絶版マンガ配信の「Jコミ」、月額105円の有料サービスをベータ提供開始
株式会社Jコミは1日、絶版漫画を配信するサービス「Jコミ」において、月額105円の有料プレミアムサービスのベータテストを開始したと発表した。成人向けコンテンツを含む18歳以上を対象としたサービスだが、既刊のパロディ同人誌の合法化配信など意欲的な実験にも取り組む。
従来より提供している無料版のJコミでは、一般商業誌に掲載された一般向け作品を扱ってきた。これに対してプレミアムサービスでは、成人向けやBL(ボーイズラブ)作品などを扱う。以前より提供を予告していたサービスであり、また、Jコミ代表取締役社長で漫画家の赤松健氏は「成人向けのエロマンガや、BLなどを避けて通っているようでは、『マンガ文化の保存』とか言う資格はありません。やはり、絶版になった成人向けマンガやBLも、正しく保存し、鑑賞できるようにならなければ!」と、自身のブログで説明していた。
また、パロディ同人誌については、これを認める原作漫画の作者と、その同人誌をJコミに掲載することを認める同人作家をマッチングし、合法的な同人誌ライブラリを構築するもの。広告収入も原作者と同人作家で折半する。まずは赤松氏自身の作品である「ラブひな」の同人誌を収集し、合法化実験を開始するとしている。
赤松氏によると、パロディ同人誌は著作権的にグレーであるがゆえにインターネットなどで無断掲載されても同人作家が文句を言えない状況にあるという。今回の仕組みにより合法化されたパロディ同人誌であれば、違法コピーに対抗できるとしている。
なお、プレミアム会員は、成人向け漫画や同人誌を閲覧できるほか、無料版のJコミ配信作品を超大画面で閲覧できるという特典もある。通常版が595×420ピクセル、大画面版が842×595ピクセルなのに対して、1170×827ピクセルで閲覧可能。通常のJコミ画面において新しくボタンが追加されるとしている。
このほかJコミでは2日、すでに取り組みを開始していた「違法絶版マンガファイル浄化計画」において、一種のホワイトリストとなる「自分のコレを上げてくれ」システムを導入したと発表した。
浄化計画は、ファイル交換ソフトなどで出回っている違法漫画ファイルへの対策として、それらのファイルをユーザーからJコミに報告・アップロードしてもらい、作者と連絡の上、許可が得られた作品を合法ファイルとして配信しようというもの。実際に実績が上がっている一方で、作者への連絡や絶版であるかどうかの確認などに異様に手間がかかっているのが実情だという。
今回導入したホワイトリストのシステムは、漫画家自身がJコミにアップロードしてほしい自身の絶版作品を掲示板で告知するもの。これに応じたユーザーがアップロードしてきたZIPファイルについて、漫画家が品質を確認した上で、Jコミで配信していく。
関連情報
(永沢 茂)
2011/10/3 20:06
-ページの先頭へ-