ライトな「オタク」の増加で市場規模拡大、YRIがオタク市場調査


 株式会社矢野経済研究所(YRI)は26日、2010年度におけるオタク市場に関する調査レポートを発刊した。分野別に見ると、オンラインゲームや恋愛シュミレーションゲーム、電子コミックなどが市場規模を拡大しているという。

ソーシャルゲーム人気でオンラインゲーム市場が拡大

 オンラインゲーム市場は2994億円で、前年度比40.5%増。ヘビーユーザー向けのハイスペックコンテンツは頭打ちとなったが、SNSを通じて提供されるソーシャルゲームの人気と、スマートフォンの普及や対応コンテンツの増加が市場規模拡大に寄与した。

 恋愛シミュレーションゲーム市場は112億円で、前年度比30.2%増。女性をターゲットとした携帯電話向けゲームが「オタク」ユーザー以外の一般女性も取り込んだことが、市場拡大につながったと分析している。

 電子コミック市場は540億円で、前年度比28.0%増。コンテンツの増加や端末の高機能化、タブレット端末やスマートフォンの普及、紙媒体よりも安価である点などから、市場規模の拡大が続いているという。

 調査は7月から9月まで、アニメや漫画、ライトノベル、同人誌、プラモデル、フィギュア、ドール、鉄道模型、アイドル、プロレス、コスプレ衣装、メイド・コスプレ関連サービス、オンラインゲーム、アダルトゲーム、AV、恋愛シミュレーションゲーム、ボーイズラブを扱う事業者・業界団体を対象に実施した。調査レポートは「クール・ジャパンマーケット/オタク市場徹底研究2011」として10万5000円で販売する(A4判・646ページ)。

自身や他者に対して気軽に「オタク」が使われるように

 調査ではこのほか、全国の15歳から69歳までの男女1万102人を対象に、「あなたは自分を『オタク』だと思いますか、もしくは人から『オタク』と言われたことはありますか」という質問を行ったところ、全体の25.5%が「はい」と答えた。前年に実施した同様のアンケートと比べ、「はい」という回答が5.1ポイント増となった。

 この結果についてYRIは、「オタク」という単語に含まれるネガティブな意味合いが徐々に薄れつつあり、自身や他者に対してより気軽に「オタク」という言葉が使われるようになっていると分析。「オタク」層が増加し、さらに「オタク」ではない層もユーザーとして多数参入していることから、オタク市場の規模は今後も拡大するとみている。

 その一方で、1990年代後半から2000年代前半頃に比べると、国内におけるオタク市場は成熟しつつあり、海外市場の開拓に注力したり、海外進出を検討する事業者も増えていると説明。各事業者は今後、海外ユーザーも含めたマーケティングが不可欠になると予測している。


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(増田 覚)

2011/10/26 14:18