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スマホ利用者情報に関する総務省WG、事業者への指針などを示した報告書案を公表


「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」の第14回会合

 スマートフォンを経由した利用者情報の取り扱いについて検討している総務省のワーキンググループ(WG)が29日、最終とりまとめ案を報告した。関係事業者に対して透明性の確保や利用者関与の機会の確保などを基本原則とする「スマートフォン利用者情報取扱指針」を示すとともに、第三者によるアプリ検証の仕組みなど指針の実効性を上げるための方策の提案などを行なっている。

 総務省の「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」では、スマートフォンの急速な普及に対して、スマートフォン内の利用者情報を意図しない形で外部に送信するアプリなどが問題となったことから、「利用者情報の適切な取扱いに関するWG」を2012年1月に設置。WGでは計7回の会合を開催し、これまでの議論を踏まえた最終とりまとめ案を報告した。

 最終とりまとめ案では、関連事業者が利用者情報を取り扱う上での指針として、1)利用者に対してわかりやすい説明を行うなど透明性の確保、2)情報の取得停止や利用停止の手段提供など利用者関与の機会の確保、3)対象情報の適正な手段による取得の確保、4)適正な安全管理の確保、5)苦情・相談への対応体制の確保、6)アプリやサービス、端末などの開発時から個人情報やプライバシーへの配慮を求める「プライバシー・バイ・デザイン」――の6項目を基本原則として挙げている。

 具体的な取り組みとしては、アプリ提供者や情報収集モジュール提供者、広告配信事業者などに対して、プライバシーポリシーをアプリや情報収集モジュールごとにわかりやすく作成し、スマートフォンの画面上で容易に理解できるような概要版も作成して掲示することを求めている。

 プライバシーポリシーに記載すべき項目としては、1)情報を取得するアプリ提供者などの氏名または名称、2)取得される情報の項目、3)取得方法、4)利用目的の特定・明示、5)通知・公表または同意取得の方法、利用者情報の利用や取得の中止を希望する場合の方法の記載、6)外部送信、第三者提供、情報収集モジュールの有無、7)問い合わせ窓口、8)プライバシーポリシーの変更を行う場合の手続き――の8項目が挙げられている。

 また、携帯電話事業者に対しては、スマートフォン販売時に利用者に必要事項を周知することや、アプリ提供者などに対して適切なプライバシーポリシーの作成・公表など適切な対応を促すこと、リテラシーに応じたスマートフォンのサービス設計や周知を端末提供事業者との協力も考慮しつつ検討することを求めている。

 アプリ提供サイトの運営事業者やOS提供事業者に対しては、アプリ提供者などが適切な対応を行うための支援や啓発活動を進めるとともに、適切ではないアプリが判明した場合の連絡通報窓口の設置、利用許諾などについてわかりやすい説明を行う努力の継続などを求めている。

 さらに、この指針の実効性を上げるための取り組みとしては、各業界団体によるさらに必要な事項を盛り込んだガイドラインの作成や、アプリ提供者などへの情報発信、スマートフォン画面を考慮した表示方法の検討や、アプリの利用者情報の取り扱いが適切であるかを第三者が検証・認定する仕組みについて検討することなどを挙げている。

 また、スマートフォンにおけるプライバシー問題は諸外国においても課題となっており、プラットフォームやアプリの提供はグローバルな事業者が行なっていることも多いことから、課題解決に向けては国際連携が必要で、二国間や多国間での連携の推進、国際機関などを通じた普及啓発・情報共有を行うとともに、民間団体間での国際連携の推進、スマートフォンに関する日本の取り組みの発信などが必要だとしている。

 研究会に出席した構成員からは、最終とりまとめ案に対しては評価するものの、さらに実効性を持たせるためには諸外国で導入されているプライバシーコミッショナーのような制度の導入が必要だといった、プライバシーに関する法整備を求める意見が多く挙がった。

 研究会では、最終とりまとめ案についてパブリックコメントを募集し、寄せられた意見を踏まえて8月に開催する会合で提言をまとめ、公表する予定。


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(三柳 英樹)

2012/6/29 17:56