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子ども向けの動画視聴アプリ「YouTube Kids」が日本でも提供開始、日本向けの教育コンテンツ/アニメをラインアップ

YouTubeグローバルFamily&Learningコンテンツディレクターのマリーク・デュカード氏(中央)

 Googleは31日、子ども向けの動画視聴アプリ「YouTube Kids」を日本でも提供開始した。Android/iOSアプリを用意しており、無料で利用できる。

 YouTubeで配信されている子ども向けの動画コンテンツをフィルタリングして提供しており、安心して利用できるのが特徴。2015年に米国でサービスを開始してから、現在28カ国、7言語で展開している。

 「アニメ・ドラマ」「おんがく」「まなぶ」「はっけん」の4カテゴリーを用意。アニメ・ドラマカテゴリーでは「しまじろう」「妖怪ウォッチ」などの日本のアニメや「セサミストリート」「ひつじのショーン」といったグローバルコンテンツ、絵本の読み聞かせ動画や知育動画などをラインアップする。おんがくカテゴリーでは、例えば「動物戦隊ジュウオウジャー」「キラキラ☆プリキュアアラモード」のダンス動画や、童謡、人気アニメのテーマソング動画、まなぶカテゴリーでは、文字の読み書きや英語、算数、地理、理科分野の動画を用意。はっけんカテゴリーでは、乗り物や動物、折り紙の折り方や実験動画など知的好奇心を刺激する動画をそろえる。また、YouTubeクリエイターによる子ども向けコンテンツも用意する。

「アニメ・ドラマ」カテゴリー
「おんがく」カテゴリー
「まなぶ」カテゴリー
「はっけん」カテゴリー

 アプリで表示される各動画のサムネイルを大きく表示し、テキスト情報を少なくすることで子どもでも見やすいUIに仕上げている。また、文字入力のほか、音声入力による動画検索も可能としており、未就学児でも動画コンテンツを探し出しやすいような工夫を施している。

 保護者向けの管理機能も備えており、動画の視聴時間を制限できるタイマー機能や、視聴したくない動画・チャンネルのブロック機能、検索機能のオン/オフを切り替えることができる。検索設定をオフにすると新しいコンテンツを検索できなくなるが、アプリによって選ばれたホーム画面の動画と視聴に基づいたおすすめ動画が表示される。なお、ホーム画面に表示する動画の対象年齢は、「未就学児」「学齢児童」「すべての子ども向け」の3つから選択できる。

 また、任意のパスコードを設定することも可能で、保護者による使用制限機能や各種機能に子どもがアクセスできないようできる。

 アプリはChromecast、Apple TV、ゲーム機、スマートテレビなどにも対応。大画面で動画を楽しめるようにもなっている。

保護者向けの管理機能画面
タイマー機能はアプリを終了したあとも継続して制限がかかっている
パスコード設定画面

 YouTubeグローバルFamily&Learningコンテンツディレクターのマリーク・デュカード氏によると、YouTubeでは家族向けのコンテンツが最も増えているカテゴリーの1つであり、米国でYouTube Kidsを提供してからこれまで300億回の視聴回数、毎週800万のアクティブユーザーを獲得したという。また、各国のアプリストアでも4~5の評価を得るなど好調なようだ。

 デュカード氏は、現代の子どもは「地理的な国境、それ以外のさまざまな枠組みを超えており、ボーダーを感じない」と語る。また、「非常に好奇心が強く、さまざまなコンテンツを見ることで積極的に学び、自分たちのプロジェクトを創造する傾向がある」そうだ。そのため、YouTube Kidsではファミリーフレンドリーなコンテンツを提供するだけでなく、子どもやその家族のYouTubeでの体験をより良いものにするために取り組んだという。

小学館や講談社など日本の出版社もコンテンツパートナーとして参加

(左から)講談社第三事業局動画事業チーム編集長の安永尚人氏、小学館コロコロコミック編集長の和田誠氏

 31日に開催された説明会では、コンテンツパートナーとして講談社(キッズボンボン)、小学館(コロコロチャンネル)、ベネッセコーポレーション(しまじろうチャンネル)、東映アニメーション(プリキュアチャンネル)、Kan&Aki's Channelが紹介された。

 今年で40周年を迎えた「コロコロコミック」では、同誌の往年の人気キャラクターが一堂に会したオリジナルのアニメを「コロコロチャンネル」にて7月15日に公開する。小学館コロコロコミック編集長の和田誠氏は「YouTubeは無料で動画が見れるので、勢いがあり、このままではコロコロコミックがやばいと感じた。しかし、編集部で話したり、世の中の動向を見ていくうちに、ともに取り組むほうがきっと良いことがあるのではないかと思った」という。

 コロコロコミックチャンネルでは雑誌の企画を動画で見せることで、より楽しくコンテンツを横断して見せる工夫をしている。また、連載作品のテレビアニメの見逃し配信を行うことで、結果的に雑誌の売り上げ増倍にもつながったという。

 講談社の「キッズボンボン」では、絵本の読み聞かせ動画や日本昔話、動物や昆虫など知育動画を展開。読み聞かせ動画は絵本の内容をすべて公開するなどの挑戦を行ってきた。講談社第三事業局動画事業チーム編集長の安永尚人氏は「キッズボンボンでは、子どもに見せたい、子どもが見たい内容をテーマにコンテンツを展開しているため、途中まで公開すると単なるプロモーション動画になる。製作者からの後押しもあり、最後まですべて見せる方向で上げた」という。

キッズボンボンでは人気絵本「ママがおばけになっちゃった」の読み聞かせ動画を公開

 東映アニメーション企画製作本部テレビ企画部長兼映画室長の鷲尾天氏は、シリーズ累計150万部を突破した人気絵本「おしりたんてい」のアニメ化を発表。「子どもにとってハードルは無く、スポーツ、勉強、マンガ、アニメーションなど面白いと思えばどんなところにも飛び込んでくると思う。YouTubeの力を借りてチャレンジしたい」と今後の意気込みを語った。

東映アニメーション企画製作本部テレビ企画部長兼映画室長の鷲尾天氏