雑誌デジタル化の可能性探る、日本雑誌協会がコンソーシアム設立


日本雑誌協会の理事長を務める上野徹氏(文藝春秋会長)

 日本雑誌協会は5日、「雑誌コンテンツデジタル推進コンソーシアム」の設立総会を開催した。雑誌コンテンツを配信するポータルサイトや著作権処理ルールなどを検討しながら、2011年度の事業化を目指す。雑誌の売り上げが伸び悩む中で、新たなビジネスモデルの可能性を探る狙いがある。

 まずは2年間の実証実験で、ポータルサイトや少額決済課金システム、コンテンツフォーマットなどを検討するとともに、専用デバイスの研究も行う。コンソーシアム委員長を務める集英社の大久保徹也氏によれば、PCや携帯電話などに雑誌を記事単位で販売する仕組みを構築する考え。「10円単位で販売して“マイフェイバリットマガジン”が作れる方向性にしたい」。

 コンソーシアムには、講談社や集英社、日経BP社、インプレスホールディングスなど日本雑誌協会に所属する出版社に加えて、ITベンダーやポータルサイト運営企業、携帯電話事業者、広告代理店など35社が参加。日本雑誌協会が1月に立ち上げた「デジタルコンテンツ推進委員会」のワーキンググループ(WG)と連携してビジネスモデルを検討する。

 日本雑誌協会の所属企業以外では、ヤフーやニフティ、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、インテル、富士通、日立製作所、デジタル・アドバタイズ・コンソーシアム、富士山マガジンサービス、ビデオリサーチ、凸版印刷、トーハン、日本出版販売、電通、博報堂などが参加を表明した。

 なお、雑誌コンテンツのデジタル化に伴う著作権処理については、デジタルコンテンツ推進委員会のWGが担当する。WGに所属する秋田書店メディア事業部部長の高橋宏和氏によれば、「日本文藝家協会をはじめとする権利者団体と交渉して、雑誌記事の二次利用を円滑に進めるためのルール作りを行う予定」だという。

 日本雑誌協会の理事長を務める上野徹氏(文藝春秋会長)は、「雑誌が苦しいと言われるが、雑誌はすばらしい媒体という自信がある。この思いをコンソーシアムが主体となったプラットフォームを通じて発信することで、さらに豊かな活字世界を実現できればよい」と述べた。


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(増田 覚)

2009/8/5 19:47