NICT、光ファイバー1本で109Tbpsの伝送実験に成功、世界記録を樹立
現在の光ファイバとマルチコアファイバの断面の概念図。黄色の部分が光の通路であるコア |
独立行政法人情報通信研究機構(NICT)は10日、新型の光ファイバー1本で109Tbpsの信号伝送実験に成功したと発表した。1本の光ファイバーの物理的限界とされていた100Tbpsを超え、従来の世界記録である69.1Tbpsを超える世界最高記録を樹立したとしている。
NICTでは、株式会社オプトクエストと住友電気工業株式会社(住友電工)と共同で開発した、1本の光ファイバーに7つのコア(光の通路)を持つマルチコアファイバーを利用し、16.8kmの距離での伝送実験を実施。109Tbpsの信号伝送に成功した。
今回の実験では、オプトクエストが開発した「既存の光ファイバー7本を7コアファイバーに接続するための7コア同時空間結合装置」と、住友電工が開発した「コアからの信号漏れを大幅に低減した7コアファイバー」を利用。マルチコアファイバーは、それぞれのコアから漏れた信号が干渉しあうことや、ファイバーの結合時にコアがずれるなどの技術的問題からこれまで開発が進んでこなかったが、伝送実験ではすべてのコアにおいて良好な通信品質を確認したという。
NICTでは、今回の技術の確立によりさらなる大容量化が確実に見込まれ、他の光通信技術との組み合わせで現在の1000倍以上の通信容量確保が期待できると説明。今後はマルチコアファイバーのさらなるコア数の拡大と実用化をにらんで、産官学連携の取り組みを積極的に推進していくとしている。
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(三柳 英樹)
2011/3/11 06:00
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