オンライン雑誌閲覧サイト「コルシカ」、一時サービス縮小へ

日本雑誌協会から中止要請「無許諾スキャンは違法」


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 日本雑誌協会は8日、オンラインで購入した雑誌をWebブラウザ上で閲覧できるサービス「コルシカ」を提供する株式会社エニグモに対して、「明らかな著作権侵害行為」だとしてサービスの即時中止を求めた。これを受けたエニグモは、同協会会員の雑誌の販売を中止。その一方で、販売を要請する出版社もあることから、サービス自体は継続するという。

 コルシカは、エニグモがスキャンした雑誌のデータをWebブラウザ上で動作する専用ビューワで閲覧できるサービス。7日にスタートした。閲覧可能なのは、ユーザーがコルシカ経由で購入した雑誌のデータのみ。ユーザーは購入した雑誌のデータをコルシカ上で管理し、気に入ったページを保存する「スクラップ」機能などを利用できる。

 エニグモでは、ユーザーに販売する数量の雑誌をあらかじめ取次を通して購入。そのうえで雑誌をスキャンし、取次から購入した雑誌の冊数だけをユーザーに販売している。ユーザーは配送料を支払えば、購入後12カ月以内であれば雑誌そのものを入手することも可能だ。

 同サービスについてエニグモは、「雑誌をオンラインで販売する“ネット書店”と同じ位置づけ。購入したユーザーのスキャンを代行しているだけで、著作権法の私的利用の範囲内だ。専用ビューワにはDRMが施されており、コンテンツのダウンロードやコピー、印刷もできない」として、出版社の著作権を侵害するものではないと主張している。

 一方、日本雑誌協会は同サービスについて「権利者である各出版社の許諾なしに、雑誌誌面をスキャンして複製することによって成立している」と指摘。出版社の許諾を得ずに複製を行っている時点で、明らかな著作権侵害行為としており、サービスの即時中止を求めている。

 「エニグモは販売事業者である以上、当該複製行為が私的利用として権利制限の対象となることはありえない。また、著作物をどのような形態で読者にサービスしていくのかを決められるのは権利者たる出版社だけ。エニグモが単独で決められることではない。」(日本雑誌協会)

 日本雑誌協会のサービス中止要請を受けてエニグモは9日、両者で今後の対応に関する意見調整を実施したことを明らかにした。その結果エニグモは、日本雑誌協会会員出版社の雑誌の販売をいったん中止することを決定。その一方で、雑誌の販売を求める出版社もあることから、サービス自体は今後も継続する。

 エニグモでは今後、日本雑誌協会の会員出版社と個別に協議を行い、許諾を得られた出版社の雑誌については販売を再開すると説明。また、日本雑誌協会の要請に基づき、雑誌のデジタルコンテンツ化推進について協力していくという。


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(増田 覚)

2009/10/9 20:11