Android OS搭載、クラウドになるフォトフレーム「ServersMan Cast@net」


ServersMan Cast@net

 フリービット株式会社は23日、Android OS搭載のデジタルフォトフレーム「ServersMan Cast@net」を発表した。

 通常のフォトフレームとして使えるほか、同社開発のサーバーソフト「ServersMan」を搭載しており、フォトフレーム自体がクラウド(Webサーバー)として動作するのが特徴。スマートフォンなどから写真を直接フォトフレームにアップロードしたり、それをインターネット上に広く公開することが可能だ。

 販売は、子会社のエグゼモード株式会社のオンラインショップなどで行い、価格は2万4800円。7月1日より先行予約を受け付ける。また、同じく子会社の株式会社ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)からも、月額2100円の12回払いで提供する予定で、7月9日から予約を受け付ける。出荷は7月中旬から下旬の予定。

Android 1.5搭載、Google Chromeでウェブ閲覧も可能

本体側面に電源ボタン、SDカードスロット、USBポートを備える

 ServersMan Cast@netのハードウェアは、ディスプレイが解像度800×600ピクセルの8インチタッチパネルスクリーン(マルチタッチは非対応)。通信機能として、10BASE-T/100BASE-TXの有線LANポートとIEEE 802.11b/g/nの無線LANを備えるほか、USBポートに別途3Gデータ通信アダプターを接続して使うことも可能だ。本体DDRメモリーが256MB、フラッシュメモリー2GBのほか、SDスロットを1基備える。プロセッサーはARM11で、初期のiPhone程度の処理能力だという。

 これにOSとしてAndroid 1.5を組み合わせ、ウェブブラウザー「Google Chrome」やPOP3/IMAP4対応メーラーをプリインストール。動画共有サイトなどを含むウェブ閲覧や、メールの送受信が可能だ。Word、Excel、PowerPoint、PDFに対応したドキュメントビューワーにより、これらの形式のメール添付ファイルもフォトフレームで表示できる。アドレス帳やメディアプレーヤーアプリもあるため、デジタルフォトフレームとはいえ、ネットブック相当の機能を持つと説明している。

WebDAVに対応、ファイルの出し入れを直感的に

 本体を起動すると通常のデジタルフォトフレームとして動作し、SDカードに保存している写真をスライドショー形式で表示する。動画にも対応しており、表示切り替えスピードやBGMなどの設定、カレンダーや時計の表示も可能だ。

 設定画面で、ServersManのアカウントとパスワード(登録無料)を入力しておくことで、ServersMan Cast@netがウェブサーバーとして機能。WebDAVによる直感的な操作でファイルの出し入れを行ったり、ストレージ内の公開領域に保存してある写真をウェブ上で公開できる。

 さらに、ServersManと連携する携帯端末用カメラアプリ「Scooop」をインストールしたiPhoneやWindows Mobile、Android、iモード端末では、同アプリで撮影すると同時に、グルーピング設定しているServersMan Cast@netのフォトフレームにアップロードし、最新の写真をスライドショーに割り込ませるかたちで即座に表示できるという。ServersManはWi-Fi機能搭載のSDカード「Eye-Fi」にも対応しているため、Eye-Fiカードを挿入してあるデジタルカメラとの連携も可能だ。


スライドショーの設定画面ServersManの設定画面

音楽再生の設定画面カレンダー・時計の設定画面

PCのウェブブラウザーから各種設定やアプリ追加が可能

 ServersManをフォトフレームに搭載するにあたっては、新たなユーザーインターフェイス「Air Display」を開発した。これは、PCのウェブブラウザーにAndroid端末の画面を表示するとともに、その端末のリモート操作を可能にするもので、単体では操作性に難のあるフォトフレームの設定・管理をPCで補うかたちだ。

 具体的には、PCブラウザーからインターネット経由でServersMan Cast@netにログインして各種操作を行うかたち。アドレス帳のインポート・編集、ストレージ内の写真の整理などのほか、ユーザー自身で選んだAndroidアプリを、Air Displayを介してServersMan Cast@netへ追加インストールすることも可能だ。なお、動作保証はないものの、GPS機能やマイク機能を必要とするアプリ以外であれば、Android 1.5上で動作するアプリは利用可能だとている。

 このほか、既存の写真共有サービスに保存してある写真を読み込んで来て表示するような使い方も、アプリを追加することで可能だという。フリービットでは、ニーズがあれば自社でそういったアプリを開発・提供していく考えだ。

世界初の“クラウドフォトフレーム”とアピール

フリービットの石田宏樹代表取締役社長

 フリービットの石田宏樹代表取締役社長は、「Cast@net(カスタネット)」という名称について、「受動的に見るだけでなくデジタルサイネージのように送り出す、放送や通信が可能という思いを込めた」とコメント。また、家庭内の機器をクラウド(サーバー)化するにあたっては、常時接続、常時通電、静音性、違和感のない形状といった条件から、デジタルフォトフレームが最適だったと説明した。

 また、携帯メールなどで送った写真をダウンロードしてきて表示できるデジタルフォトフレームはすでに販売されているが、それ自体が自律ノードとして機能し、インターネット上からファイルの出し入れが行える“クラウドフォトフレーム”は、商用ベースでは世界初だとアピールした。PCの市場は日本ではすでに飽和状態にあるとみる一方で、高齢者や子どもをターゲットにした市場、あるいは各部屋に1台ずつ設置するといった、生活に溶け込むような端末の市場がまだ存在すると考えていることも、今回、デジタルフォトフレームを選んだ理由だという。

 ServersMan Cast@netでは、パーソナルユースのほか、数千台のデジタルフォトフレームに一斉に広告などを配信して表示するデジタルサイネージとしての活用も想定しているという。法人向けや地方地自体向けにカスタマイズして提供する事業も展開する予定だ。


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(永沢 茂)

2010/6/23 17:55