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AIベースのランサムウェア対策機能を新搭載、バックアップソフトウェア最新版「Acronis True Image 2018」

 アクロニス・ジャパン株式会社は20日、コンシューマー向けバックアップソフトウェアの最新バージョン「Acronis True Image 2018」を発表した。サブスクリプション版のオンライン販売は即日開始し、永続ライセンスのパッケージ版(Standardのみ)は10月13日より発売する。

 エディションはStandard/Advanced/Premiumの3つあり、各1/3/5台版が提供される。Standardはクラウドバックアップ非対応で、Advancedは250GB、Premiumは1TBのクラウドストレージが付属する。価格はStandardの1台版とAdvanceの1年1台版が5480円(税込)など。

 新バージョンでは、ランサムウェア対策機能「Acronis Active Protection」を「2.0」にバージョンアップ。AIベースの技術を新たに搭載している。アクロニス・ジャパン株式会社シニアディレクター/マーケティングの宮田誠氏は、すでに米国で1月より提供されているAcronis Active Protectionについてこれまでは1万人のユーザーに利用され、1.5万以上の攻撃を防御している現状を紹介した。

アクロニス・ジャパン株式会社シニアディレクター/マーケティングの宮田誠氏

 Acronis Active Protectionの新バージョンとなる2.0では、典型的アクセスパターンを機械学習し、疑わしい活動を警告するほか、新たにプロセス監視機能も搭載した。また、保護に関する情報を表示する「セキュリティダッシュボード」も利用可能になった。宮田氏は「正規のアプリやOSからデータ収集、学習して疑わしい動作検出するモデルを構築することにより、既知のランサムのパターンだけでなく、悪意の可能性があるものをブロックできる」とした。除外対象の設定なども細かく行えるほか、Mac OSにも新たに対応している。

 ランサムウェア対策のほか、2018では新たにアクティブディスクのクローン作成が可能になった。PCを使い続けたまま、終了や再起動させずに外付けドライブへ複製可能になったという。「5割以上のユーザーには、HDDからSSDなど、旧ドライブからの移行用途に使われている」とのことで、こうしたユーザーにとっては注目の機能強化点と言える。

 さらに、プリインストール環境向けのWindows PEブートメディアを1クリックで作成可能になった。従来、Windows PE環境の作成では、Microsoftが提供するプログラムを別途ダウンロードする必要があったが、これを1クリックで行える。

 Acronis True Image 2018では、初回時に完全バックアップを行った後、変更された部分だけを「増分バックアップ」としてバックアップするのがデフォルトの設定だ。この増分バックアップについては、変更状態を常にモニターし、データの変更が2~3割以下の少ないときには約3倍の速度に高速化される。

 従来、ファイルとフォルダーをローカルに5分間隔でバックアップする「ノンストップバックアップ」と呼ばれていた機能は、「Continuous backup to Cloud」の名称に改められ、クラウドへのバックアップに対応した。「クラウドにノンストップで24時間、データに変更があった時だけバックアップしているので、システムへの負荷は実際そこまではかからない」という。

 クラウドバックアップ時に用いるWANの最適化にも対応した。「データセンターへの通信がマルチスレッドになり、復元速度が最大で3倍になった」とのこと。また、低速接続時にも、TCPを最適化することで、性能が向上される。

 バックアップしたデータを、Hyper-Vに対応する仮想ドライブへ変換することも可能になった。

 Android/iOSの端末データを、同じネットワーク内にあるSynologyやQNAPのNASへ自動的にバックアップすることも可能になった。Acronisのデータでは、ユーザーの26%がNASを利用しているという。

 このほか9月下旬には、Instagramのバックアップにも対応する。すでにFacebookのバックアップには対応しているが、オンラインダッシュボードからInstagramにアップロードした写真のバックアップが可能になるという。

 アクロニス・ジャパン株式会社代表取締役の大岩憲三氏によると、米国の同社製品ユーザーの約9割は、ファイルを誤って削除したり、ウイルスやランサムウェアによりデータを喪失しているという。また、約20%が4年以内にHDD故障に見舞われているという。さらに、米国の空港では毎週1万2000台のデバイスが盗難に遭っていることを紹介。

アクロニス・ジャパン株式会社代表取締役の大岩憲三氏

 さらに「社屋はなくなっても大丈夫だが、とあるところに保存されている部品データがなくなれば、会社は再建できない」との某自動車メーカーのユーザーの言葉を紹介。「データは企業の生死にかかわるもので、データ保護は非常に今後さらに重要になる。特に企業では死活問題」と述べた。

 同社では、企業向け7製品、プロバイダー向け、クラウドビジネスパートナー向けの3製品、OEMとコンシューマーからなるデータ保護ソリューションの製品ポートフォリオを有している。このうち、15年前の創業以来、一貫して開発が続けられているのが、「True Image」となる。

 大岩氏は、2013年のクラウドバックアップ対応、2014年のMac対応、2015年のAndroid/iOS対応、2016年のFacebookバックアップ対応と、これまでの機能追加を紹介。2017年2月に発表された「Acronis True Image 2017 New Generation」で初めて、ランサムウェア対策機能が搭載された。 新バージョンでは、ランサムウェア対策機能「Acronis Active Protection」を「2.0」にバージョンアップ。AIベースの技術を新たに搭載している。

 大岩氏は新バージョンについて「完成度の高い製品なので派手な新機能はないが、6つのカテゴリーで機能を強化している」と述べた。新機能は240以上にも及ぶという。

 以降では、記者会見で行われたデモの画面を見ながら、従来からのものを含むAcronis True Image 2018の機能を確認していこう。

ピクチャ、ビデオ、オーディオ、ドキュメント、システムといったバックアップデータの種別をカラーチャートで表示できる
画面左下の「バックアップの追加」の次に、右下の「今すぐバックアップ」を選ぶ2クリックでクラウドへのバックアップが実行できる
バックアップデータの内容は、フォルダー階層などを確認できる
バックアップデータの中身を検索して復元することも可能
バックアップするデータは、ドライブはもちろん、ファイルやフォルダー単位でも選択できる
バックアップの保存先には、Acronis Cloudや外付けドライブなどを選べる
特定のフォルダーを変更履歴とともに外付けドライブへバックアップする設定を行っているところ
バックアップスケジュールは、日/週/月などの単位のほか、5分ごとにバックアップする「ノンストップ」も選べる
バックアップ時には、デフォルトの増分のほかに、毎回すべてをバックアップしたり、差分をバックアップすることも可能。保持するバージョンや期間も設定できる
バックアップ対象から除外するデータも設定できる
詳細設定では、暗号化、パスワード、ベリファイなどを設定できる
モバイルデバイスやソーシャルネットワークのバックアップも可能
クラウドバックアップでは、バックアップ先のデータセンターを選べる。近い地域の方がデータのアップロードや復元が高速だ
ディスクのクローンやブータブルメディア作成が行える「ツール」の画面
Active Protectionの画面。監視プロセスの数などを確認できる
クラウドに保存したデータを確認できる「オンラインダッシュボード」の画面。ここからFacebookと協業の上で提供される「Facebookバックアップ」を実行できる
Facebookバックアップの画面では、タイムラインやアルバム、ビデオなどをバックアップして、元のアカウントや新規アカウントに書き戻せる