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東京都、「非実在青少年」に関する条例案の解釈など見解を発表


 東京都青少年・治安対策本部は17日、都議会で現在審議中の青少年健全育成条例の改正案についての指摘に対して、都の見解を発表した。

 改正案では、「青少年の健全な育成を図るため、児童ポルノの根絶等への機運の醸成等に関する規定を設けるとともに、インターネット利用環境の整備等に関する規定を改めるほか、規定を整備する必要がある」として、望ましいフィルタリングの水準についての規定や、児童ポルノの根絶および「青少年性的視覚描写物」のまん延防止に向けた取り組みなどを盛り込んだ。

 これに対してインターネット業界や出版関係者、学識経験者などから、表現規制につながりかねないなどの声が上がっていた。

「非実在青少年」の判断について「恣意的な運用は不可能」

 改正案では、マンガやアニメ、ゲームなどに描かれたキャラクターで、「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの」を、「非実在青少年」と定義。「性交又は性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの」を「青少年性的視覚描写物」と呼び、これを青少年が容易に購入したり閲覧できないようにする努力義務を事業者や都民に課してる。

 さらに、「青少年性的視覚描写物」のうち、「強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの」については、都知事が「不健全図書」に指定できるとし、青少年への販売などを禁止。これに違反し、警告に従わない事業者には30万円以下の罰金も科せられる。

 都の見解では、「非実在青少年」の定義があいまいで恣意的な運用につながるのではないかとの指摘に対して、「作品の設定として、年齢や学年、制服(服装)、ランドセル(所持品)、通学先の描写(背景)などについて、その明示的かつ客観的な(1)表示又は(2)音声による描写(台詞、ナレーション)という裏づけにより、明らかに18歳未満と認められるものに限定するための規定であり、表現の自由に配慮して、最大限に限定的に定めたもの」と説明。「単に『幼く見える』『声が幼い』といった主観的な理由で対象とすることはできず、恣意的な運用は不可能」であるとし、視覚的には幼児に見える描写であっても「18歳以上である」などの設定となっているものは該当しないとしている。

 また、「性交又は性交類似行為」の規定があいまいで、18歳未満のキャラクターの裸が出てくるだけで規制対象になるのではないかとの指摘に対しては、法令用語としてどのような行為か限定されており、「性交を示唆するに止まる表現や、単なる子どもの裸や入浴・シャワーシーンが該当する余地はない」と回答している。

 このほか、改正案では、都の責務として、「都は、青少年性的視覚描写物をまん延させることにより青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきではないことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と連携し、青少年性的視覚描写物を青少年が容易に閲覧又は観覧することがないように、そのまん延を抑止するための環境の整備に努める責務を有する」と規定した。

 この「まん延を抑止する」という点について、成人の購入・閲覧までも規制するものではないかとの指摘については、あくまでも「青少年が閲覧又は観覧することを抑止する、という意味である。成人への規制を意味するものではない」としている。

フィルタリングすべき「青少年有害情報」は、国の法律の範囲内

 インターネット関連では、青少年のインターネット利用にかかわる事業者やフィルタリングソフト事業者の責務として、提供するフィルタリングソフト/サービスついて、「青少年がインターネットを利用して自己若しくは他人の尊前を傷つけ、違法若しくは有害な行為を行い、又は犯罪若しくは被害を誘発することを容易にする情報を閲覧する機会を最小限にとどめるものとなるように務めなければならない」との規定を加えた。

 この点については、国の青少年インターネット環境整備法における「青少年有害情報」の定義を超える規制ではないかといった指摘や、定義や範囲があいまいで拡大解釈のおそれがあることから、表現の自由の侵害につながるのではないかとの指摘が挙がっている。

 これについては、青少年インターネット環境整備法における「青少年有害情報」の範囲内であること、また、どういった情報が該当するかの解釈や判断は、青少年インターネット環境整備法の枠組み通り、事業者が行うものであり、都による基準の規定やサイト規制が行われることはないとしている。

 今回発表された見解は、指摘が挙がっている内容を都側で18項目に類型化し、それぞれに対して、条例案の解釈について見解を述べるスタイルとなっている。パブリックコメントの結果を公表する際によく見られるスタイルだが、青少年健全育成条例の改正案はすでに都議会で審議に入っており、当初の予定では委員会採決を直前に控えている段階だ。3月に入って条例案の内容が広く知られるところとなり、これに懸念を持つ著名漫画家らが改正に反対する集会を開くなどしたことで関心が集まり、多くの問い合わせが寄せられるようになったことから、このようなかたちで見解を示したものとみられる。


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(永沢 茂)

2010/3/18 20:18