偽セキュリティソフトの被害が依然相次ぐ、IPAが注意を呼びかけ


偽セキュリティ対策ソフト「Security essentials 2010」の画面

 偽セキュリティ対策ソフトの被害相談が増加しているとして、情報処理推進機構(IPA)が3日、ユーザーに対して注意を呼びかけた。

 IPAがまとめた2010年5月のウイルス・不正アクセスの届出状況によると、偽セキュリティ対策ソフトに関する相談は2010年1月に急増し、5月までに多数の相談が寄せられている。偽セキュリティ対策ソフトは、「ウイルスに感染している」などといった虚偽の警告メッセージを表示するタイプのウイルス。

 こうしたソフトには「Security essentials 2010」「XP Smart Security 2010」といったいかにも本物らしい名前が付けられている。また、画面にもそれらしいウィンドウが表示されるが、実際にはセキュリティ対策ソフトではなく、「問題の解決には有償版が必要」などとしてユーザーを支払いサイトに誘導し、金銭を盗み取ることが目的となっている。

 IPAでは、最近被害報告が相次いでいる偽セキュリティ対策ソフトの多くは、Webサイトを閲覧したことで感染してしまうガンブラー型の手口によるものが多いと説明。被害に遭わないためには、データの定期的なバックアップとウイルス対策ソフトの導入、WindowsやInternet Explorer、プラグインソフトなどをアップデートして脆弱性を解消することなど、基本対策を徹底することを呼びかけている。

 また、偽セキュリティ対策ソフトがインストールされてしまった場合にも、正規のセキュリティ対策ソフトによる駆除や、Windowsの「セーフモード」や「システムの復元」の利用、症状が改善しない場合にはPCの初期化などが対策となり、偽セキュリティ対策ソフトのメッセージに従って料金を払わないよう警告している。

 2010年5月にIPAに届出のあったウイルスの検出数は約5万個で、4月の約4万個から26.8%増加。届出件数は1084件で、4月の1077件とほぼ同水準。5月の不正アクセスの届出件数は8件で、そのうち何らかの被害のあったものが5件。相談件数は52件(うち2件は届出件数としてもカウント)で、被害のあったものは22件。これらのうち、ガンブラーの手口による侵入と思われる侵入被害が2件報告されている。


関連情報

(三柳 英樹)

2010/6/4 06:00