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新iPad初回製造原価はiPad2より9%割高〜RetinaディスプレイはSamsung製


 米IHS iSuppliは16日、新iPadの分解分析結果を発表した。この調査結果は予備的であるうえ、ソフトウェア、ライセンス、ロイヤリティ等の支出を含んでいない。

 同社分析によると、新iPad 32GB 4G版のBOM(Bills of Materials)原価は364.35ドルで、前バージョンiPad2の32G 3G版と比較すると、初回出荷段階でのBOM原価で約9%高くなっていることが判明した。

 新iPad販売価格と製造原価を比較すると、Wi-Fi版では16GBが販売価格499ドル/原価306.05ドル、32GBが販売価格599ドル/原価322.85ドル、64GBが販売価格699ドル/原価356.45ドル。Wi-Fi+4G版では16GBが販売価格629ドル/原価347.55ドル、32GBが販売価格729ドル/原価364.35ドル、64GBが販売価格829ドル/原価397.95ドル。最も「お買い得」なバージョンはWi-Fiの16GB版だということになりそうだ。

 最も高い部品は注目のRetinaディスプレイの87ドルでWi-Fiの16GB版では、原価306.05ドルのうち24%を占める。次に高い部品は、A5Xアプリケーションプロセッサーの推定23ドル。しかしこのプロセッサーは、設計をAppleが行い、Samsungはファウンドリーに過ぎないため、利益率は低いと推定されている。

 NANDフラッシュメモリは、Samsung、東芝、Hynix Semiconductorなどの企業が供給しているが、今回iSuppliが分解した個体ではSamsungと東芝製であった。

 また、バッテリーセルは新iPadの重量の大部分を占めている注目部品だ。iSuppliでは、Samsungが供給していると推定している。これは確定できていない情報という。

 こうして見てみると、Samsung製部品の占める割合が非常に大きいことに気がつく。バッテリーもiSuppoliの推定通りSamsungが供給しているとすれば、新iPadの個体によっては(フラッシュメモリの供給メーカーによって)原価の50%近くをSamsung供給の部品が占めることになる。SamsungがAppleと特許を巡って激しい法廷闘争を繰り広げていることを考えると、実に奇妙な関係と言える。

 高度な技術が求められるRetinaディスプレイのサプライヤーにも注目が集まっていた。これまでSamsung、LG Display、シャープの3社の名前が挙がっていた。しかし、新iPad初回出荷分に関しては、全てSamsung社製である可能性が高くなっている。Apple製品の分解修理で有名なiFixit社の分解結果でもSamsung社製が使用されていることがわかっている。

 また、Appleの製造戦略について、IHS iSuppliのシニアプリンシパルアナリストAndrew Rassweiler氏は「Appleは消費者にNANDフラッシュを売る際に、NANDフラッシュメーカーがAppleに売るよりもはるかに多くのもうけを得ている。iPadのフラッシュメモリーが多ければ多い程、Appleの利潤は高くなる」と説明し、これまでのiPadやiPhoneと同じビジネスモデルが継続されていることを確認している。



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(青木 大我 taiga@scientist.com)

2012/3/19 06:00