中国のネット人口が5億を突破。「微博」ことミニブログが一気に普及~CNNIC調査
中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は16日、中国における2011年末におけるインターネットの利用状況をまとめた「第29次中国互換網発展状況統計報告」を発表した。
●インターネット利用者数は5億人超えも都市部と農村部の利用率の差は拡大
2011年末時点のインターネット利用者は5億1300万人で、総人口に対するインターネット利用率は38.3%。半年前に行った前回調査より2800万人、2011年6月末からの1年間では5570万人増加した。インターネット利用者のうちブロードバンドの利用者は前年比ほぼ横ばいとなる約200万人増の3億9200万人で、インターネット利用者の98.9%がブロードバンドを利用。また携帯電話の利用者は上昇し、前回調査から約3800万人増の3億5600万人。
インターネット利用者数の推移 | インターネット利用者の所得別構成比 |
インターネットを利用する機器について(複数回答可)では、「デスクトップPC(73.4%。前回調査比0.6%減)」が全体からみた利用率が減少している一方、「携帯電話(69.3%。前回調査比3.8%増)」「ノートPC(46.8%、同0.6%増)」が増加した。中国で見るネットデバイスの利用実態やノートPCが売れていることを考慮すれば、デスクトップPCからノートPCへ移行しつつ、携帯電話によるネット利用者が増えたと解釈できよう。
インターネットを利用する場所について(複数回答可)は、多い順に「自宅(88.8%)」「職場(33.2%)」「インターネットカフェ(27.9%)」「学校(18.7%)」「公共の施設(13.6%)」となった。自宅からのインターネット利用が当たり前になりつつある一方、ネットカフェ、学校、公共の施設での利用が減少した。
中国のインターネット利用者層は、極端に若年~若者世代に偏っているという特徴がある。今回の調査では、年齢別・学歴別でのネット利用率とその推移を発表している。国民全体で見ると、ネット利用率は4割弱とまだ半数に達しないものの、高校・大学に在学中の学生および卒業生に限れば、ネット利用率は9割以上に達する。また、10~20代だけを見ると、ネット利用率は7割前後まで達する。男女別の利用者比は男性55.9:女性44.1で、前年からほぼ横ばい状態だ。
農村部のインターネット利用者は1年間で1113万人増、半年間で500万人増の1億3600万人。これはインターネット利用者全体の26.5%で、都市部との差は縮まるどころか逆に拡がっている。
学歴別ネット普及率 | 年齢別ネット普及率 |
IPv4アドレスの中央在庫が枯渇したことを受けて、IPv4アドレス(3億3044万)は若干の増加に止まり、IPv6アドレスが増加している。国務院はIPv6の商用実験を2013年末までに行い、2014~2015年にかけて大規模な商用化を目指す方針だ。
IPv4数の推移 | IPv6数の推移 |
海外バックボーンの総容量は前回調査比17.5%増の1,182,261Mbps。ただし、携帯電話によるインターネット利用者数増と、ADSL回線契約を2Mbpsから4Mbps以上に切り替えるユーザーが増えていることもあり、筆者が日本のサイトにアクセスする際にバックボーン増強による速度向上を感じるほどの効果は出ていないようだ。
ADSL普及の推移 |
●実用的用途で全体での利用率増、娯楽・コミュニケーション用途で全体での利用率が減少
インターネット利用者のインターネット平均利用時間/週は、18.7時間。近年の調査ではいずれも20時間弱で落ち着いている。
近年ネット世論が作り出される場として話題となる「微博」と呼ばれるtwitterもどきの「マイクロブログ」は去年同時期調査の6311万人から4倍弱の増加、半年前の前回調査から5500万人増となる2億4988万人で、インターネット利用者の半数弱が微博を利用している計算となる。
微博と並んで急増したのが、グルーポンをはじめとしたクーポンサイトだ。雨後のタケノコのように急増したサイト数は、過当競争により淘汰されたが、利用者数は1年前の調査で1875万人、3カ月前の調査で4220万人だったところ、今回6465万人と大きく増加した。
一方で、株価が冴えないことからか「オンライントレーディング」が前年比43.5%(7088万人→4002万人)と利用者が半分減といってよいほど急減した。また、掲示板や電子メールの利用者が減少した。
前回調査ではSNSの利用者が減少したが、スマートフォンの普及の影響か、今回増加に転じた。オンライントレーディングなど前述の例外を除けば、オンラインショッピングやオンラインバンキングなどの実用系の用途でインターネット利用者の利用率が増加。中国のネット普及の牽引役となったQQをはじめとしたコミュニケーション系や娯楽系の用途は、利用者全体が大きく伸びたことで利用者こそ増えたものの、利用率は減少している。
インターネット各サービスの利用用途と利用率と利用者増加率 | オンラインショッピング利用者の年増加率(赤線)と普及率(黄線) |
インターネット利用者の利用用途の多い順から上げると1位は「チャット(4億1510万人、利用率は80.9%)」、次いで2位が「情報検索(4億740万人、同79.4%)」。3位は「音楽視聴(3億8585万人、同75.2%)」、4位「ニュース(3億6687万人、同71.5%)」、5位「動画視聴(3億2531万人、同63.4%)」。
6位から10位は順に、「オンラインゲーム(3億2428万人、同63.2%)」、「ブログ(3億1864万人、同62.1%)」、「微博・マイクロブログ(2億4988万人、48.7%)」、「電子メール(2億4577万人、同47.9%)」、「SNS(2億4424万人、同47.6%)」。
11位から15位は、「ネット小説(2億267万人、同39.5%)」、「オンラインショッピング(1億9395万人、同37.8%)」、「オンラインペイメント(1億6676万人、同32.5%)」、「オンラインバンキング(1億6624万人、同32.4%)」。
16位以下は順に、「掲示板(1億4469万人、同28.2%)」、「クーポンサイト(6465万人、同12.6%)」、「オンライン旅行予約(4207万人、同8.2%)」「オンライントレーディング(4002万人、同7.8%)」となった。
携帯電話利用者数の推移 | 携帯電話によるインターネット各サービスの利用用途と利用率。微博(マイクロブログ)の増加が目立つ |
関連情報
(山谷 剛史)
2012/1/17 06:00
-ページの先頭へ-