中国のネット利用者は4億5700万人、ほぼすべてがブロードバンド利用


 中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)は19日、中国における2010年末時点でのインターネット利用状況をまとめた「第27次中国互換網発展状況統計報告」を発表した。

ほぼすべてのインターネット利用者がブロードバンドを利用

 2010年末時点のインターネット利用者は4億5730万人で、総人口に対するインターネット利用率は34.3%。半年前に行った前回調査より3730万人、2009年末からの1年間では7330万人増加した。インターネット利用者のうちブロードバンド利用者は前年比1億355万人増の4億4953万人、戸数ベースでは前年比2091万1000戸増の1億2588万9000戸。また、携帯電話からの利用者は前年比6930万人増の3億300万人だった。

中国のインターネット利用者数および普及率の推移(各グラフ・図は「第27次中国互換網発展状況統計報告」より)

 インターネットを利用する機器について(複数回答可)では、「携帯電話」(66.2%、前回調査比0.3%増)が横ばいであるのに対し、「ノートPC」(45.7%、同8.9%増)、「デスクトップPC」(78.4%、同4.8%増)による利用者の増加が目立った。

インターネット利用機器(左から「デスクトップPC」「携帯電話」「ノートPC」)

 PCユーザーのさらなる増加とともに、インターネットを利用する場所について(複数回答可)でも、「自宅」(89.2%、前回調査比0.8%増)が、「インターネットカフェ」(35.7%、前回調査比2.1%増)、「職場」(33.7%、前回調査比1.6%増)、「学校」(23.2%、前年比0.2%増)、「公共の場所」(16.1%、前年比0.4%増)に差をつけた。

 若者がインターネット利用の中心であることが中国のインターネット利用者構成の特徴だが、30代と40代の利用率が目立って増加した。また、中学生の利用も増加が目立った。収入別では、中学生の利用が増加したことも一因だろうが、低収入層とやや高収入の二極化が進んだ。男女比は近年1対1に近づいていたが、昨年よりも男性が占める割合(55.8%)が高くなっている。

インターネット利用者の年齢別構成比
インターネット利用者の所得別構成比

 農村部のインターネット利用者は1億2500万人。今回のレポートでは各省市別の普及率と増加率も書いている。北京は1218万人(普及率69.4%)、上海は1239万人(同64.5%)、広東省は5324万人(同55.3%)となっている。

省市別インターネット利用率

 今回のレポートでは、中小企業についてのインターネット利用状況も紹介している。中小企業全体の94.8%がPCを使用、92.7%がインターネットに繋がり、43%がウェブサイトを開設している。ただし、10人以下の小企業に関してはこの平均値よりもだいぶ低くなる。

 企業サイトの開設目的(複数回答可)は、「問い合わせ先の提供」(96.1%)、「商品の展示」(92.2%)、「企業アピール」(88.0%)、「コメント欄の提供」(74.6%)、「サイトでの商品販売」(46.2%)、「オンラインでのカスタマーサポート」(43.5%)、「自サイト上でデータ管理ソフトを利用するため」(35.6%)、「掲示板の提供」(30.1%)が続いた。

社員数別中小企業のインターネット導入率
社員数別中小企業の自サイト導入率

ドメイン数、ウェブサイト数ともに減少

 一昨年に「.cn」ドメイン取得1元キャンペーンが行われた後、昨年は同キャンペーン終了に加え、不良ドメイン粛清活動を行ったことにより、「.cn」ドメイン数は昨年の1346万から435万まで減少。また、「.cn」ドメイン下のサイト数も昨年の250万から113万まで減少した。現在は個人では「.cn」ドメインを取得できなくなっている。結果として、ドメイン全体のうち「.cn」ドメインが全体の50.2%、「.com」ドメインが42.9%を占めるかたちになった。海外バックボーンの総容量は前回調査比10%増の1,098,956Mbps。

 今回調査より、中国で主流の20サイトへのアクセス速度を測定している。平均回線速度は100.9KB/sとなった。最も平均速度が速かった地域は河南省の131.2KB/s、最も遅かったのは上海市の73.2KB/sだった。同レポートではAkamaiの調査により判明した世界平均230.4KB/sよりも遅いと指摘している。

娯楽用途の利用が減少、ビジネス用途の利用が増加

 インターネット利用者の週当たりのインターネット平均利用時間は、前回調査時の19.8時間から18.3時間(1日平均2.6時間)へと減少した。

 利用用途は多い順から、「情報検索」(81.9%)、「音楽視聴」(79.2%)、「ニュース閲覧」(77.2%)、「チャット」(77.1%)、「オンラインゲーム」(66.5%)、「ブログ」(64.4%)、「動画視聴」(62.1%)、「電子メール」(54.6%)、「SNS」(51.4%)、「ネット小説」(42.6%)、「オンラインショッピング」(35.1%)、「掲示板/BBS」(32.4%)、「オンラインバンキング」(30.5%)、「オンラインペイメント」(30.0%)、「オンライントレーディング」(15.5%)、「ミニブログ」(13.8%)、「オンライン旅行予約」(7.9%)、「クーポンサイト利用」(4.1%)となった。各用途の利用人口については、携帯電話でのインターネット利用者も含めた4億5730万人に利用率をかければ算出される。

 すべてのサービスにおいて利用者は前年比で増加しているが、インターネット利用者全体の増加に比べ、ブログやSNSなどの新興のサービスと、オンラインショッピングやオンラインバンキングなどのビジネス系サービスの増加率が高く、利用者全体における利用率も上がっている。反面、オンラインゲームや音楽・動画視聴などエンターテインメント系サービスの増加率は低く、利用率も下がっている。

インターネット各サービスの利用用途と利用、利用者増加率

 携帯電話の利用者に限定した利用用途では、多い順から「チャット」(67.7%)、「ニュース閲覧」(59.9%)、「情報検索」(56.6%)、「音楽視聴」(46.2%)、「ネット小説」(41.1%)、「SNS」(36.6%)、「掲示板」(27.4%)、「オンラインゲーム」(25.8%)、「電子メール」(22.0%)、「動画視聴」(20.4%)、「ミニブログ」(15.5%)、「オンラインペイメント」(8.4%)、「オンラインバンキング」(7.1%)、「オンラインショッピング」(4.9%)、「オンライン旅行予約」(3.7%)となった。


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(山谷 剛史)

2011/1/19 11:33