「Office 2013はデバイス、クラウド、ソーシャルの変化に対応」、MSが説明会


日本マイクロソフトのロアン・カン氏

 日本マイクロソフト株式会社は17日、次期オフィススイート「Office 2013」のカスタマープレビュー版公開に関する説明会を開催した。

 「Office 2013」カスタマープレビュー版は、次期OSであるWindows 8のユーザーインターフェイスへの最適化や、クラウド対応、ソーシャル機能などを備える次期オフィススイートの試用版。マイクロソフトのサイトから無料でダウンロードして試用できる。対応OSはWindows 8 Preview版およびWindows 7で、Windows Vista/XPには対応しない。

 日本マイクロソフト業務執行役員Officeビジネス本部本部長のロアン・カン氏は、現在のワークスタイルのトレンドは「デバイス、クラウド、ソーシャル」の3つの大きな変化が続いていると説明。タブレット端末やスマートフォンなどマルチデバイス環境の普及や、企業のクラウドへの移行、ソーシャルネットワークの普及は今後も続くトレンドであり、次期Officeではこうした変化に対応するとした。

次期Officeではワークスタイルの変化に対応デバイス、クラウド、ソーシャルの変化に対応し、管理機能を強化

 デバイスへの対応については、Windows 8デバイス上で素早く、スムーズな操作ができるようユーザーインターフェイスの変更を行なっており、ARMベースのWindows 8「Windows RT」には、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteのフル機能のデスクトップ版が含まれた形で出荷されると説明。マウスやキーボードだけでなく、タッチやペンでも快適に使えるようになっており、メニューもこれまでのリボンメニューをさらに進化させ、ユーザーが必要な時に必要としているものを表示するインターフェイスとなっており、「デザインはシンプルだが、何も妥協していない」と語った。

 クラウドへの対応については、「次期Officeはデフォルトでクラウドに保存する」ことが特徴だとして、個人ユーザーではSkyDrive、企業ユーザーではSharePointなどに文書を保存する形となり、ドキュメントは常にバックアップされ、どこからでも利用できるようになるとした。

 ソーシャルへの対応については、同じドキュメントを共有しながら作業できる多拠点HDビデオ会議システムや、各種ソーシャルサービスのExchangeへの統合などを紹介。また、米Microsoftが買収したSkypeや企業向けSNSのYammerの技術も、Officeに統合していくとした。

 さらに企業向けには、従来のOfficeとの互換性を保ちながら、企業コンプライアンスのためにデータ保全や情報漏えい対策などの管理機能を提供していくとした。

 具体的な新機能については、通常のユーザーインターフェイスに加えて、指での操作に最適化したタッチインターフェイスを搭載した点を紹介。また、データ中の文字列から自動的にパターンを認識してデータ入力を補完するExcelの「フラッシュフィル」機能、PowerPointで写真や図を配置しようとすると他のオブジェクトに合わせてガイドを表示する機能など、ユーザーの意図を読み取ってOfficeが適切に対応する機能を強化したとした。

Outlookのタッチインターフェイス画面データ中の文字列から自動的にパターンを認識する「フラッシュフィル」機能

 カン氏は、「Office 2013のカスタマープレビュー版は英語、スペイン語、日本語の3言語から提供を開始しており、ここに日本語が入っていることは、日本市場への期待の大きさと、日本のユーザーからのフィードバックを必要としていることの表れ」と説明。日本でも多くのユーザーに試用してもらい、フィードバックを得たいと語った。

 提供を開始したカスタマープレビュー版は、個人向けの「Office Professional 2013」、中小企業向けの「Office 365 Small Business Premium」、エンタープライズ向けの「Office 365 ProPlus」「Office 365 Enterprise」の各プレビュー版となっている。企業向け製品の「Office 365」という名称は、従来はクラウドサービスとしての名称だったが、今回のプレビュー版からはOfficeのサブスクリプション版とクラウドサービスを利用できる製品であるという意味にブランディングの変更が行われたという。

提供を開始した次期Officeのカスタマープレビュー版

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(三柳 英樹)

2012/7/17 19:35