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マイクロソフトの2011年の重点項目は「クラウド」〜樋口社長

社名も「日本マイクロソフト」へ


代表執行役社長の樋口泰行氏
2010年度の成果

 マイクロソフト株式会社は6日、2011年度(2011年6月期)の経営方針に関する記者会見を開催。代表執行役社長の樋口泰行氏が、2010年度(2010年6月期)を振り返るとともに、2011年度の重点目標を説明している。またその中で、2011年2月より、社名を「日本マイクロソフト株式会社」に変更することも明らかにした。

 樋口社長はまず、2010年度について、「厳しい経済情勢の中で、創業以来の大規模な人員削減を実施し、体を縮めて基本に立ち返った」と振り返る。そして、多少は回復傾向が見られるものの、「景気が戻っても、お客さまは、これまで通りの投資はされなくなっている」と、企業のシステム投資について、これからも厳しい状況が続くとの見方を示す。

 しかし、「これは逆にチャンス」なのだという。それは、「メンテナンスコストのかかるレガシーの世界から、オープンな環境、軽い柔軟なITへの変革がニーズとして高まっている。その中で、当社の技術、ソリューション、プラットフォームに関する期待が高まっている」から。また、“クラウドという新しい考え方”を利用しようという気運が高まってきており、そのクラウド分野でマイクロソフトが強みを発揮できることも大きな要素だと、樋口社長はアピールする。

 マイクロソフトではクラウドへの関心の高まりを受け、2010年度は、積極的な取り組みを進めてきた。すでに、Microsoft Online Servicesについて、前年の10倍以上にあたる、350社超のパートナーを国内で獲得しているほか、25万ユーザー以上を獲得。Windows Azureについても、50以上のパートナーと共同で取り組み、4000以上のアプリケーションをそろえている。特に、「オンプレミスからの移行や連携が容易」であることから、「Windowsベースの、世の中にあまたあるソフトウェア資産がクラウドに展開できることで、高い評価をいただいている」のだという。

 実際に、大手町に設立されたテクノロジーセンターは予約がなかなかとれないほど好評だというし、Googleの大きな販売パートナーであった富士ソフトが、Azureを手掛けることをコミット。「わずか1カ月で、3番目に大きなパートナーとなった」というほど、ビジネスは順調に進んでいる。

 2011年度も、クラウドについては引き続き、大きな注力分野として進める考えで、「オンプレミスであろうが、クラウドであろうが、お客さまのニーズによって、移行、連携をできるようにする。そこに大きくリソースをシフトする」とした。Microsoftでは、すでに7割の従業員がクラウドに携わる、というメッセージが発信されているが、樋口社長は、「日本法人も90%以上の社員がクラウドに携わる。また、専任部隊も7月から100名体制で立ち上げ、順次増加する予定で、Exchangeでは、今年度中にオンプレミスとクラウドの売り上げを同等にしたい」と、社内の体制・目標を説明する。

 さらに、樋口社長は、“日本品質”にこだわってく姿勢を再三示している。それは、「日本で求められる品質が担保されないと、お願いできない」と顧客に言われてしまうから。「大事なデータ、アプリケーションを預かることになるので、この会社に預けても大丈夫、ということにならないと(クラウドビジネスは)根付かない」とした樋口社長は、「当社は、企業のお客さまを相手に長年培ってきたベースがある点が強み。オンプレミスのソフト資産もあるし、営業体制、サポート体制もある。これがクラウドでも信頼を勝ちうる大きな要素だ」と述べ、自社の強みをアピールしていた。

 ただし、マイクロソフト1社でクラウド戦略を完結できるわけではないことは、2011年度もこれまでとまったく同じ、という点を強調。350社のパートナーを今年度内に1000社へ拡大するのに加え、3年後までには全パートナー7000社をクラウドビジネスでのパートナーにするなど、パートナーのクラウド対応を促進する考えを示す。同時に、Windows Azureのボリュームライセンスの提供や、BPOSの新バージョン、Dynamics CRM Online、Windows Intuneなどクラウドのラインアップを拡大することで、オファリングの拡充を図るとしている。


2011年度のクラウド戦略

 

社名を「日本マイクロソフト」に変更、日本に根付くベンダーに

社長就任後の変革の軌跡とさらなる飛躍に向けて

 さらに樋口社長は、「部署の壁を取り除き“ワンチーム”のスピリットを持たないとダメ、ということで、組織改革を中心に手掛けていた。また、景気が後退局面に入ったので、四半期ごとの目標をきっちり達成できる姿勢・体制にまずしましょう、ということを中心に運営を進めてきた。これは、そうしないと、本社との信頼関係も構築できないし、戦略の推進も思うようにできなかったからだ」と、就任以来を振り返る。

 こうした方針のもと、2010年度を運営してきた結果、クラウドは順調な立ち上がりを記録。Windows 7も、過去のOSでは最速の導入を示し、全インストールベースの10%が見えてきたほど。Office 2010についても、発売前の買い控えがほとんど起こらず、企業の導入も進みつつあるのが現状で、日本法人のビジネス全体は、ワールドワイドのMicrosoftの中でも上位の伸びを示していたという。

 しかし、これを受けた2011年度は、「四半期の数字の積み重ねの上で、さらに中長期視点で正しいことをやっていこう」との方針を掲げる。

 この背景には、マイクロソフトは、WindowsやOfficeでは他を圧倒するシェアを持つものの、ビジネスソリューション分野は、まだそれほど高いシェアを占めているわけではないということがある。つまり、そこに“伸び代”がある状況だが、「競合相手がすでに当社のパートナーとエコシステムを築いてしまっており、当社に振り向いてもらわないといけない」といった課題が存在するのだ。

 そこで、「1年後、2年後、3年後といった将来に、お互いがどういう姿になりたいか、ということを考え、長期に信頼を得ないと、難しい分野では成功しない」と意識し、パートナーに中長期視点でマイクロソフトのビジネスにコミットしてもらえるよう、努力することが重要だというのである。

 そして、それを具現化するため、2011年2月1日付けの本社移転(オフィス統合)と同時に、社名を「日本マイクロソフト株式会社」に変更することも明らかにした。樋口社長は、社名変更と、その背景にある日本に根付くということの意味を「設立25周年を迎える節目に、社名を変更することにした。日本の国が強くならないといけないが、そのためには、共存共栄してお役に立てる存在ではないと、企業市民として認められない。その考えで引き続きやっていく」と説明し、これからも日本社会の一員としてビジネスを進める、との考えを述べていた。

2011年2月より、日本マイクロソフトに社名を変更 日本マイクロソフトの目指すべき企業像

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(石井 一志)

2010/7/6 16:38