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ドコモの「Xi」スタート、山田社長「スマートフォンは来冬」


“メリークロッシィ!”のかけ声で「Xi」開始スイッチをオンに。左からITCネットワーク代表取締役社長の寺本一三氏、ドコモ山田社長、森田政務官、富士通山本社長

 24日、LTE方式を採用したNTTドコモの新通信サービス「Xi(クロッシィ)」の提供が開始された。ドコモでは同日、開始を記念したセレモニーを開催した。

 LTE(Long Term Evolution)方式は、現行の3G方式を発展させ、標準化された通信規格。「Xi」は、そのLTE方式を採用し、現行FOMAの次に投入される新世代の通信サービスとなる。当初は東名阪でサービスを開始するが、最初に登場するデータ通信端末「L-02C」はFOMAネットワークにも対応しており、どこでも通信できるようになっている。「Xi」では、下りの通信速度が屋内で75Mbps、外で37.5Mbpsとなり、上りは最大12.5Mbpsとなる。通信料は段階制を取り入れた従量制プランが用意されているが、当初の2年間はキャンペーンとして、上限が4935円となる。

 セレモニーで登壇した総務大臣政務官の森田高氏(富山県選出の参議院議員)は「ICTは、経済成長の1/3を担う。医療や介護の質向上にも寄与し、国民生活になくてはならない貴重な財産だ。総務省では特に電波利用の拡大・多様化の取り組みは、社会の発展、国民生活において大変重要。大容量のサービスが可能になるととに効率的な電波利用という観点から大変喜ばしい。総務省としても円滑な周波数再編を実現して、世界最先端のワイヤレスブロードバンド環境が整備されるよう真剣に取り組む」と挨拶した。

 続けて挨拶に立った富士通代表取締役社長の山本 正已氏は「ネットワークの進展や携帯電話の普及、最近ではスマートフォンの進展と、新しい生活が拡がるなか、LTEの発展が期待されている。今後、日本、さらには世界に向け、日本から発信できると思う。端末メーカー、ネットワークベンダーともに世界に向けて活動したい。ネットワークと端末が連携するクラウドはさまざまな可能性を秘めている。いろんな提案をしていきたい」と語った。

周波数再編にも意欲を見せた森田政務官 富士通の山本社長は海外展開に期待するコメントも
関西支社のゲストとして登場したキダ・タロー氏

 セレモニーは、名古屋・大阪でもサービスが開始されるとあって、ドコモの東海支社、関西支社と中継する形で行われた。最初は有線で中継していたが、Xiのサービス開始を告げるスイッチを入れた後は、Xiでの中継に切り替えられた。有線と比べると、多少の遅延は感じられるが、映像品質に違いは見られず、無線通信とは思えないほどスムーズな中継が実現していた。

 ゲストとして、東海支社にはタレントの磯野貴理が、関西支社には“浪速のモーツァルト”こと作曲家のキダ・タロー氏が登場した。今年で 80歳になったキダ・タロー氏は「最近、仕事もせんと、ケータイゲームにはまってまんねん」と携帯電話に詳しいかと思わせるコメントをする一方で、「次世代の通信サービスがはじまる言うても、80歳にはようついていかれへん。ドコモショップでナンボなのか、次のケータイゲームも同じもんなのか。(とどのつまり)値段や値段」と、一般層への訴求に必要な点をまとめるかのように、わかりやすい説明を求めた。また、Xiの特徴を反映した具体的な例として、低遅延を活かす同時通訳サービス、あるいは歴史の名所をわかりやすく紹介するAR(拡張現実)サービスが紹介されると、キダ・タロー氏は「歴史の名所で、ちょっと横から見るとどうなるんやろな? 全部(日本どこでも)実現したら、ウチ(自宅)も見たいな」と、再度ユーザー視点に基づいたコメントを述べていた。

同時通訳サービスのイメージ 歴史の名所をARで観光

山田氏「スマートフォンは来冬に」

ドコモの山田社長

 セレモニーで壇上に立ったドコモ山田氏は「LTEは、ドコモが国際標準機関の3GPPに提案したのが始まりで、2004年12月の 3GPP会合で、ドコモを含む26社で提案・承認された。Xiは高速・大容量・低遅延を活かし、リッチなコンテンツを利用できるだけではなく、これまで端末上で処理してきたものをネットワーク側で処理できるようになる。Xiが社会に新しい生活スタイルをもたらし、豊かな生活の社会基盤になると確信している」と述べ、期待感を示した。

 セレモニー終了の囲み取材で、今後の端末ラインナップを尋ねられると、「来年の冬モデルくらいから(LTE対応の)スマートフォンを投入したいと考えている」とコメント。iモード対応の従来型の携帯電話よりも、スマートフォンのほうが高速通信を活かせることから、LTE対応の音声端末はスマートフォンだけにする可能性が高いとした。なお、Xi対応端末として、来年度の早い時期にモバイルWi-Fiルーターも投入される計画だ。

 また、Xiでは、高速性もさることながら、低遅延によりネットワークと端末が緊密に連携する、クラウドサービスの可能性が広がるとの見方を示し、Xi向けサービスも検討していくとした。現在、通信量(トラフィック)が急激に伸長していることから、ドコモでは高トラフィックのエリアを重点的にカバーすることも紹介された。

 今後の契約数について尋ねられると、当面はデータ通信カードのみで展開することから、今年度は5万契約とした一方、来年度は100万契約を目指し、2014年には1500万契約を見込むとした。周波数割当の関係上、屋外と屋内で通信速度が異なる形でサービスが開始されるが、屋外の高速化は、2012年の第3四半期から一部エリアで、2014年当初から全国で実現できるとし、2014年には下り100Mbpsになるとした。

 一部アプリケーションの利用を制御するかどうか、という点については、基本的に制限しない方向で展開したいとした。また、5GBという基準で通信料金の境目を設けていることについては、動向を注視するものの、公平性が最も重要とした。

クラウドでのゲームデモ、映像ダウンロードも

当初の対応機種はデータ通信端末

 Xiのデモとして、パソコンでのゲーム、大容量ファイルの映像ダウンロードを披露するデモも行われた。パソコンでのゲームは、サーバー側でゲームの処理が行われ、H.264の映像を受信するという形で、クラウド型サービスとなっていた。隣にはFOMA網で接続するパソコンも設置されていたが、通常プレイに支障がなさそうな「Xi」接続のパソコンと比べ、映像がときおり止まりかなりプレイしづらい印象だった。

 映像配信のデモでは、15MBの動画ファイルをダウンロードするというもの。FOMA接続のパソコンと同時にダウンロードを開始していたが、FOMA経由のダウンロードが終わる前に、Xi経由でダウンロードしたほうは映像再生まで終えていた。

ゲームのデモ 映像配信デモ

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(関口 聖)

2010/12/24 17:50