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ソフトバンクが米Sprintを1.5兆円で買収「世界3位の携帯事業者に」


 ソフトバンク株式会社は12日、米携帯電話3位のSprint Nextel(以下、Sprint)を201億ドル(約1兆5709億円)で買収すると発表した。米国に設立した持株会社を通じて、2013年半ばまでにSprint株の70%を取得し、子会社化する。投資総額のうち約121億ドル(約9469億円)はSprintの株主に支払われ、80億ドル(約6240億円)は同社の財務体質の強化などに投じられる。

 ソフトバンクの孫正義社長は、Sprintの顧客基盤を含めると、両社の顧客は合計9600万人となり、携帯電話事業者として売上高が世界第3位の規模になるとアピール。米国の携帯電話市場には大きな成長ポテンシャルがあるといい、AT&TとVerisonによる2社の寡占状態に風穴を開ける狙いだ。

孫社長とダン・ヘッセCEO

 Sprintの現状について孫社長は、四半期で契約数が130万ユーザー純減していた時期もあったが、現在は3カ月で約160万ユーザーの純増に転じていると指摘。1ユーザーあたりの平均収入(ARPU)も「米国通信事業者の中で一番伸びている」と高く評価し、ソフトバンクの資金と戦略を投入することが、Sprintの競争力強化につながると話した。

 今回の買収金額のうち4割は、「真水の現金」(孫社長)としてSprintの増資に使い、ネットワークや財務体質の強化などに充てる。戦略面では、日本国内でいち早く顧客獲得を行ってきたスマートフォンや、LTEをはじめとする次世代モバイルネットワークに関する知見、業績のV字回復の助言などを行っていくという。

 「我々はこれまで、日本テレコムを買収して赤字体質を変えたほか、ボーダフォンジャパンを傘下に収めたことで6倍の利益を出した。経営破たんのウィルコムも同様だ。3社は赤字3兄弟。社員もユーザーも自信をなくしていた状況だが、3回にわたってV字回復を実現するとこれはもうノウハウといっていい。」(孫社長)

 買収のメリットとしては、スマートフォンの調達台数が増えて数のメリットが期待できるほか、Sprintと同じネットワーク機器を使っていることから、「購入ボリュームでは世界でトップクラスになる」と説明。「現在のSprintは利益率が低いが、ソフトバンクとの合算効果やノウハウで利益率は大きく変わるだろう」。

 新生SprintでもCEOを務めることとなるダン・ヘッセ氏は、「Sprintは会社としてうまくいっていない時期もあったが、今は業績改善の途上。今や米国で一番の携帯事業者になることを目指していて、その動きがソフトバンクとの取り引きによって加速する」と期待を示した。


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(増田 覚)

2012/10/15 20:07