術出版物といった多くの形態でこれまでコンテンツを提供してきた出版業界の豊かな伝統を持つ知見を取り込めることに心が躍る。今後は『Publishing@W3C』において議論を深め、ウェブ技術を使ったパブリッシングとオーサリング、そしてリーディングに関する新機能や仕様の標準の作成を進めていく」と語っている。
前IDPF会長も兼ねていたジョージ・カーシャー氏は「双方の組織を統合することで、技術とコンテンツが協調・融合していくことが容易になっていく。ウェブ上でもオフラインでも、すべての利用形態における出版活動が、自然でアクセシブル、かつデバイスに縛られないようなコンテンツになっていく未来に手が届くスピードが加速される」と述べている。
また、アンテナハウス株式会社代表取締役社長の小林徳滋氏は、「アンテナハウスは、W3CとIDPFの統合を歓迎する。弊社では2011年より、ワンソースからPDF、EPUB、ウェブを作成する『デジタル書籍制作ウェブサービス(CAS-UB)』を提供している。ウェブとEPUBは記述形式としてHTMLを共有しているが、ウェブの基本であるURIや通信プロトコルの面では統合が不十分で、EPUBとウェブが別の存在となっているのに不便を感じていた。W3CとIDPFの統合により、今後、EPUBのウェブへの統合が進むことを期待している」とのコメントをPUBLISHING@W3Cに寄せている。