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ロマンシング詐欺は“ムラ的ウイルス犯罪”、G Dataがドイツの事例と対比


 G Data Software株式会社は3日、インターネットの地下経済の実態をとりまとめた白書「アンダーグラウンド エコノミー Part2」を公開した。5月に摘発された「ロマンシング詐欺」事件をふまえ、暴露系ウイルスへもの注意を喚起している。

 ロマンシング詐欺は、ファイル共有ソフトを通じて感染するウイルスによって金銭をだまし取った事件で、首謀者2人が5月25日に逮捕された。そのうち1人はウイルス作者で、ウイルス作者の逮捕としては、同じくファイル共有ソフト利用者を狙った「原田ウイルス」の作者に次いで2例目。

 白書では、原田ウイルスの犯人は愉快犯であり、著作権侵害を理由に逮捕された点を指摘。これに対して、今回のロマンシング詐欺の犯人は、ウイルスを利用した金銭横領詐欺での摘発として、国内最初の逮捕事例となったと説明している。

 ロマンシング詐欺で使用された「Kenzero(またはKenzo)」という名称のウイルスは、ファイル共有ソフトでダウンロードしたアダルトゲームやオフィスソフトなどをインストールする際、架空の機関「際著作権機構(ICO)」のWebページに誘導して個人情報を入力させるとともに、その個人情報をもとにユーザーに金銭を要求していた。

 ロマンシング詐欺に関する説明は、ドイツのネット犯罪との対比について考察した「日本語版への序文」として、白書に付記したもの。序文では、ドイツで2009年秋、ネット犯罪のシンジケートを構成する一部の組織が集中して警察当局に一斉捜索された事例を紹介。ドイツの犯罪組織の手口が、違法に相当額の金銭を入手できる犯罪システムとしては、かなりの完成度に達しているとしている。

 これに対してロマンシング詐欺事件は、ドイツのネット犯罪ほど大掛かりものではなく、組織的な犯罪とはいえないと指摘。実際にロマンシング詐欺事件は、首謀者が逮捕される2カ月前から掲示板などで被害報告や加害者の弾劾が行われており、マスコミや警察当局は、それほど苦もなく状況を詳細に把握できたとしている。

 白書では、ロマンシング詐欺事件について、小さなコミュニティにおける小さな犯罪(=ムラ的ウイルス犯罪)という位置付ける一方、ドイツの事例は、国際規模での大掛かりな犯罪(=グローバルなウイルス犯罪)と説明。日本のユーザーに対しては、将来的にはドイツのようなグローバルなウイルス犯罪が増加する危険性を理解しながら、ムラ的ウイルス犯罪への対策を怠らないようにすべきとしている。


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(増田 覚)

2010/6/3 13:10