「カード型電子カルテ」過半数が賛成~独調査


 独IT業界団体のBITKOMが22日に発表した調査結果によると、健康状態などをクレジットカード型のカードに記録した「カード型電子カルテ」の導入に、ドイツ市民の過半数が賛成であることが明らかとなった。

 西欧内では健康状態情報に関するネットワーク化が進んでおり、スペインおよびドイツ以外ではネットワーク化が始まっているという。BITKOMも、カード型電子カルテの導入は持ち主である患者だけでなく医療関係者にとっても有用であり、医療の質を向上させる一方でコスト減にもつながると評価。政権交代を機に導入が進むことが期待されるとしている。電子カルテの導入は初期費用がかかるが、すぐに償還可能であるとも指摘されており、BITKOMの試算では年間20億ユーロの節約になるとみている。副作用を回避することだけでも5億ユーロの節約になると試算されている。

 導入のためには、従来の疾病保険カードなどと交換する必要がある。500万人に発行されたともいわれる疾病保険カードは、データ保護機能が十分ではなく、第三者に簡単に読み取られるリスクがある。現行の健康保険カードは写真付きカードとなっているが、電子カルテカードも写真付きとされる予定。また、格納されたデータは医療目的に応じて解読可能かどうかのレベルを設定できるようにされるが、これらの機能を付けても、既存の健康保険カードより70ユーロセント高くなるにとどまる試算だという。

 このようなカード型電子カルテに対して市民の反応は前向きで、59%が導入に賛成、態度保留が10%だった。また、69%の市民が、自分の健康情報に直接アクセスしたいと回答した。これまで医師に医療行為について質問をしたことのある4人に1人は、その情報について全く、あるいはほとんど聞かされていないと回答。さらに高齢者では、自分になされる医療行為について質問したいにもかかわらず何ら質問していないと回答したという。BITKOMでは、カード型電子カルテの導入は、このような状況を打破する可能性があるとみている。


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(Gana Hiyoshi)

2009/10/26 16:21