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楽天と電通がデータ活用マーケティングで合弁会社、「楽天データマーケティング株式会社」設立

(左から)楽天株式会社代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏、楽天データマーケティング株式会社代表取締役社長の有馬誠氏、株式会社電通執行役員の槫谷典洋氏

 楽天株式会社と株式会社電通は、ビッグデータを活用したマーケティング事業を行う新会社「楽天データマーケティング株式会社」を8月に設立すると発表した。10月1日に営業を開始する。資本金は1億円で、出資比率は楽天が51%、電通が49%。楽天データマーケティングの代表取締役社長には楽天副社長執行役員兼CROの有馬誠氏が就任する。

 楽天データマーケティングでは、楽天が持つ9000万ユーザーの顧客基盤およびビッグデータと、電通グループが持つテレビをはじめとするマスメディアのデータなどを生かし、企業のマーケティング活動の効果を高めるとしている。

 具体的には、「楽天市場」における企業向けのブランドタイアップ企画を強化するとともに、パーソナライズされた広告商品の開発を通じ、企業のプロモーション展開を支援する。さらに、ブランドの顧客戦略立案の支援など「デジタル分野にとどまらない統合メディアプランニングサービスも提供する」としている。

 例えば、インターネットに接続したテレビの視聴率データと購買データ、実店舗での購買データを楽天IDで紐付けるという。これらのデータをもとにテレビCMを制作したり、CMを視聴した人がどれだけ購入したのかを把握できるようになる。このように、広告効果を把握した上でマーケティング活動を行えるとしている。

今回展開するマーケティングサービスでは、顧客が商品を購入するまでのプロセスにおける「潜在層」を電通、「購入検討層」を楽天が担うことになる

 楽天データマーケティングの代表取締役社長に就任した有馬氏は、これまでヤフー株式会社常務取締役や、グーグル株式会社代表取締役、アドロール株式会社取締役会長を歴任し、国内のインターネット広告市場の拡大に貢献してきた。

 同氏は「“ビッグデータを利用したマーケティング”というのは言い古されたものだが、楽天の持つ圧倒的な量のデータと、電通が持つ戦略構築力、クリエイティブ力などを融合することで、マーケティング業界のイノベーションが起こせるのではないか」と期待を述べた。また、「自分のキャリアとしても、これまでヤフーやグーグルで経験を積んできたデジタルマーケティングの総仕上げになるのではないかと思い、緊張かつ興奮している」と語った。

両社が持つデータやマーケティングのノウハウを活用

 電通執行役員の槫谷典洋氏は「企業活動においてトップラインを伸ばすマーケティングの需要性が高まっている。また、企業活動全般のデジタルトランスフォーメーションが進み、データは大変貴重な資源になっている」という。そこで、楽天グループが持つ“質と量を兼ね備えた圧倒的なデータ”と、電通のマーケティングのノウハウを組み合わせることで、「クライアントに対してデジタル環境に適合した新しい非常に強力なソリューションの提案ができる」と述べた。

 楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、「現代は情報が溢れ、ユーザーがさまざまな消費活動を行うため、企業はユーザーをどのようにトラッキングすればいいか悩んでいるのではないかと思う。電通、楽天の強みを最大限に生かし、今までにない新しい革新的な取り組みで業界を牽引していきたい」と述べ、「10年後には日本の広告界をリードするようなインテリジェントな組織になっているのではないか」と語った。