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ライブドアとNII、学術無線LANローミング基盤の共同実験を開始


 ライブドアと国立情報学研究所(NII)は8日、商用無線LANインフラであるライブドアの「livedoor Wireless」を利用した、国際学術無線LANのローミング基盤「eduroam(エデュローム)」の共同実証実験を開始した。期間は3月8日から2011年3月31日まで。

学術研究機関用の無線LANローミング基盤「eduroam」による実験


eduroamについて

 「eduroam」は、欧州の学術研究機関による組織「TERENA(The Trans-European Research and Education Networking Association)」が開発した学術研究機関用の無線LANローミング基盤。「eduroam」に参加する学術機関の教職員や学生は、海外を含めて他の参加機関に訪問した際に、所属機関が発行したユーザーIDを使って各機関の無線LANアクセスポイントを無償で利用できる。

 現在、欧州やアジア太平洋地域、北米などの40カ国以上にある学術機関が「eduroam」に参加。NIIの客員准教授で、東北大学サイバーサイエンスセンター スーパーコンピューティング研究部の後藤英昭准教授によれば、各国ごとの具体的な参加機関数は不明だが、日本国内ではNIIや高エネルギー加速器研究機構に加え、東京大学や北海道大学、東北大学など9大学の合計11団体が参加しているとした。

 今回の共同実証実験では、「livedoor Wireless」アクセスポイントのSSIDに本実験用のシグナル「eduroam-livedoor」を追加。これにより、「eduroam」に参加する学術研究機関の教職員や学生は、「eduroam」用に発行されたユーザーIDとパスワードを使って「livedoor Wireless」の利用が可能になる。なお、無線LAN規格はIEEE 802.11b/g、セキュリティにはWPA2-AES/EAPを利用する。


「eduroam-livedoor」のSSIDを追加する 認証の仕組み。各機関の認証サーバーを通じて、ユーザーIDを認証する

 アクセスポイント数は当初、東京23区を中心に約2300カ所ある「livedoor Wireless」のスポットのうち、屋内スポットの約130カ所が対象。以降、順次屋外スポットにも対象を広げ、すべてのアクセスポイントで「eduroam-livedoor」のシグナルを追加する予定だ。なお、2011年3月31日までを予定する実証実験後は、利用傾向を見た上で次のフェイズの展開を検討する。

 ライブドアではまた、教育機関向けの公衆無線LANソリューション「livedoor Wireless アカデミック ソリューション」を展開しており、今回の取り組みを通じて教育機関に対する認知度向上および導入推進を図りたい考え。その上で、2010年度に全国で約10校、2011年度に30校の教育機関への導入を目標に、6000万円の収益増を目指すとしている。


共同実証実験による効果 後藤准教授

livedoor Wireless会員は約2万人。今後は屋内メインで全国展開も


ライブドアの増田氏

 発表会では合わせて、ライブドアのネットワーク事業部ネットソリューション部の増田順部長が「livedoor Wireless」の現況を説明した。

 「livedoor Wireless」は当初、東京23区や全国主要都市でのエリア展開を目指して、2005年12月に正式サービスを開始。現在は、自社単体でのインフラ投資による面展開モデルから、他ISPとの提携、飲食店や商業施設への自社回線事業とのパッケージ提供などの提携モデルに事業を転換して、サービスを継続している。

 現在、1都3県(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)でサービスを展開しているが、増田氏によれば今後は順次全国展開を計画しているという。全国展開にあたっては、上記の提携モデルを前提に進めるため、屋外エリアではなく、飲食店や商業施設、教育施設などの屋内での提供が中心になるという。


今後は屋内エリアを中心に全国展開も計画する 「livedoor Wireless」の利用者推移

 ユーザー数に関しては、「livedoor Wireless」単体で約2万人。具体的な数値は非公表だが、ローミングパートナーのユーザー数が「livedoor Wireless」のユーザー数を上回っているという。また、同じく数値は非公表だが、収益構造に関してユーザー課金収益とローミング課金収益、回線収益、ライブドア各事業とのシナジー効果による収益の割合が、それぞれ25%ずつになるとした。

 増田氏はこのほか、無償のトライアルサービス「livedoor-free」について、「iPhoneの発売以降、利用者が飛躍的に上昇している」と説明。このことから、公衆無線LANサービスの潜在ユーザー数が高いと見て、ライブドアでは潜在ユーザーの獲得を推進することで、ビジネスチャンスを拡大できるとしている。


収益構造 iPhone発売後、「livedoor-free」の利用が上昇。「アカデミック ソリューション」を導入したある大学では約4割のMACアドレスがiPhone/iPod touchだったという

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(村松 健至)

2010/3/9 06:00