ソフィアモバイル、3G回線のIP電話スマートフォンを提供


 ソフィアモバイルは、MVNOとしてNTTドコモのFOMAネットワークを利用し、IP電話サービスを組み合わせて割安な通話料を実現したサービス「エスモビ」を開始する。端末としてファーウェイ製のAndroidスマートフォン「IDEOS X5」が販売され、インターネット接続とIP電話サービスが提供される。2年契約の場合、利用料は月額4200円、端末価格は一括払いで2万9800円。7月13日より予約が開始され、7月下旬に発売される。

スマートフォンとIP電話サービスを組み合わせた「エスモビ」エスモビの端末として提供される「IDEOS X5」

 今回提供される「エスモビ」は、通話サービスをIP電話のみとし、国際電話でも割安な料金体系が特徴。回線交換による通話には対応しない。フュージョン・コミュニケーションズのIP電話網を利用し、「エスモビ」端末同士の通話料は無料。国内の固定電話宛は1分6円、携帯電話宛は1分17円、アメリカ、中国、イギリス、フランス、カナダ宛は1分3円など、割安な料金体系になっている。端末には「050」で始まる電話番号が付与され、データ通信はHSPAの高速な通信も利用できる。

 料金プランは2種類が用意されている。2年契約を条件とした「エスモビ・ベーシックプラン(2年割)」は月額4200円。これには、基本料やインターネット接続料、パケット通信定額料、エスモビ同士の通話料などが含まれている。契約期間中の解約は違約金として9975円が必要。

 2年契約ではない「エスモビ・フリープラン」は月額5960円で、内容はベーシックプランと同じ。いずれの料金プランでも、契約事務手数料は3150円。6カ月以上利用する場合、違約金の支払いを含めても「エスモビ・ベーシックプラン」のほうが安くなるため、「エスモビ・フリープラン」は短期利用のユーザーを想定している。

 どちらの料金プランにも、公衆無線LANサービス「エコネクト」の利用権が含まれている。「エコネクト」は、BBモバイルポイント、livedoor Wirelessを合わせて全国で約6500カ所の公衆無線LANスポットを利用できる。また、オプションサービスとして、留守番電話サービスが無料で用意されているほか、月額315円で故障時の修理代を抑える「故障時安心サポート」、月額105円のWeb通話明細サービス、月額105円の内線番号サービスが用意されている。ビジネスフォンと連携し「エスモビ」で内線を受けたり、外線を含め保留・転送したりできる法人向けサービスも用意される。なお、保留と転送できる機能は標準で提供される。

 端末はファーウェイ製のAndroid 2.2搭載端末「IDEOS X5」がソフィアモバイルから提供される。3.8インチ、480×800ドットのディスプレイを搭載し、CPUは800MHz駆動。内蔵メモリは4GBで、システム用のメモリは512MB。500万画素カメラを搭載している。対応周波数はUMTS(W-CDMA)が900/2100MHz、GSMが850/900/1800/1900MHz。無線LANはIEEE802.11b/g/n。大きさは120×62×11.6mmで、重さは約130g。

 端末はSIMロックフリーの端末として販売される。USBおよびWi-Fiテザリングの利用も可能。IP電話はアプリから利用するが、Androidの機能により端末に統合され、Androidのアドレス帳とも連携する。

 端末価格は、料金プランにて2年契約の「ベーシックプラン」を契約している場合、一括価格が2万9800円で、毎月1300円の割賦払いも可能。「フリープラン」の場合は一括払いで3万9800円。

 「エスモビ」は、ビックカメラ有楽町店、ソフマップのほか、携帯電話販売店の「ダ・カーポ」「もしもしモンキー」でも取り扱われる。また、ソフィアモバイルの本社1階にオープンする「エスモビショップ1号店」およびオンラインショップ「エスモビWebショップ」でも販売される。7月13日より予約の受付が行われるのは、ビックカメラ有楽町店およびエスモビショップ1号店、エスモビWebショップ。

「ビジネスフォンをポケットに」

ソフィアモバイル 代表取締役社長の志村明彦氏ソフィアモバイル 取締役 事業本部本部長の高橋和男氏

 12日は都内で記者向けに発表会が開催された。ソフィアモバイル 代表取締役社長の志村明彦氏は、「スマートフォンとインターネット回線を組み合わせたIPスマートフォン」と「エスモビ」のサービスを打ち出し、IP電話とすることで通話料金を抑え、MVNOとしてドコモのFOMAネットワークを利用した上で、圧縮率を高めた独自開発のコーデックを採用し、「つながりやすく、高品質」とアピールした。また、同時に提供する端末はSIMロックフリーで、海外でも現地のキャリアのSIMカードを購入し、エスモビのIP電話サービスが利用できることや、テザリング機能や公衆無線LANサービスが付属していることも紹介した。

 SOHOや中小企業向けとして、通話の保留・転送が標準で用意されており、転送先は外線でも可能。任意の内線番号を利用できるサービスも月額105円のオプションで用意されている。また、同じくオプションで用意されるIP-PBXを導入すれば、本格的なビジネスフォンと連携させることも可能で、志村氏は、「初年度の契約回線数は1万回線を目指す」と意気込みを語っている。同氏は、法人向けの販売が全体の7~8割を占めると予想しており、内線電話機能や割安な料金体系などで法人向け販売に注力していく構え。


 ソフィアモバイル 取締役 事業本部本部長の高橋和男氏からは、技術面の概要が紹介された。エスモビのSIPサーバーは自社の設備として用意しており、細かな方式の違いを吸収する仕組みを搭載することで、海外キャリアとの接続や他の方式のSIPサーバーとも接続できるようになっているという。

 エスモビの通話アプリでは、Skypeに搭載されている音声コーデック「SILK」などとは異なる、より圧縮率の高いAMRNBを採用。独自の処理を施すことで、ベストエフォートでゆらぎの大きい3G回線でも帯域を確保しやすく、「高音質を実現している」とした。

 高橋氏は内線電話のように保留や転送が行えるデモを示した上で、「ビジネスフォンをポケットに入れて持っていくような感覚で使える」とアピールした。


クラスト 代表取締役社長の笹田亮氏は、カーボンオフセットも付属する公衆無線LANサービス「エコネクト」の概要が紹介された。エコネクトは通常は有料だが、「エスモビ」に付属する

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(太田 亮三)

2011/7/12 13:59