ライブネット配信会社「Long Tail Live Staion」が発足
動画検索技術開発で「次のグーグルを目指す」
山科誠氏 |
株式会社Long Tail Live Stationは25日、都内で会社設立の記者会見を開催した。同社では、インターネットによる大規模ライブ配信や、過去の作品のデジタル化・配信、動画検索技術の開発などを手がけていく。
Long Tail Live Stationの代表取締役は、日本BS放送(BS11)会長で元バンダイ社長の山科誠氏が務める。山科氏は、Long Tail Live Stationは、動画や音声による検索を可能にした映像番組のネット配信およびライブ中継を行う、「次のグーグルを目指す」企業だと説明。これにより「インターネットが大きく変わる」と事業への期待を語った。
社名の一部にもなっている「Long Tail」の事業としては、コンテンツ権利者の許諾の元にアナログ原盤を修復・デジタル化する事業を手がける。山科氏は、「日本や世界には貴重なアナログ映像が山のように埋もれているが、デジタル化されているのはほんの一部だ」として、フィルムなどのアナログ原盤をデジタル化するとともに、作品データの付加やカラー化、3D化などを行い、動画コンテンツの再価値化を図っていくと説明。これにより、「テール」の部分にあたる動画コンテンツの商品価値を高め、新たな市場を創造するとした。
埋もれているコンテンツのデジタル化により、「テール」部分の商品価値を高めると説明 | デジタル化に加え、データの付加やカラー化、3D化なども手がける |
デジタル化は将来に渡って利用できるよう4Kレベルで行い、システムを半自動化することにより、デジタル化のコストを従来の10分の1から100分の1にすることを目指すという。また、修復やデータ付与などを自動的に行うシステムの構築にあたっては、映っているオブジェクトの位置情報や形態情報などを認識する技術が不可欠で、こうした動画解析技術を利用した動画検索エンジンの開発も手がけていくとした。
説明会では、Long Tail Live Stationが目指す動画検索技術のコンセプトを紹介。テキスト検索だけでなく、静止画をドラッグ&ドロップすると類似する動画を探し出せるシステムや、登場人物のセリフをマイクに向かってしゃべると、そのシーンが検索できるシステムなどを例として示した。山科氏は、「将来的にはこの動画検索エンジンがコアビジネスになっていく」という見込みを語った。
Long Tail Live Stationの動画検索のイメージ | 画像や音声から類似する動画のシーン検索を可能にする |
同じく社名の一部である「Live Station」の事業としては、インターネットによるライブ中継やネット配信を展開。1000万人が同時にアクセスできる環境を構築するとともに、開発した動画検索エンジンを適用し、ユーザーが見たいシーンを即座に検索できるサービスを提供する。6月ごろには、このシステムによるスポーツや音楽のライブ中継を予定しているという。
視聴者への課金については、大手企業が発行するポイントを利用できるシステムを構築していくと説明。配信にあたっては不正コピー対策を行うとともに、動画検索技術の応用により開発した、YouTubeなどへの不正アップロードをリアルタイムに検知できる技術を紹介し、不正コピーに対抗していくとした。一方で、BDやDVDに直接書き込めるコンテンツダウンロード販売に対応していくとともに、テレビやスマートフォン、携帯電話など、あらゆる端末で視聴できる環境を整えていくと説明した。
1000万人が同時に視聴できる規模の配信システムを構築 | BD/DVDへのダウンロード販売など、各種端末への配信も手がける |
関連情報
(三柳 英樹)
2010/1/25 20:11
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