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マニア向け“動く電子書籍”をクラウドで販売・保管、NTTと角川が新サービス


角川グループホールディングス代表取締役会長の角川歴彦氏(右)と、NTT代表取締役副社長の鵜浦博夫氏(左)

 NTTグループと角川グループの合弁で設立されたNTTプライム・スクウェアは12日、クラウド型コンテンツ配信サービス「Fan+(ファンプラス)」を9月に開始すると発表した。

 テキストや静止画、動画、音声などを組み合わせた“ハイブリッドコンテンツ”を、PC、iPad/iPhoneをはじめ、スマートフォンや携帯電話などのマルチデバイス向けに配信する独自プラットフォームを提供する。歴史やアニメ、マンガ、鉄道、スポーツなど、さまざまなジャンルのコンテンツホルダーの募集を開始した。

 NTTプライム・スクウェアでは、特定ジャンルの熱心なマニアやオタクを“ファン”と呼び、「Fan+」は、そうしたファンを満足させることができるコンテンツの配信プラットフォームを目指すという。

 NTTプライム・スクウェアの井上淳也取締役企画部長は、“ファンゴコロ”に応える機能として、クラウド上の本棚とも言えるコレクション機能「MyBox」があると説明する。ユーザーは、「Fan+」で購入したすべてのコンテンツを自分の「MyBox」内に保管しておける。さらに、これをインターネット経由でマルチデバイスから閲覧できるため、外出先などでも自分の好きな世界にいつでも触れていることができるほか、端末を買い換えてもそのままコレクションを保有し続けられるとアピールする。「MyBox」にあるコンテンツは、Webブラウザーや、スマートフォンであれば専用のアプリなどから、オンラインで閲覧する方式になる模様。


「Fan+」のロゴとキャッチフレーズ 「Fan+」の利用イメージ(発表資料より)

 「Fan+」で流通する“ハイブリッドコンテンツ”については、専用オーサリングツールを用意し、コンテンツホルダーが容易に「Fan+」向けコンテンツを制作できるようにする。動画や音声、テキストなど個々のパーツについてはFlashなどをはじめとした既存技術が用いられるようだが、生成した“ハイブリッドコンテンツ”は「Fan+」独自のフォーマットとなり、サービス開始当初はこの独自フォーマットの“ハイブリッドコンテンツ”のみを流通させていく。

 “ハイブリッドコンテンツ”のイメージとしては、例えば、スポーツ雑誌の技術解説記事で動画で動きを説明するといったもの、グラビア雑誌では、一見して静止画に見えるページが動き出してグラビアアイドルが話し出したり、クイズなどのインタラクティブな仕掛けも取り入れることが可能。いわば“動く電子書籍”のようなもので、NTTプライム・スクウェアでは、テーマとするジャンルの魅力を存分に表現でき、これまでにないコンテンツを楽しめる方法とアピールしている。


デモ用の“ハイブリッドコンテンツ”

デモ用の“ハイブリッドコンテンツ”(スマートフォンでの閲覧)

 中山俊樹代表取締役社長によると、「Fan+」ではこうした“ハイブリッドコンテンツ”としての見せ方を重視している。そのため、購入したコンテンツをプリントアウトして読むような、既存メディアのスタイルの利用方法には対応していないという。また、閲覧時はクラウドからストリーム配信するかたちとなり、オフライン閲覧も当初は対応しない方針。

 「Fan+」でコンテンツを提供するコンテンツホルダーは“ショップ”と呼ばれ、サービス開始時点で8〜10ショップを見込んでいるが、中山社長はできれば30ショップ程度のコンテンツホルダーをそろえたいとしている。

 なお、出店したショップが売り上げの一部をNTTプライム・スクウェアに支払うレベニューシェア方式の料金体系となっており、最低月額利用料金は1万円から。売上規模が大きくなるほど、コンテンツホルダー側の取り分が多くなるような料率設定となる。


「Fan+」のビジネスモデルイメージ(発表資料より)

 コンテンツの販売に加え、リアルイベントの共同プロモーションやグッズ販売、コミュニティ、ライブ中継などとも連動していくという。井上取締役は、仮にユーザーが100万人いるとして、彼らが全員同じ1つのコンテンツを見るような場ではなく、100個のコンテンツにそれぞれ1万人ずつファンが付くような、多種多様なジャンルのファンが集う場にしたいと説明。出版社や、音楽/エンターテインメント業界の企業など、さまざまなコンテンツ企業の参加を呼び掛けた。

 12日に行われた「Fan+」の発表会は、角川グループホールディングス代表取締役会長の角川歴彦氏もあいさつし、日本経済が得意としてきた精密な工業製品を作ることがメインだった20世紀に対して、「21世紀は心の豊かさを売る時代になった」とコメント。AppleやGoogleなど米国勢が示したような、クラウド時代の新たなコンテンツビジネスを始めることの重要性を強調した。


NTTプライム・スクウェアの中山俊樹代表取締役社長 NTTプライム・スクウェアの井上淳也取締役企画部長

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(永沢 茂)

2010/5/12 19:23