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お出かけ時の介助をビーコンでマッチングする「&HAND」にグランプリ賞金1000万円、「LINE BOT AWARDS」決勝大会

「LINE BOT AWARDS」参加者の皆さん

 チャットボットの開発アイデアを競う「LINE BOT AWARDS」の決勝プレゼン大会および表彰式が18日、都内で開催された。最終審査に残った24作品の中から、外出先での介助をビーコンでマッチングするサービス「&HAND(アンドハンド)」がグランプリに選ばれ、賞金1000万円が贈られた。

815作品が国内外から集まる

 LINE BOT AWARDSは2016年9月に開催概要が発表。LINEのMessaging APIを用いたチャットボットの開発案を募集した。審査基準は「お役立ち度」「ユーザーからの支持」「LINEらしさ」「インパクト」「サービスの継続性」の5つ。

 決勝大会は、アワードの特別協賛パートナーである日本マイクロソフト株式会社の本社セミナールーム(東京・品川)にて開催された。開会のあいさつには、主催者代表としてLINE株式会社の砂金信一郎氏(BOT AWARDS Task Force責任者)が登壇。最終的に815件の作品の応募があったことを紹介した。

LINE株式会社の砂金信一郎氏(BOT AWARDS Task Force責任者)

 今回のアワードでは、事前に行われたハッカソンやアイデアソンから生まれた個人作品だけでなく、実際のビジネスシーンですでに稼働しているボットについても募集対象とした。砂金氏は「ボットの開発にあたって、万全な開発体制が必要かといえば、そうではない。バックエンドの開発者1人で十分作れてしまう。ぜひこの事実を皆さんと共有したい」とアピール。広く一般に公開されているAPIなどを利用することで、会社の規模などに依存することなく、自由にボットを開発できる意義を強調した。

最終的に815作品が集まった。その多くが締め切り数日前に応募された
応募書の属性。学生の応募も22%に上った

持ち時間5分の決勝プレゼンに24組が参加

 事前の審査を経て、大会当日は24組のチームが参加した。学生をはじめ、著名企業、ベンチャー、海外などさまざまなバックグラウンドを持つチームが集まった。また、1人ですべて開発を担当したり、ハッカソン以降すべてオンラインで開発して顔合わせをするのは数カ月ぶりというチームもあった。

決勝プレゼンの模様。審査員はもちろん、一般の観客も見守った

 決勝プレゼンの持ち時間は1組あたり5分。時間切れで強制的にプレゼンが終了するというルールで行われた。会場の機材の関係で音が出なかったり、動画がうまく再生されないなどのハプニングに悪戦苦闘するチームも多かった。例えばヤマト運輸のチームは、クロネコヤマトの着ぐるみキャラクターが登場するというサプライズを用意するも、微妙に時間切れになってしまい、やや企画倒れ(?)に。プレゼンの最中、肝心のボットが動作していないケースもあるなど、企画の中身はもちろんのこと、プレゼンの準備・実行もまた重要であることが伺わせた。

着ぐるみも登場
おそろいのTシャツでプレゼンに臨むチームも多かった

 審査員は全部で10名(うち1名は途中参加の都合でコメンテーター扱い)。LINE株式会社の池邉智洋氏を委員長として、Increments株式会社の及川卓也氏(プロダクトマネージャー)、日本マイクロソフトの伊藤かつら氏(執行役員 デベロッパーエバンジェリズム統括本部長)らがプレゼンに立ち会い、質疑応答などを行った。

表彰式後にあいさつする、審査員の皆さん

 なお審査会場では、一般観客も審査に参加した。会場のビーコンを通じて専用LINEアカウントを友だち登録すると、3票分の投票権が与えられる。最終的な投票数は、審査員の審議に加味された。

会場のビーコンからLINEアカウントを友だち登録すると、一般観客も投票できた

 各組の持ち時間が5分とはいえ、24組が参加することから最終的なプレゼン時間は3時間を超えた。その後は立食形式の懇親会が開かれ、緊張から解放された各チームの登壇者はもちろん、一般参加者も交流を楽しんだ。

大盛況の懇親会。気になる作品の関係者に声をかけるなど、さまざまな交流があったようだ

グランプリや各部門賞が発表

 懇親会に引き続き、審査結果が発表された。グランプリを獲得したのは「&HAND」とその開発チーム。聴覚、視覚、難病など、何らかのサポートを必要とする人に専用ビーコンを持ってもらい、助力を得たいシチュエーションで電源をオンにすると、周囲のサポーターにLINE BOTで通知される仕組み。

グランプリを獲得した「&HAND」開発チームの皆さん。賞金はなんと1000万円

 ビーコンは、受けたいサポートの種類に応じて設定を調整する想定。例えば聴覚障害者が外出先で電車の遅延に遭遇した場合、構内・車内アナウンスが聞けず、駅係員とコミュニケーションしたくても筆談となるため、どうしてもちゅうちょしてしまうという。そこでビーコンの電源をオンにすると、ビーコンの電波が届く範囲内にいるサポーターへ通知が届き、LINEで“気軽に聞く”ことができる。

 グランプリの発表を受け、「&HAND」開発チームの池之上智子さんは「こんな有り難い賞をいただいて恐縮です。本当に有り難うございます。(受賞は)私たちだけのものでなく、皆さんが『(困っている人を)手助けする社会を実現したい』と思っていることの現れだと受けとめ、今後の開発に生かしていきます」と、喜びを語った。

「&HAND」の仕組み
実際の運用イメージ

 このほかにも各部門賞が用意され、50~100万円の賞金が贈られた。受賞チームは以下の通り。

マイクロソフト賞 NAVITIME
ライフスタイル部門賞 ヤマト運輸
ゲーム部門賞 ワンナイト人狼BOT
GEEK部門賞 シャクレ
ローカライズ部門賞 Teman Jalan
対話エンジン部門賞 Botnoi
グループトーク部門賞 グループ精算bot - Checkun -
IoT/Beacon部門賞 雪山Bot with LINE Beacon
スタートアップ部門賞 声でつくるオーダーメイドアクセサリー bot
学生部門賞 ミッチー

エンターテイメント部門 該当作品なし

 授賞式終了後の閉会あいさつで、LINEの砂金氏が再び登場。本来有償ながらアワード開催にあたって無償化していたLINE BOTのPush APIについて、個人応募の作品限定だが引き続き無償とすることを発表した。なお、同様のアワードは、確定事項でないとしつつも、継続開催する意向という。

 砂金氏は「これまではAPIの仕様公開などでクローズドな面が多かったが、今後はより広く公開し、開発者とのリレーションシップを深めたい。(中略)次回のコンテストがもしあれば、『音声コミュニケーション』などに踏み込んで皆さんにチャレンジしてもらう可能性も」と述べている。

受賞に大喜び!
受賞あいさつにも各チームの個性が出ていた