楽天と丸井が包括的業務提携、ネットとリアル融合でファッション業界活性化


楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長(左)と丸井の青井浩代表取締役社長(右)

 楽天株式会社と株式会社丸井グループは25日、Eコマース事業などにおける業務提携に合意したと発表した。丸井が「楽天市場」に出店するほか、リアル店舗などでの連携も実施する。さらにEコマース事業だけでなく、楽天の電子マネー事業と丸井のクレジットカード事業でも連携する。

 12月中旬をめどに楽天市場に出店する丸井のオフィシャルショップでは、丸井のプライベートブランドを中心に販売。まずはレディスファションと雑貨などから取り扱いを開始し、順次アイテムを拡大する。

 丸井でもすでに独自にショッピングサイト「マルイウェブチャネル」を展開しており、年間売り上げ200億円規模に成長しているという。楽天市場に出店するオフィシャルショップでは早い段階で、その半分の規模の100億円の売り上げを目指す。現在、丸井のリアル店舗は首都圏が中心だが、インターネットによる全国展開で顧客拡大を狙う。

 その一方で、楽天市場に出店しているアパレルショップが、丸井のリアル店舗や店外催事に出店するのを両社で支援する共同企画も実施する予定だ。丸井では、年間5回・最大10万人の集客があるというイベントを開催している。楽天市場に出店している6000店近いファッション店舗に、リアルでの販売機会を提供していく。

 なお、楽天ではすでに、百貨店の催事会場に楽天市場の人気店舗を出店する取り組みを行っており、思いのほか好調だという。オンラインショップで人気の商品が百貨店で買えるということだけでなく、インターネットの売り上げランキングに対する信頼が消費者に大きく影響しているとみている。現在は食品中心だが、丸井との提携では、単純に今までの延長線ではなく、ファッション店舗ならではの企画を模索する考えだ。

 2011年1月中旬からは、楽天グループのビットワレット株式会社が運営するプリペイド型電子マネー「Edy」と、丸井グループ子会社の株式会社エポスカードが運営するクレジットカードおよびポイントサービスの連携を開始する。

 所定の手続きを行ったおサイフケータイでEdyを利用した額に応じてエポスントを付与する。また、エポスカードのクレジット機能でEdyをチャージできるサービスも開始する。エポスカードは約410万人の会員がいるとしており、同会員でのEdy利用増加を見込む。

 25日に行われた提携会見で、楽天の三木谷浩史代表取締役会長兼社長は「楽天市場がスタートした1997年5月の時点では、ネットでものを買うことがまだまだ普通ではなかった。ファッションをネットで買うような時代が来たことをうれしく思う。リアル店舗の安心感・親近感と、ネットの情報量をかけあわせながら、リアルとネットの融合を進め、顧客が求めているライフスタイルを一緒に模索したい」と語った。

 丸井の青井浩代表取締役社長は「今やファッションもネットで買うことが当たり前の時代。買い方も、ネットで調べてリアルで買う、あるいはリアルで試着してネットで買うというように、ネットの使いこなしが急速に普及していきている。ネット対リアルではなく、ネット企業とリアル企業が協力することで補完できることがたくさんある。今後、協業を進め、従来以上に便利で楽しく、より安全・安心なサービス提供していきたい」と語った。


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(永沢 茂)

2010/11/25 18:49