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「Windows 10 Creators Update」、Windows Updateを通じて12日早朝より提供開始

 Windows 10の最新アップデート「Windows 10 Creators Update」のWindows Updateにおける提供開始に伴い、日本マイクロソフト株式会社が11日、記者発表会を開催した。

 Windows 10 Creators Updateは、すでに「Windows更新アシスタント(Windows 10 Update Assistant)」による手動でのアップデートが5日より提供されているが、米国時間の11日、日本では12日早朝からWindows Updateでの提供が予定されている。現時点ではCreators Updateのテストに参加したOEMハードウェアパートナーが提供する最新デバイスが対象となり、フィードバックに基づいて、今後、提供デバイスが段階的に拡大される見込みだ。

 “Creators Update”というと、なんらかの制作者向け機能のアップデートが連想されるが、日本マイクロソフト業務執行役員Windows&デバイス本部長の三上智子氏は、「PCでは何かを作り出す作業が非常に多い」とし「PowerPoint(のプレゼンテーション作成)もクリエイティブで、だれもがクリエイター。こうした活動を支援する製品。そして、一般ユーザーやビジネスユーザー向けのアップデートも豊富」とした。

 Creators Updateのキーワードは“3D”で、以前は「Windows Holographic」と呼ばれていた「Windows Mixed Reality」のプラットフォームでもある。現時点では国内販売は未定となっているが、対応ヘッドセットをPCに接続するだけで、現実を認識してデジタルを融合して違和感なく体験が可能になる。このほか手軽に3Dオブジェクトを制作できる「ペイント3D」アプリも新たに搭載している。そして今後は、Officeでも3D機能の強化が予定されているとのことだ。

 法人向けの機能としては、セキュリティ、そして管理面へのニーズが高いという。Creators Updateの新機能である「Windows Defenderセキュリティセンター」は、従来まではそれぞれの画面で設定を行う必要があったセキュリティ関連の各種設定を集約し、ダッシュボードで一元管理できるもの。

 また、Windows Helloでは、これまで法人向けではAzure ADのみの対応となっていたが、Creators Updateの「Windows Hello for Business」は、法人向けエディションでオンプレミスでの生体認証に対応した。さらに、「Windows Defender ATP」では、標的型攻撃を検知した後、被害を受けたデバイスをネットワークから遮断する機能が強化されている。

 このほか、Windowsテレメトリデータを最大限に活用できる「Windows Analtytics」には、アプリの互換性情報を提供する「Update Readiness」と、各クライアントPCでのアップデート提供状況を管理できる「Update Compliance」といった機能が提供される。

 このほかにも、各種の新機能が搭載されている(4月6日付関連記事『大型アップデート「Windows 10 Creators Update」提供開始』参照)が、日本マイクロソフトWindowsプロダクトマネージャーの春日井良隆氏によれば、Creators Updateでは「安定性、応答性も改善が図られている」という。日本語入力システムである「MS-IME」では、より変換効率が向上しているほか、現在の変換モードを一瞬だけ大きく表示して、現在の状態を把握しやすくなった。

 また、初期セットアップにおいて、Cortanaによる音声入力での設定に新たに対応した。このほか「個人用設定」の設定画面では、背景色のカスタマイズが可能になったほか、Windowsストアからテーマを追加可能になった。今後はユーザーが作成したオリジナルテーマも公開可能になる予定だ。ブルーライトを低減する「夜間モード」、Bluetoothペアリングしたデバイスとの接続が切れると画面が自動的にロックされる「動的ロック」の機能も紹介された。

 ウェブブラウザー「Microsoft Edge」に新たに搭載された機能として、開いているタブを一時的にリストに保存して復元できる機能や、タブプレビュー表示、縦書きや読み上げ機能も標準で搭載するEPUBのサポート、絵文字への対応なども紹介された。

 さらにCreators Updateでは、ゲーム関連の機能も大幅に強化されている。CPU、GPUのリソースをゲームに優先的に割り振る「ゲームモード」は、UWPアプリだけでなくデスクトップアプリでも有効で、「ピークパフォーマンスを引き上げ、フレームレートの最大値と平均値を向上させる」(日本マイクロソフトXboxゲーミング戦略本部プロダクトマネージャーの森洋孝氏)という。

 また、新たに搭載されたゲーム画面の配信サービス「BEAM」は、遅延が1秒未満と非常に少ないことが最大の特徴で、会場のデモンストレーションではほとんどリアルタイムで遅延がない様子が確認できた。こうした低遅延をベースに、配信されるゲームプレーに対するリアルタイムなチャットができるほか、受信側でカメラの視点を切り替えたり、自動車のゲームではクラクションを鳴らしたり、ゲーム内で流れるラジオのチャンネルを変えるなどの操作ができる。実際には受信側で運転まですることが可能で、「アイデア次第で、さまざまなインタラクティブな配信が行える」(森氏)という。