ウィルコム更生計画案提出、宮内謙氏がウィルコム代表取締役に
宮内謙氏、写真は2009年5月にソフトバンクテレコム副社長として挨拶したときのもの |
会社更生手続き中であるウィルコムの管財人(事業管財人:宮内謙氏、法律管財人越塚和男氏)は、10月14日、東京地裁に更生計画案を提出したと発表した。裁判所の決議決定を経て、担保権者および債権者に更生計画案が送付される。
PHS事業者であるウィルコムは、2010年2月、東京地裁に会社更正法の適用を申請し、同年3月より会社更生手続きを開始した。10月14日に提出された更正計画案では、基本方針として、2.5GHz帯を使った高速データ通信サービス「XGP」の事業をウィルコムから切り離し、現在のPHS事業を維持発展させるとしている。
計画案ではまず、ウィルコムの発行済み株式と新株予約権の全部を同社が無償で取得し、同日その全部を消却する。株式の消却とともに、投資会社アドバンテッジパートナーズ(AP)がサービス提供するAPW投資事業有限責任組合(APW)に対して、普通株式30万株を発行する。1株あたりの払込額は1000円となり、ウィルコムは資本金として1億5000万円、資本準備金として1億5000万円を得る。
なお、ウィルコムは8月にソフトバンクとの間でスポンサー契約を結んでいる。この契約に基づいてAPWに発行された30万株は、ただちにソフトバンクが譲り受けることになる。これによりウィルコムはソフトバンクの全額出資会社となる。
更生計画案提出時における更生債権額は約1671億円で、このうち1000万円以下の債権額は100%弁済する。1000万円を超える部分は、13.354%に相当する金額(合計約235億円)を6年間の均等分割で弁済する。更正計画案提出時の更生担保権は約175億円となり、確定した担保権の全額を6年間の均等分割で弁済する。
ウィルコム新体制の代表取締役には、ソフトバンクの取締役でソフトバンクモバイルの代表取締役副社長、現ウィルコムの事業管財人である宮内謙氏が就任する予定。取締役には、ソフトバンクモバイルの取締役専務執行役員でCTO技術統括である宮川潤一氏、ソフトバンクモバイル執行役員 財務統括 経営企画本部長の田中錬氏が選任される見込み。
ウィルコムは更生計画の認可決定後、吸収分割会社をウィルコム、吸収分割承継会社をWireless City Planningとする。Wireless City Planningには、ソフトバンクやAPのファンドなどが出資する見込みで、同社にはXGP事業、PHSおよびXGP向けの電柱資産、PHS基地局およびXGP基地局に関連する賃貸借契約の地位等が承継される予定となっている。
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(津田 啓夢)
2010/10/14 19:25
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